2015年10月

2015年10月31日

暁雲便りNo.14:本を積むひと~10月の本棚

今年の文化功労者のひとりに作家の皆川博子先生が! 85歳なんて思えない作品の若々しくみずみずしい感性、特に乙女心の描き方とかすごいなぁと思います。耽美もホラーも美少年も美少女も歴史物も現代物もなんでもOK!な先生、いつまでもお元気でこれからもステキな作品を世に送り出してほしいです~今日はずっと積ん読だった皆川先生の『少年十字軍』を読むぜぃ( v^-゜)♪



今月の最後の一冊は『アッティラ!』(籾山市太郎)という本でした。アッティラというのは(Attila、406年? - 453年)フン族とその諸侯の王のことらしいです。歌劇とかにもなっているらしい……造語だと思って面白そう!と思って買いました(^^;) 他2編の短編集なのですが、どの作品にも音楽が絡んできます。難しく考えずにシンプルに人と付き合えばいいんだよなぁ、でもそれはなかなか難しいんだよなぁ…と思いました。



この前、ダンナと映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』を観てきました。恋愛メインみたいな前評判を聞いていたので、正直それはちょっとなぁ……でしたが、ベタベタ感は少なく、むしろ小学生みたいだ~( 〃▽〃)な微笑ましさ! ラストは「もぅ~岡田くんたら!」でしたわ。戦闘シーンが前作より激しかったんですが「スナイパーの癖に腕が悪い」とか「そこを止血するか~?」とか観賞後、ダンナとツッコミどころを確認しながら感想を言い合いました(笑) 原作は読んでいないのですが、来月は揃えて読もうかな?



『石を積むひと』は映画『愛を積むひと』の原作。映画を観た後すぐに買ったのに読むのが遅くなってしまった……。映画は舞台をアメリカから日本に移して、息子との確執を娘にしたりでしたが、うまくまとめていたな~と思います。北海道美瑛の四季がとても美しくて……人付き合いがうまくないダンナと社交的な奥さん。奥さんを亡くした後の佐藤浩市のやもめがたまらん!でした。原作の親父は高齢でしたので、三國連太郎をイメージして読みました(^^;) ラストは違いましたが、どちらの物語もよかったと思います。私は好きです。



先月に比べて今月はたくさんいろんな本が読めて満足しました。まだあちこち積ん読状態なので、年内にはなんとかスッキリさせたいところです(^。^;)



今月もお付き合いいただき、ありがとうございました。また来月も(4日に更新予定)どうぞよろしくお願いいたします。





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rohengram799 at 22:38コメント(12) 
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2015年10月30日

暁雲便りNo.13:千年鬼

時を越えて君を愛せるか ほんとうに君を守れるか ……



西條奈加さんの『千年鬼(せんねんき)』を読み終わりました。ラストシーンで小田和正さんの某生保会社のコマーシャルで流れていた「たしかなこと」のこのフレーズがうかんできましたわ……!!



みどり色の髪をした赤い子どもの鬼が小さい女の子を背負って走る表紙だったので、昔話的なかるーい鬼とのファンタジーかと思っていたら違った……7つの連作短編集でそれぞれの作品の前に内容を暗示するかのような詩(?)が書かれています。



《鬼の芽は、鬼でなく人に宿る
怨み辛みを糧として
ときにゆっくりと ときにひと息に 身内にそだつ
やがてその実がはじければ 額に二本の角をもつ 人鬼(ひとおに)となる
げに恐ろしきは 鬼ではなく この人鬼なり》



さまざまな時代の人物の元に、自分たちは過去世(かこぜ)を見せる過去見の鬼だと言う3人の子ども(実はひとりの鬼)が現れます。「三粒の豆」「鬼姫さま」「忘れの呪文」「隻腕の鬼」そして「小鬼と民」で、小さな不満を糧にして憎しみを育てるという鬼の芽を集めはじめたきっかけや、同行している黒鬼の役割がわかるのです。そして「千年の罪」「最後の鬼の芽」と物語りは続きます。



『地獄とは、希望(のぞみ)の絶えた世界です。希望のないまま無為に時を過ごす。それこそが地獄というものなのです。』



小鬼と少女の「希望」はなんだったのか……ぜひぜひ読んでみて下さいませ。小林糸さんの人物イラストも味があり、ステキです。私は徳間文庫のを買いました。舞台を日本ではなくヨーロッパとかしてアニメで見てみたい……なんて思いました。




鬼の話というと木原敏江さんの「鬼の泉」とか「大江山花伝」とかのマンガとか思い出しますが、「泣いた赤鬼」の続編というのを読んだことがあります。もちろん、創作で作者も違いますし、本屋さんにもありません~! 青鬼のおかげで村人と楽しく交流していた赤鬼、そこに黒鬼がやってきて、青鬼の乱暴ぶりは赤鬼のためのウソだったと村人にバラしてしまい、赤鬼は責められ、またひとりぼっちになってしまうという、なんとも後味の悪いものでした。


赤鬼と仲良くなった村人は事実を知った時に、みんな赤鬼を卑怯だ!と責めるか、そうまでして仲良くなりたかったと思うか……気持ちはわかるけどもう今まで通りにはお付き合いできないになるのか……バラした時期が何十年も経っていたら「ナニ言ってンの?」かもしれませんが、数年しか経っていなかったら、う~ん……青鬼さんの気持ちを踏みにじるかのような展開になんともモヤモヤした気分になりました。こんな続編はいらんわ~青鬼さんが戻ってきて、みんな仲良く暮らしました、という話はどこかにないものかしら?




♪いちばん大切なことは 特別なことではなく
ありふれた日々の中で 君を
今の気持ちのままで 見つめていること




10月最後の金曜日、どうぞおだやかな1日になりますように。





rohengram799 at 09:15コメント(8) 
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2015年10月28日

暁雲便りNo.12:夕焼け子焼け

『石がけに 子ども七人こしかけて ふぐをつりおり 夕焼け小焼け』(北原白秋)



白秋がこんな短歌を作っていたとは知りませんでした。海辺の石がけに、子どもが7人並んで腰かけている。これだけでも「子ども七福神」! 絵になるなぁ~と思いますが、釣っているのが「ふく」とも言われる「ふぐ」なのがまた……美しい美しい夕焼けに空も海も子どもたちもキラキラしている様子が浮かんできて、赤い光につつまれていて、子どもたちのこれからの未来に幸あれ!と思ってしまいます。



ところで、この「夕焼け子焼け」の「子焼け」はなんぞや?となりますが……北原白秋は「栗鼠栗鼠小栗鼠(りすりすこりす)」「涼風小風(すずかぜこかぜ)」「仲よし小よし」など言葉の調子を調えるみたいな感じでいくつか書いている例があるようです。《童謡謎解き ゆうやけこやけ》という記事ではちょっとそれはこじつけすぎにならないか?と個人的には考えてしまう解釈がありました。皆さまはどう考えるでしょう?


http://www.office-goda.co.jp/column/nazotoki-014.html




土曜日の夜からなんとなく調子が悪いぞ…と思っていたら、翌日にはじんましんみたいなものが全身に……でしばし体調不良で、また更新が遅くなってしまいました。もう10月も終わり、道行く人たちの服装も秋というより冬支度ですか?みたいになってきました。空気も乾燥していますし、皆さまもお身体に気をつけて下さいね。いつもありがとうございます(´∇`)





rohengram799 at 08:30コメント(10) 

2015年10月23日

暁雲便りNo.11:凍える墓

ハンナ・ケント著、加藤洋子訳『凍える墓』という小説を読んでいます。外国作品は久しぶりです。


物語の舞台は1829年のアイスランド。殺人罪(他ふたりとの共犯)で死刑宣告を受けたアグネスは、刑執行までの間を行政官ヨウンの農場で過ごすこととなります。その暮らしの中で徐々に彼女が自分の人生を語り始める……って感じでしょうか? 実在したアイスランド最後の女性死刑囚を描いたもので、映画化が予定されているとか? 事件の真相は?とかいうより女の一生が語られるという印象で読みすすめています。ただ、清潔とは言えない暮らしぶりや家畜解体場面などもあるので、苦手な方は要注意です。
アイスランドなんてただ寒い場所のイメージしかなかったので、今の生活やは当時の暮らしぶりなど調べてみたいなぁと思いました。



タイトルに「墓」とついていたからでしょうか、チラシにあった「墓終い(はかじまい)」という文字に目がいきました。「墓終い」はお墓を解体・撤去する事で「廃墓」などとも呼ばれることもあるそうです。お墓を移転させる、継承者がいなくなってしまったなどの理由から行われることが多く、撤去時には永代使用権と呼ばれる、お墓がある限り永代的に使用できる権利をお寺・霊園に返還して更地に戻すのが一般的。


お墓を撤去する際は「魂抜き」と呼ばれるお墓から魂を抜き、お墓でないもの(石)にする法要を執り行うそうです。逆に新たなお墓にご遺骨を納める場合は「魂入れ(そこをお墓とする法要)」が営まれます。また遺骨を別のお墓(住まいの近くなど)に移す場合は、改葬手続きが必要となり、お墓のある寺院・霊園、行政機関への申請をしなくてはいけません。そうなった場合は専門家にお願いした方が間違いがないでしょうね。


「墓友(はかとも)」なんて言葉もあるようですが、これはどういう意味なのか……一緒に著名人のお墓参りをするマイラーのことではないですよね?また「同じお墓に入りましょうね!」ってことじゃないですよね? お墓をお隣同士にしません?とかデザインを同じものにしましょうよ!というような意味ですよね? 違うのかな? どちらにしてもあんまり気乗りがしないというか、お墓選びもなかよしこよしの時代なんでしょうか?



前の記事のお返事、遅れてすみません。もうしばらくお待ち下さいませ。


追記:24日朝、前の記事にお返事書かせていただきました。
アイスランドの最終死刑執行は1830年、1928年に平時は廃止、議会の満場一致で1995年に全面廃止になったようです。


rohengram799 at 21:12コメント(20)トラックバック(0) 
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2015年10月21日

暁雲便りNo.10:赤い熨斗袋

おはようございます。昨日から『女の名前』というエッセイ集を読んでいます。紫の着物姿の女性に桔梗の表紙が美しくて買っておいた本です(笑)

作者は小野寺苓(おのでら・れい)さん。もともとは1996年に1000部を自費出版したものだそう。それが数年前に直木賞作家の桜木紫乃さんの手に渡り、桜木さんが、トークイベントなどで紹介していたことが縁で文庫化されることに(桜木さんが解説です)。内容は両親にまつわる思い出や、自らの先祖のこと、日々の出来事、詩や小説を書いていたので作家、芸術家、文化人(でいいのかな)との交流も多彩。自費出版っていいと自己主張が激しいイメージがありましたが、そんなことはなくて……むやみに女性はエライ!と綴られているわけでないし、東北の自然や都会の様子など戦中・戦後のかわっていく様など、しなやかでたくましさもある文筆力に感嘆しながらサクサクと読みすすめています。


編集者からこの本を紹介されたという桜木さんは「言葉の切り口と使い場所を間違えていない。こういう人たちが自分の本を手にとっているかもしれないとと思うと、書くことをおろそかにできないという気持ちになる」と言っていたそうです。
 


最初が『死んだ日に赤い熨斗袋』という話で、私は故人に恨みがある誰かが嫌がらせて弔問にやってきたのかしら、と思っていたのですが……全く違いました。亡くなったのは産婆さんだった作者の継母。まだまだ病院でお産など少数派な時代(貧富の差も地域差もあったと思う)、20数年前に息子を取り上げてもらったが貧しさから礼金が払えなかったという父親。しかし「母は厭(いや)な顔ひとつせずに無償で産湯を使いに通ったという。」


父親は息子の結婚が決まり、そうだ、あの時は余裕がなくてお金も何も払わないままだった!やっと一人前になったお礼と息子の姿を見せたくて……と父子がやってきた日がちょうどその日だったのです。感謝の気持ちを伝えに来てくれた日がお別れの日になってしまった……親子は驚いていましたが、熨斗袋を押し合いの末、作者の父に受け取ってもらい、継母に手をあわせて帰られたそうです。もう~自分の発想の卑しさが……うう、本当に恥ずかしいです……!



……私たちは母の無言の姿から生前の善行を知り、母への尊敬の念を強くしたのである。母の死んだ日の第一番の訪問客が、赤い熨斗袋を置いていったことは不自然なことではなかった。少なくとも、私たちはそう思った。
母は継子五人と父との間に生まれた自分の子二人を平等に育て終えた。産婆の仕事をした母にしてみれば、この世に生まれた生は等しく平等なのである。
喧騒(けんそう)な今の世は、ボランティアをたたえ、なかには自ら善行を誇示したい者もいる。善(よ)いおこないは静かにするがいい。美しい行為は、けっして光をあてられ褒めそやされることを期待してはいまい。
母の死の朝の出来事は、どんなに多くの言葉よりも確実な教えを伝えてくれたのである。……



私の両親と同世代の小野さん。私は両親の若い頃の話とか全くといいほどきいたことがなくて(あんまり話したくなさそうな感じもあったので)……たとえば戦時中とか特別な出来事でなくても、両親の祖父母のこととか、子ども時代のこととか、いろいろきいておけばよかったなぁ。



『善(よ)いおこないは静かにするがいい。』……「左手に告げるなかれ」に通じるものがあるわ~と思ったワタクシです。



どうぞ皆さま、よい1日を(´ー`)ノ





rohengram799 at 06:30コメント(10) 
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