2017年06月

2017年06月21日

さくも便りNo.14:田舎者

『田舎者』という太宰治の短すぎる話を読みました。


『私は、青森県北津軽郡というところで、生れました。今官一とは、同郷であります。彼も、なかなかの、田舎者ですが、私のさとは、彼の生れ在所より、更に十里も山奥でありますから、何をかくそう、私は、もっとひどい田舎者なのであります。』


自己紹介の最初の部分だけ書き出したような(笑) ここに出てくる今官一(こん かんいち、1909年(明治42年)12月8日 - 1983年(昭和58年)3月1日)という人も小説家でした。

早稲田大学露文科中退。同郷出身の太宰治と親しく、桜桃忌の名は今によって名付けられた。1956年(昭和31年)、『壁の花』で第三十五回直木賞を受賞。また、レイテ沖海戦でただ一艦帰還した戦艦「長門」の乗り組水兵1200人、生き残ったのは僅か30数名、その中の一人でもあるそうです。


彼の作品も読んでみたくなりました。太宰との交流も気になりますし、洗礼も受けていたようです。

彼の命日は「幻花忌」。色紙などによく「花まぼろしの世にあらば 世も幻の花ならん」と書いていたそうです。幻の花というと、昔むかし、新撰組ミーハー、土方さんミーハーしていた時に「幻花」という話を同人誌に書いたのを思い出しました。うわっ、恥ずかし~(*/□\*)



rohengram799 at 21:41コメント(4) 
青空文庫 

2017年06月20日

さくも便りNo.13:花のベッド

本屋さんで表紙の可愛さに目が行き、タイトルも薄さも値段も私的にはよかったので『花のベッドでひるねして』 (幻冬舎文庫)を買ってきて読みました。多分、はじめてよしもとばななさんの小説を買ったのではないかと。

海辺で拾われた捨て子の幹は、血の繋がらない家族に愛されて育った。祖父が残したB&Bで忙しく働きながら幸せに過ごしていたが、廃墟のビルに明かりが点いてから不穏な出来事が起こり始める。両親の交通事故、夢に出る気味の悪いうさぎ、玄関前に置かれる小石・・・ちょっとミステリーでホラーでファンタジーでスピリチュアルな内容でした。

B&Bはお笑いではなく(もう知らない人の方が多いのかも)ベッド・アンド・ブレックファスト(英: bed and breakfast)の略。『イギリスや北米、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなど、主に英語圏各国における(多くの場合小規模な)宿泊施設で、宿泊と朝食の提供を料金に含み、比較的低価格で利用できるもののこと。』(Wikipediaより)

幹の祖父が『今のままでいい。うっとりと花のベッドに寝ころんでいるような生き方をするんだ。もちろん人生はきつくたいへんだし様々な苦痛に満ちている。それでも心の底から、だれがなんと言おうと、だれにもわからないやり方でそうするんだ、まるで花のベッドに寝ころんでひるねしているみたいに。いつだってまるで今、そのひるねから生まれたての気分で起きてきたみたいにな。』と話したことがタイトルになっているのですが、親しい人を亡くした後の喪失感、その後の暮らし、心向きなど、共感出来るところはいくつかありました。全部、素直にのみ込んで感動出来るほどpureではないおやぢなワタクシですが、一部を切り取り、上手くまとめて絵本にしたらステキかも、と思いました。

主人公の名前は作家・立原正秋の娘さんの名前からだそうです。かなり溺愛していたようですね。ばななさんも父上を亡くされ、その哀しみがいたるところにあらわれている気がしました。

読みながら、思い出した詩があります。


『ある日ある時』   黒田 三郎


秋の空が青く美しいという
ただそれだけで
何かしらいいことがありそうな気がする
そんなときはないか

空高く噴き上げては
むなしく地に落ちる噴水の水も
わびしく梢をはなれる一枚の落葉さえ
何かしら喜びに踊っているように見える
そんなときが




生きるときめき、生きるよろこび、素直に感じられる人間でいたいものです。



rohengram799 at 13:49コメント(4) 
空のお城図書館 

2017年06月19日

さくも便りNo.12:おまえに

♪そばにいてくれる だけでいい 
だまっていても いいんだよ
  


フランク永井さんの『おまえに』作詞は岩谷時子さんだったのですね~知らなかった! って、なぜこの歌を思い出したかというと、読売新聞の「四季」という長谷川櫂さんが選んだ俳句や短歌を紹介するコラム(?)みたいなのがあって、昨日の句がコチラだ
ったのです。


【夫が言う「ただ居てくれるだけで良い」そんな人にはなりたくはなし 】


峰由美子さんの歌集『アフター・トーンズ』から。



なんでしょうね、この妻と夫の温度差(笑) ダンナさんは「オレって今イイコト言っちゃったなぁ~σ(≧ω≦*)」という気分なのかもしれませんが、妻からしたら「私はそんなお飾りみたいな女じゃないのよΣ( ̄皿 ̄;;」な気持ちになったのかも・・・。



恋人時代だったら素直に喜ぶことが出来ても、夫婦になるとまた違うのか? ・また結婚年数にもよるのかしらん? 熟年離婚という言葉がうかんでくるような一句でした(; ̄ー ̄A



峰由美子さんがどんな方か知りたくて調べたのですが、こちらのブログ記事によると峰由美子さんは鬼籍に入られたようです。まだお若いのに。この事実を知ってから上記の句を読むとまたいろんな気持ちがわき上がってきました。歌集のタイトル時には同名のアルバムがあるみたいですね。愛の余韻・・・合掌。

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/moutuaruto/52041319





rohengram799 at 10:13コメント(6) 

2017年06月17日

さくも便りNo.11:氷雨

昨日の夕方は雷ゴロゴロ、そして台風のような横殴りの雨!・・・かと思っていたら雹が降っていた!
うわぁ~と外を眺めているうちにアッサリ止んでしまい、また晴れ間が(; ̄ー ̄A



俳句の季語では夏に降る雹や霰を「氷雨」といいますが、氷雨といえばあの歌ですよね~。


♪外は冬の雨まだやまぬ この胸を濡らすように 傘がないわけじゃないけれど、かえりたくない・・・



氷雨という文字から氷のような積めたい雨のイメージで、歌ともあいまって、完ぺきに冬のイメージだったので、意外です。雹(ひょう)だと字余りになりそうなので、氷雨(ひさめ)の方が使いやすい気がしますね。


同じ氷でもかき氷を食べたくなる暑さの今日でした(;´д`) 皆さまもお身体に気をつけて下さいませ!



rohengram799 at 19:24コメント(8)トラックバック(0) 

2017年06月15日

さくも便りNo.10:雨上がり

空梅雨なのかしら、というような晴れ間が続いているので、たまに雨降りの日があると「傘!傘!」と慌ててしまいます。朝、降っていても帰りに雨があがっていると傘をついつい忘れてしまいがち。



『雨あがり』という山之口貘さんの短編を読みました。話の中には傘を忘れすぎだろ!という男の子が出てきますが、主人公は可愛いミミコちゃんという女の子。1回だけ雨合羽を学校に忘れてしまったことがあります。もう忘れないようにしなくちゃ!と思ったミミコちゃん、他にもたくさん持ち帰るものがあった日に、なんとランドセルを忘れてきてしまいましたΣ(´д`*) この短い話も青空文庫で読めます。


http://www.aozora.gr.jp/cards/001693/card56662.html




この作品の作者は山之口貘さん。以前『求婚の広告』をブログで紹介しました。コレです( ´∀`)



1日もはやく私は結婚したいのです
結婚さへすれば
私は人一倍生きてゐたくなるでせう
かやうに私は面白い男であるとおもふのです
面白い男と面白く暮らしたくなって
私ををつとにしたくなって
せんちめんたるになってゐる女はそこらにゐませんか 
さっさと来て呉れませんか女よ
見えもしない風を見てゐるかのやうに
どの女があなたであるかは知らないが
あなたを
私は待ち侘びてゐるのです




6月の花嫁ならぬ6月の花婿を夢見ている殿方も多いのかしら? いただいたコメントにお返事させていただきました。 遅れてすみません! 皆さま、楽しい週末をヾ(´ー`)ノ





rohengram799 at 16:55コメント(6) 
青空文庫 
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