2021年04月

2021年04月20日

純陽雲便りNo.17:音の歳時記

昼間と朝晩の気温差が大きくて、季節もなんだか先に先にと進んでいるようで、いろんな情報も混沌・混濁しているようで……いろんなことから置いてかれているように感じるワタクシです(´・ω・`; )


「音の歳時記」という詩があります。皆さまの生まれた月の音はどんな響きでしょうか?




「音の歳時記」 那珂太郎(*)


一月 しいん

石のいのりに似て 野も丘も木木もしいんとしづまる
白い未知の頁 しいんーとは無音の幻聴
それは森閑の森か 深沈の深か
それとも新のこころ 震の気配か
やがて純白のやははだの奥から
地の鼓動がきこえてくる

二月 ぴしり

突然氷の巨大な鏡がひび割れる
ぴしり、ときさらぎの明けがた
何ものかの投げたれきのつけた傷?
凍湖の皮膚にはしる鎌いたち?
ぴしりーそれはきびしいカ行音の寒気のなか
やがてくる季節の前ぶれの音

三月 たふたふ

雪解の水をあつめて 渓川は滔々と音たてて流れはじめる
くだるにつれ川股に若草が萌え土筆が立ち
滔々たる水はたふたふと和らぎ
光はみなぎりあふれる
野にとどくころ流れはいっそう緩やかに
たぷたぷ たぷたぷ みぎはの草を浸すだらう

四月 ひらひら

かろやかにひらひら 白いノオトとフレアアがめくれる
ひらひら 野こえ丘こえ蝶のまぼろしが飛ぶ
ひらひら 空の花びら桃いろのなみだが舞ひちる
ひらひら ひらひら 緩慢な風 はるの羽音

五月 さわさわ

新緑の木立にさわさわと風がわたり
青麦の穂波もさわさわと鳴る
木木の繁りがまし麦穂も金に熟れれば
ざわざわとざわめくけれど
さつきなかばはなほさわさわと清む
爽やか、は秋の季語だけれど
麦秋といふ名の五月もまた 爽やか

六月 しとしと

しとしとしとしとしとしとしとしと
武蔵野のえごのきの花も 筑紫の無患子の花も
小笠原のびいでびいでの花も象潟の合歓の花も
うなだれて絹濃のなが雨に聴きいる
しとどに光の露をしたたらせて

七月 ぎよぎよ

樹樹はざわめき緋牡丹は燃え蝉は鳴きしきる
さつと白雨が一過したあと 夕霧が遠い山影をぼかすころ
ぎよぎよぎよ 蛙のこゑが宙宇を圧しはじめる
月がのぼるとそれは 
ぎやわろっぎやわろっぎやわろろろろりっと
心平式の大合唱となる

八月 かなかなかな

ひとつの世紀がゆつくりと暮れてゆく
渦まく積乱雲のひかり
光がかなでる銀いろの楽器にも似て
かなかな かなかなと ひぐらしのこゑは
かぼそく葉月の大気に錐を揉みこむ
冷えゆく木立のかげをふるはせて

九月 りりりりり

りりりりり......りり、りりり......りりり、
りり......り、りりりり......
あれは草むらにすだく虫のこゑか
それとも鳴りやまぬ耳鳴りなのか
ながつき ながい夜 無明長夜の
ゆめのすすきをてらす月

十月 かさこそ

あの世までもつづく紺青のそら
北の高地の山葵色の林を
しぐれがさっさつと掠めてゆくにつれ
幾千の扇子が舞ひ 梢が明るみはじめる
地上にかさこそとかすかな気配
栗鼠の走るあし音か 地霊のつぶやきか

十一月 さくさく

しもつきの朝の霜だたみ
乾反葉敷く山道を行けばさりさり
波うちみだれる白髪野を行けばさくさく
無数の氷の針は音立ててくづれる
澄んだ空気に清んだサ行音
あをい林檎を噛む歯音にも似て

十二月 しんしん

しんしん しはすの空から小止みなく
白模様のすだれがおりてくる
しんしん茅葺の内部に灯りをともし
見えないものを人は見凝める
しんしんしんしん それは時の逝く音
しんしんしんしん かうして幾千年が過ぎてゆく




どうぞよい1日を ♪(o・ω・)ノ))



(*)
https://kotobank.jp/word/%E9%82%A3%E7%8F%82%E5%A4%AA%E9%83%8E-857176



rohengram799 at 08:15コメント(8) 

2021年04月19日

純陽雲便りNo.16:疑問符

「テクスチュアルハラスメント」なるものがあるらしい。ある文章に対し「女にはこんな文章は書けるわけがない」「男なのに女々しい表現ばっかり使う」などの性差別に当たる発言をしたり、男性作家と名乗っているのに裏では女性に書かせているに違いない、などの虚偽の噂を事実のように周囲に吹聴するような、嫌がらせ行為のことをいうそうです。


名前だけでは男女の区別がつかない作家さんていますが、その区別は必要なのか?という時代になっていますね。作家さんのプライベートは知ってしまうとなんだかなぁ…とへんな先入観を抱いて小説を読んでしまいそうで、ご自身がインタビューとかで語らない限りは別に知らなくてもいいかな、と。短歌や俳句などはそれを詠んだ時の状況を知ると理解が深まることはありますが…。たまに、えっ、このふたりは夫婦なの!? と驚くことも(;´∀`)


*****


読売新聞(3/26)四季で長谷川櫂さんが取り上げた、ねづときおさんの「花の宴一等席に車椅子」の句がとても素敵だなぁ、と思い、句集『せせらぎ』を検索してみたのだけれど、他の方のものしか見つからない……ねづときおさんも根津美術館とか鬼滅のネズコちゃんがワラワラ出てくる(´-ω-`)


「オカアサン」と鳴く鳥かなし十三夜(上村占魚)

こちらの俳句を見つけた時も、本当にオカアサンと鳴く(そう聞こえる)鳥がいるのか知りたい!と思いましたが、見つからない。自分だけにそう聴こえたってことなのかなぁ…と考えては、やっぱり気になる!の繰り返しです。

追記∶佐藤春夫「オカアサン」
オウムの話。おそらく前の飼い主のところで覚えた言葉を喋るようになる。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/55985_55495.html


*****


西條奈加さんの『まるまるの毬』を寝る前に一章ずつ読んでいます。和菓子職人の話なのでいろんなお菓子が出てくる……明日はかりんとうを食べよう!と思いながら布団に入ることになり、最近なぜか早起きに(笑)

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212658


*****


今日は夏日になるとか? 皆さま、体調管理が大変だと思いますが、どうぞおだやかで楽しい1週間になりますように (*・ω・)ノ



rohengram799 at 07:50コメント(4) 

2021年04月16日

純陽雲便りNo.15:サクラとカモメ

「朝桜(あさざくら)」という季語がありました。朝に露をおびて咲いている桜のことをいうそうです。もうそんな光景はこちらでは見ることは出来ませんが、新緑の瑞々しさにまた季節の変化を感じます。そのうち、こいのぼりを見かけるようになるでしょうか?

*****

「シーガル〜アルトサクソフォンと吹奏楽のためのバラード(作曲:真島俊夫)」という曲を知りました。シーガル(seagull / sea gull)はカモメのこと。
https://youtu.be/oBhqpvBzs5s

アルトサックスの音色は官能的……なんとなく行ったこともない外国の海岸風景を思い浮かべて、素敵な男女を歩かせたくなります(*´ω`*)

*****

ミッキーのTシャツを着てコンビニで「期限間近の夢があります」(*)


4月15日は東京ディズニーランドの38回目の開園記念日! とかニュースで流れていましたが、高校を卒業して私が東京でひとり暮らしを始めた年がTDL開園の年……あれから38年! そりゃ〜くたびれますわ(;´∀`)

*****

明日はまた雨になるようですが、皆さま、楽しい週末をお過ごし下さいませ。次の更新は月曜日の予定です ♪(o・ω・)ノ))



(*)こちらの歌集より
https://furansudo.ocnk.net/phone/product/2754



rohengram799 at 07:35コメント(4) 

2021年04月15日

純陽雲便りNo.14:密息 (みっそく)

密息や山の根に浮く春の虹  赤尾兜子(*)



密息(みっそく)は禅の言葉だそう。

尺八の演奏をするときの呼吸法が「密息」で、腰を落として骨盤を後ろに倒して、腹をやや張り出したままどこにも力を入れず、横隔膜だけを上下させて深く呼吸をする……畳に座り帯を腰に締めていた日本人は、ごく自然にこの呼吸法を身につけていたけれど、近代の生活様式の中で忘れてしまったと…呼吸が大切、とは由美かおるさんとかも昔から言われていましたけど、こんな言葉があるとは。アホな私は「みついき」だと思っていたので、蜜の息 ……(*´∀`*)ポッ ! とエロい方向に思考が向かっていたのでした(笑)


【「密息」で身体が変わる】
https://www.shinchosha.co.jp/book/603563/


https://news.yahoo.co.jp/articles/00efb0d32354f6c2b643a9b8c9fde4bbcdc85835




(*)https://kotobank.jp/word/%E8%B5%A4%E5%B0%BE%20%E5%85%9C%E5%AD%90-1636859



【追記】
密息と腹式呼吸との違い、で検索して見つけた記事です。呼吸法、奥が深い!

https://blog.goo.ne.jp/yuka-2525/e/e1552142c4c4b1459aae9f047396765d



rohengram799 at 11:35コメント(6) 

2021年04月14日

純陽雲便りNo.13:ものがたり

旧暦には2月30日があると知って軽くショーゲキを受けた私です〜今年は4月11日が旧暦2月30日だったそうです。調べるサイトもありました φ(・ω・`)

https://www.calc-site.com/calendars/old_calendar


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今はいろんな○○大賞がありますが、こんな本の賞がありました📚

【メンタル本大賞】
https://note.wrl.co.jp/n/n838d9ff4024c

確かに本屋さんにいくとあらゆるジャンルにメンタル系の本があるような気がする……!


こちらでは一穂ミチさんの『スモールワールズ』刊行記念として、未収録の掌編を読むことが出来ます。とても素敵なそしてせつないショートストーリーでありましたが、無料でこれを読めるのは有難い!と思いました。

https://smallworlds.kodansha.co.jp/


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今日は荒れた天気になりそう……皆さま、どうぞお気をつけ下さいませ。



rohengram799 at 07:30コメント(2) 
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