2011年08月24日

第561号:万寿子さんの庭

今度はアメリカ東部での地震…昨日も急に揺れてビックリしましたが、ひとり暮らしの高齢者の方とか心細くないかと思ってしまいます。


『万寿子さんの庭』の万寿子さんもご主人を亡くしてからひとり暮らしをしているおばあさん。庭にはたくさんの花があって大きなアマリリスが印象的!!…なんて書くと、小柄で可愛らしいおばあちゃん♪を連想しそうですが、実際は「イジワル婆さん」に近い(笑)


近所のアパートに越してきた主人公の京子ちゃんにちょっかいを出す出す~まるで小学生みたいにスカートめくりをしたり「ブス」とつぶやいたり…(((^_^;)


でも、二十歳の京子ちゃんは負けないでやり返す~そんなやりとりをしているうちに年齢を越えた「乙女の友情」が成立して、一緒に温泉旅行にも出かける仲に(*^^*)


そこで、万寿子さんが軍需工場で働いていたこと、京子ちゃんにちょっと似ていた妹を亡くしてしまったことなどを知るのです。


そして老いは確実に万寿子さんに迫ります。化粧の濃い民生委員のおばさんがなんかリアル…年寄りはこうなの!!な思い込みとか…。


万寿子さんは風船爆弾の工場にいたのですが、この本を読む前に、川崎の登戸研究所資料館のコラムを読んでいました。ここは風船爆弾の開発を行っていたそうで…透明感のあるブルーの和紙(一部)が展示されているそうです。


同じ工場で万寿子さんと妹のみっちゃんは働くことになったのですが、爆撃にあい…。


この本は反戦がテーマではないのですが、万寿子さんの昔語りの場面を読むと、戦争が何年たとうと記憶に残り人を苦しめるのだと思いました。


だんだん痴呆が進み、自分でもそれを自覚している万寿子さんは遺書を書きます。それを京子ちゃんに渡して押し問答みたいになって…昔の万寿子さんになる場面があります。


「ごめんよう。みっちゃん、ごめんよう。あたし一緒に死のうと思ったんだよお~っ」
万寿子さんはわたしの腰に抱きつき、胸に顔を埋め、号泣した。
「でも出来なかったんだよう。許しておくれよ、みっちゃん」
「大丈夫だよ」
わたしは万寿子さんの小さな頭を抱き、頬をすり寄せた。
「大丈夫だから。まっちゃん。謝ることなんかないんだから……」


人生の最期にステキな友達と出逢えた万寿子さんは幸せだったと思います。そして京子ちゃんには、その想い出を大切に、前向きで楽しい毎日をおくってほしいと願うのです。




rohengram799 at 08:00コメント(12) 
空のお城図書館 

コメント一覧

1. Posted by なう60   2011年08月24日 08:28
おはようございます。
「人生の最期にステキな友達と出逢えた万寿子さんは幸せだったと思います。そして京子ちゃんには、その想い出を大切に、前向きで楽しい毎日をおくってほしいと願うのです」感動の朝です。
2. Posted by kouchan   2011年08月24日 10:07
准教授「僕はスカートめくってないからね!! 風のイタズラなんだからね♪」

工場実習で思考停止状態でございますorz
3. Posted by オスカー   2011年08月24日 12:44
§なう60様
万寿子さんの晩年から旅立ちまで…京子ちゃんと一緒に見送れました。離れていた娘さんもいい人で悪人らしい悪人はいませんでした。

§ kouchanさま
お疲れさまです!まだまだ新入社員だもんね。物語の京子ちゃんはヒマすぎる職場だけど(笑) 季節の変わり目、身体に気をつけて!
4. Posted by 猫ムスメ   2011年08月24日 13:16
「万寿子さんの庭」、とても良さそうな本ですね。さっそく図書館で検索してみたいと思います(^~^)

ちなみに昨日はまたインドネシアでも地震があったみたいだし、世界中で揺れていますね 日本も最近やけに長くて小刻みな地響きみたいな揺れが多いし…いつ日本沈没みたいになってもおかしくないですね。
5. Posted by オスカー   2011年08月24日 15:06
§猫ムスメ様
背中に貼り紙をしてその様子を確認しに駅まで後をつける万寿子さん~おばあさんだからまぁ許せる…のかもしれない。おじいさんでこのタイプはイヤだ
6. Posted by Minorpoet   2011年08月24日 18:30
5 オスカーさん こんばんは♪

素敵な本「万寿子さんの庭」の紹介ありがとうございます!
こういう本がベストセラーになってみんなが読むような時代に
なってほしいものです♪
7. Posted by たいちゃ~ん   2011年08月24日 19:19
5 こんばんは♪

アメリカの地震、ビックリしたようですね~~~
日本で考えれば、M5.8なん~~てと思うのですが(@_@;)

万寿子さんと京子さんのやりとりが目に浮かんできます!
戦争の傷跡、色んな処にありますね(;一_一)

全く関係ないですが、登戸は我が息子が住む街です。
8. Posted by オスカー   2011年08月24日 20:31
§ Minorpoetさま
京子ちゃんは今どきの女の子でありヤマトナデシコでもある!ちょっとドラマでみたいかも、と思いました。

§たいちゃ~ん様
明治大学生田キャンパス内にあるみたいです。風船爆弾の基地は勿来(なこそ・茨城かな)や大津にあったみたい。万寿子さんはお花が好きなので、たいちゃ~ん様宅のお隣だったら気があったかも(笑)
9. Posted by 松尾陽   2011年08月24日 21:51
あちこちで地震が起こって、いつどこで何があってもおかしくない世界になりましたね。

人はひとりで生まれひとりで死ぬとはいえ、やはり生きてる間に誰かが自分の事を覚えていてくれたら嬉しいものなのだろうかと思いました。
ブログは便利だなとしみじみと思います(笑)。
10. Posted by トリテン   2011年08月24日 22:19
頻繁に出る地震速報に、さぞかし怖い思いをされておられることとお察しいたします。珍しくアメリカでも自信があったそうで、いよいよ2012年なのかとも思います。
生きている間には、一度や二度は大きな事件に出会うのでしょうね。戦争と同じくらい、この度の震災も語り継がれていくのでしょう。健康も平和も失って気づくのでは困りますけど・・・
11. Posted by あっきー   2011年08月24日 23:15
万寿子さんと京子ちゃん。
年齢を越えた友情、いいですね♪
長い時を経ても消えることのない心の傷。
それを打ち明けられる相手、受け止めてくれる相手が
いるって、とても幸せなことですね♪
12. Posted by オスカー   2011年08月25日 10:38
§松尾陽さま
リアルな私を知る人が皆無に等しいブログなので、もし3日以上何の更新もなければお城に旅立ったと思って下さいね(((^_^;)

§トリテンさま
8月に戦争のドラマが少なくなったのはネタがないから、なんて記事もありますが失礼な話です。一人一人の人生を語るのには悠久の時間が必要なのに…。物語による疑似体験、追体験、大事にしたいです。

§あっきー様
世代を越えた女同士の友情っていいな!!と思いました。若い京子ちゃんの献身は私たち世代が見習わないといけないくらいでしたよ。

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