2011年09月27日

第583号:邂逅の森

前の孔雀の記事にたくさんのコメントありがとうございました。お返事もう少しお待ち下さい。ごめんなさい(;o;)


さて…タイトルの『邂逅の森』の「かいこう」とは[思いがけなく出あうこと。偶然の出あい。めぐりあい]という意味です。


『邂逅の森』(熊谷達也)は……秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。鉱山で働くものの山と狩猟への思いは断ち切れず、再びマタギとして生きる…(表紙裏のあらすじより)ひとりの男の物語です。


時代は大正三年から始まります。明治維新もまだまだ地方の農村には浸透していないので、義理人情、色恋沙汰、様々な掟やしきたりが人間関係を複雑に絡み合わせて……本当に面白い!富治に関わった二人の女性の生き方も見逃せません。なんという力強さ!!


私の中では「山本周五郎賞受賞作品にはハズレがない!!」という考えがあり(芥川賞とか江戸川乱歩賞はどうしても好みでないのがある)、史上初の直木賞とダブル受賞だし…厚みもあって(500ページ強)読みごたえ十分でしかも50円!!迷わず購入ですよ(笑)


作者の熊谷さんは仙台の生まれで、この作品を書くのに実際マタギの方々に同行し山にも入ったようです。さすがに昔のようにマタギのみで生計をたてている人はいないようですが。作品の中にも狩猟に関する法令の話や炭鉱の盛衰などが描かれていて、近代史の勉強にもなります。


田辺聖子さんが「活字の伝えるいのちのなんという威力(ちから)」と解説に書いていますが、まさにそのとおりです!!雪深い東北の厳しい自然、村の生活、山の神への畏敬の念、獣の気配、格闘ではなく死闘…それらを「マタギ」として疑似体験し、生き抜くことへの執着の素晴らしさを感じました。地理や東北弁のイントネーションのわかる人ならより感情移入できるんじゃないかなぁ。


山のヌシ(巨大クマ)との駆け引きなどは『老人と海』のサンチャゴとカジキマグロの格闘のよう~ヘミングウェイ作品の訳は新潮文庫版が一番好きです!


♪老人は闘ってきた 魚たちと 捕らえねじ伏せ殺しそして愛した…


こんな歌を聞いたことがあって、全部の歌詞を知りたいのですが、わからぬままです※


夜中の1時過ぎ、まだまだ読後の興奮がさめませんが~私らしく小ネタをひとつ♪


『メガネクマ』が南米にいるらしいです。目のまわりやノドに、白や黄白色の斑紋が入り、個体によってはメガネのように見えることが和名の由来だそうです(^0_0^)



※作詞:中山千夏 作曲:小室等 歌:中山千夏 「老人と海」でした!!



rohengram799 at 00:54│Comments(9)空のお城図書館 

この記事へのトラックバック

1. 咲雲便りNo.19:光る牙  [ 空のお城通信~オスカー戯言日記~ ]   2015年03月19日 08:36
♪光る海 光る大空 光る大地~ これは『エイトマン』の主題歌ですね。私はコレを見たことがなくて(田舎だったので中学くらいまでNHK総合に教育、ローカル2局しか映らなかった。 ...

この記事へのコメント

1. Posted by 猫ムスメ   2011年09月27日 07:41
正に「老人と海」のような壮大さですね。オスカーさんの文章から、それがよく伝わってきます。それと、オスカーさんの興奮も伝わってきました。私は「老人と海」同様、「青春の門」が浮かびました。1人の男の一生とそれに関わる女性ということで、恐らく共通する壮大さがあると思います。

ちなみに私、最近、読んだ後に興奮冷めやらなかったり呆然と力が入らなくなったりする作品になかなか出会いません。10代・20代の頃はよくそういう思いをしたので、歳をとって自分の感受性が劣化したのもあるのかな~と思っています
2. Posted by なう60   2011年09月27日 08:06
おはようございます。
「田辺聖子さんが活字の伝えるいのちのなんという威力(ちから)と解説」素晴らしい文章、感動ですね。オスカ-さんの日々のブログ、素晴らしく感嘆です。
3. Posted by まろゆーろ   2011年09月27日 14:19
秋田の阿仁町、マタギの町を通ったことがあります。
晩秋でしたが迫った山に町が隠れるように佇んでいて、これに雪でも降ったら
いよいよ畢竟の地、マタギの世界だなと雪もマタギも知らない九州人は思いました。

田辺聖子さんの言葉、素晴らしいですね。
しかし、以前、姫君が書いていた、
「薄っぺらい怒りは結局自分の価値を下げますよ」という言葉がありました。「怒りをブチまけることが最善の結果につながるのか考えてみて欲しい」と。
の言葉に惚れて魅せられて、今の私は支えられているんですよ。
4. Posted by オスカー   2011年09月27日 15:53
§猫ムスメ様
読書も体力がいるなぁ~と久々に思いました
本の世界も「邂逅の森」なのかもしれません。きっとまた猫ムスメ様のハートに火をつけるスゴいヤツと出逢えますよ

§なう60様
pumaではなくkumaと書かれたTシャツを着た人をみて笑ってしまいました。そういえば三島の『夏子の冒険』も熊を追いかけていました。今年は熊に縁があるのかも(笑)

§まろゆーろ様
東北人の血の力強さをバシバシ!!感じる骨太の物語でした。「薄っぺらい怒り」~私は紹介しただけの立場ですが、こうして言葉や想いは人から人へつながっていくのだと嬉しく思っております
5. Posted by もちつきママ   2011年09月27日 17:06
おもしろそうですね…
東北弁を使う者としては、
ぜひ読んでみたい(笑)
私の中には、「オスカーさんが薦めているモノにはまちがいはない」
と思っておりますので、さっそく本屋さんへGO~♪
6. Posted by Minorpoet   2011年09月27日 17:56
オスカーさん こんばんは♪

今や「電子書籍」なるものが出現し、活字文化の崩壊のようなことが
言われていますが、オスカーさんのような方がいる限り、活字文化は
健在ですね♪
7. Posted by オスカー   2011年09月27日 18:50
§もちつきママ様
いろんな意味でハードな作品ですが(笑)読んで良かったです。生きている、生かされている…スゴく感じましたから。「アテルイ」についても詳しく知りたいなぁと思っています!!

§ Minorpoetさま
やはり紙ですよ、紙!!←トイレみたいだ(笑)装丁や帯の文句もですが、行間を味わうにはやはり紙に限ります。指先から言葉が身体に染み渡る~「紙は神」ですわ(*^^*)
8. Posted by ナオたん   2011年09月29日 22:57
5 “邂逅”という言葉を初めて知りましたが、タイトルを見て『どういう意味だ?』的な本は大変興味深いですね

500ページで50円10ページで1円ってことか(笑)

本から当時の時代背景を知ったり出来るのは、本当に勉強になりますね

ウチの祖母は大正5年生まれなので、当時はどんな時代だったのか知る意味でも読んでみたい一冊です
9. Posted by オスカー   2011年09月29日 23:56
§ナオたん様
近くの中古書店は毎週火・金は200円以下の本が半額になるんです!!だから5円で買える本もありますそうして溜め込んだ本が何冊も

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