2012年01月27日

第680号:『太陽にほえろ!!』的な走りを想像して欲しいです(((^_^;)

皆さま、ごきげんよう☆コンビニに行ったら楽天のマー君と里田まいちゃん婚約の見出しのスポーツ紙がどーん!!と目に飛び込んできました。例の震災を理由に離婚した方に憤慨していたので、嬉しいニュースであります。いつまでも仲良くしていただきたいです。


ワタクシですが、あまり食べる意欲はありませんが水曜日よりはるかに元気にしております。まぁどうにか仕事もしています。家事は放置に近いですが(´д`)月曜日が休みなので今月中にはまたいつものペースに戻りたいです。皆さまのところも読み逃げが続いていますが、またコメントさせて下さいまし。


春が待ち通しいですね。皆さまもお身体にどうぞお気をつけ下さい。




『愛しい人へ…』第4回


「無理言って悪かったな。ここからだとだいぶ遠回りになるか…急がないとマズいぞ」
ユキを見舞った後、トドロキは表通りに待たせておいたタクシーに戻った。彼の目には“いってらっしゃい”と見送ってくれた彼女の顔が映ったままだ。やりきれない気持ちを押さえるかのように右手を口元に運ぶ。
「先輩、本当にいいんですか?風邪くらいと思うかもしれないけど…つらいですよ、ひとりでいるのって…」
助手席から振り返りタツキが声をかけてきた。
「知ってるよ」
知っているさ……ひとりきりの部屋の広さも、誰かが帰った後に少しずつ冷えていく空気も知っている。だからなるべくユキのアパートにはいかないようにしていた。残された者の夜は長い。夜中、目覚めた時に見える蒼白い光は時として氷の刃になる。夜明けが来てもなお胸に刺さるその刃の痛みを、彼女はどう癒してきたのだろう。


トドロキは深くシートに座り直すと腕組みをし、目をふせた。そんな彼をずっと観察していたタツキはこう言った。
「先輩、今日はもういいですよ」
「なんでだ?お前らだけで大丈夫なワケがないだろ?今夜はあのキシモト社長の相手だぞ」
今日は先輩がいた方が大変な気がするけどな~とタツキは思った。午後からの彼はひどかった。書類にコーヒーはこぼす、間違い電話を何度も同じ場所にかけ、来客は一時間以上待たせた。おかげでいらない仕事が増えてみんな苦労したというのに―素直じゃないな、この人も。
タクシーはかなり順調に目的地に進んでいる。
(仕方がない)
タツキは大げさに言った。
「先輩は人の話を全くきいていませんね。今日はウチだけの飲み会になったんですよ。社長の息子さんが外国から急に帰ってくるとかで別の日にしてくれって…だからムリしてオレたちに付き合ってくれなくてもいいんですよ」
「……ウソつけ!!」
「ホントですって!お昼から戻ってきた時にミチルちゃんが言ったでしょう?ケーキは女の子でわけよう~って喜んでたじゃないですか。だから予定変更してイズミ部長もヤブキと名古屋に出掛けたんですから」
トドロキの記憶は曖昧で反論したいが出来ない。ネクタイを緩めながら、後輩に聞く。
「ワオやタカクラ達はケーキを受け取って社長を迎えに行くから先に会社をでたんじゃないのか?」
「違いますよ。お店にあやまりにいったんです。今後のこともありますからね。きちんとしておかないと…」
「わかった!停めてくれ!!」
タクシーを飛び出すように降り、走っていくトドロキの後ろ姿を見ながらタツキはため息をついた。
(ひとりだと自分がどこにいるのかわからなくて…闇に埋もれてしまいそうな夜がどうしてもやってくる。だから自分の名前を呼んで抱きしめてくれる誰かが必要なんですよ…こんなことオレが言わなくてもわかっていますよね、先輩は)


キシモト社長はトドロキの急用について詳しくはきかなかった。彼の後輩たちに仕事の話をし人生について語り…何軒か飲み歩いた後「ひとり娘へのおみやげ」シフォンケーキを持って帰宅した。週明けにはキシモト工業から大量の注文が入り、いつも仕事のミスをかばってもらい、昼食をご馳走してもらっていた後輩たちは胸をなでおろした。


昨日の午後から「らしくない」彼はどうにか仕事をすませ、帰宅した。何年かぶりの外泊をわびる息子に母親は「ユキちゃんは元気になった?」と言った。赤い顔をした彼は咳き込み、ますます顔を赤くした。寝込む彼の枕元では、闇太郎がミャ~とないている。


3日後、出社した彼はいつも通りだったが、ささやかな変化に気づいた人もいるかもしれない。灰皿にたまる吸い殻と、後輩を飲みに誘う回数が減ったということに。


次は最終回だ♪



rohengram799 at 22:00│Comments(11)TrackBack(0) 愛しい人へ… 

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この記事へのコメント

1. Posted by まろゆーろ   2012年01月27日 23:31
おぉ、少し元気になったようなパワーが飛んできました。
家事も放棄、結構だと思いますよ。
やさしい息子さんたちがしっかりとサポートして下さるのではないでしょうか。
もっともっとお大事にして週末をお過ごし下さい。
2. Posted by 猫ムスメ   2012年01月28日 00:27
体調不良、かなり長引いているみたいですね
家事よりむしろ仕事を休んだ方がいいのでは…と思ってしまいます(T_T)

どうぞご無理なさらずに…
3. Posted by kazu   2012年01月28日 01:47
5
こんばんは!

本当に春が待ち遠しい!

大寒波とは申しますが深夜の帰宅でしかも2キロを徒歩となると本当に

「寒波きてんだなー」

って実感します。
4. Posted by なう60   2012年01月28日 07:12
おはようございます。
「やはり健康が一番」完全回復に向かうことを心から祈ってます。
小説、楽しく読んでいます。心の葛藤を上手に表現して素晴らしくです。
5. Posted by あっきー   2012年01月28日 10:10
オスカーさん、体調が悪かったのですね。
お大事にしてください。
とうとう念願のオスカーさんの小説を読むことができてうれしいです♪
「Love is All」を頭の中で流してみると、ますます素敵なドラマになりますねー!
自分も小説書いたことがあるけど、とっても難しかったです。
オスカーさんの小説は、自然な表現でクセがなく
とってもまとまっていて読みやすいです~。
何かに応募したらいかがでしょうか?
6. Posted by kouchan   2012年01月28日 10:28
准教授「僕も作家デビューしようっかな?」
学生「コント作家ですか?」
准教授「>_<」

気が付いたら小説サイトになりましたね♪
7. Posted by ラブソン   2012年01月28日 11:11
5 オスカーさん、こんにちは
この時期になると、ユーミンの春よ、来いを思わず口ずさんでしまいます健康が一番の幸せですね
8. Posted by オスカー   2012年01月28日 22:22
§まろゆーろ様
少しずつ体調の回復を実感しております。師匠もムリしないで下さいね。

§猫ムスメ様
たしかに仕事が休みの日は精神的にもラクです。小さいながらもトラブルも多くなり…担当者にどうにかして欲しい

§ kazuさま
>ニキロを徒歩
危ないです~深夜だなんて!!トレーニングとはいえ何かあったら大変!気をつけて下さい!!

§なう60さま
トドロキくんの疾走シーンは大好きな場面(笑)。いつも感想をありがとうございます。
9. Posted by オスカー   2012年01月28日 22:22
§あっきー様
これは歌をテーマにした最初の話かもしれないです。あの歌に出逢わなければこれほど話が広がらなかったかも…書くのは趣味のままでいいです(笑)

§kouchanさま
准教授とアナタの話もおのぞみでしたら書きます!!内容は…ここではちょっと

§ラブソン様
なんだかんだいいながら、来週は立春…まずは暦の上の春を待ちましょう
10. Posted by Minorpoet   2012年01月29日 09:28
5 オスカーさん おはようございます♪

物語もいい感じになって来ましたねぇ~、オスカーさんの体調も良い方向に向っているようで♪

後輩たちのトドロキに対する心遣いがいいですね!サラリーマンの上下関係、営業の接待などリアルに描かれています♪

「闇太郎」という猫の名前の由来が、なんだか気になりますが・・・・。
11. Posted by オスカー   2012年01月29日 19:18
§ Minorpoetさま
“闇太郎”はですね、トドロキくんのモデルになった轟悠さんが演じた役名のひとつです。舞台は『雪之丞変化』だったと思います。

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