2013年07月30日

入道雲便りNo.10:プロ乙女の人生

今日はテレビドラマ化もされて人気の『真夜中のパン屋さん』の作者である大沼紀子さんの『ばら色タイムカプセル』を読み終わりました。


13歳の家出少女・奏(かなで)が流れ着いた場所は、海が見える町にたたずむ不思議な老人ホーム「ラヴィアンローズ」。咲き誇る薔薇が自慢のこの施設で、年齢を詐称して働きはじめた彼女は、薔薇園に隠されたある噂を知ることに…そうです、お決まりの「あんなに綺麗な薔薇がたくさん咲いているのにはきっとヒミツがある、死体が埋まっていてソレを栄養にしているのよ!!」パターンです(笑)。40年以上の時を超えて明かされることになった秘密。まわりの顔色を伺いながらわりと良い子で過ごしてきた彼女には貴重な夏休みになったかも。パン屋さんよりこっちの話の方が私は好きですね~!!


ホームにいる、かつての乙女たちは、特に介護が必要というわけではないので、それこそ寄宿舎にいる女子高生のノリで「きゃいきゃい」「きゃぴきゃぴ」しております。特に歌舞伎大好き三人娘は精力的に活動しています。好きなものがあるって精神をいつまでも若く保ってくれますね。それぞれに家庭の事情があり身体的な衰えは隠せないけれど、それも含めて人生を楽しんでいる感じ。これが男性入居者メインの物語だったらどうなるんだろう?「少年の心を失わない人」と言えばカッコいいですが、実生活でコレを貫いていたら女性以上に「いい年をして~」と言われそうな気がします(--;)


自分もホームで暮らしながら、両親が別々の介護施設にいる登喜子さん、父親の葬儀に母親を出席させるのにもひと苦労です。母親は自分の子どももわからない、ダンナのことも忘れている状態なので……。でも車椅子で参列し遺影を見て「あなた…」と泣きくずれる場面には、いろんなイヤな出来事があったとしても、もう逢えないのだというかなしみは溢れてくるのかなぁ…と思いました。この話のようにすべてがドラマチックにはいかないでしょうけれど、人の想いってとっても複数で不思議だと思いました。私はボケたらダンナも子どもたちも全部どこかにいってしまう気がする……恨まないでね(~_~;)


奏ちゃんはストレスで白髪になっているのですが『ベルばら』で王妃さまが逃亡に失敗し一晩でブロンドが白髪に…とありましたが、実際は一度ひ白髪にはならず徐々になるとか。しかし、13歳で……(´д`)どんだけストレスためたのよ~!!近くの中学で合唱コンクール練習の歌声に耳を傾けていた彼女に、男の子が話しかけてきて、彼もホームの手伝いをするようになるのも「ああ、青春」的で、ツッコミたくなりますが、そこはガマンしてね(笑)私は、もうそんな出来事も微笑ましくサラリと読めるオバサンになりました。


最後に彼と母親のエピソードが載っているのですが(奏ちゃんは父子家庭、彼は母子家庭)「好きな人でもできた?」ときかれ、ちょっと口悪く照れをごまかす息子に「そういうところ、お父さんにそっくり」と言う場面があります。そして「子供ってタイムカプセルみたいね」「なんだか色々と、思い出しちゃうわ」と。子どもだけでなく、親族だけでなく…自分の好きな人、好きだった人がいなくなってしまった後には、その人の面影が残るもの、ちょっとしたしぐさや言葉、出来事に過去に引き戻されることってありますよね。そこにとどまることは出来ないけれど、懐かしく思い出すことは出来る。この物語に出てきた若いふたり(笑)も、60歳70歳になったら何気ない風景の中に10代を思い出すのかも…。


以前、平井堅さんが歌っていた『The rose』を聴いて感動したのですが、今日はまたこの曲を聞きたい気分です。目指せ、永遠の『プロ乙女』!!


明日で7月も終わり!猛暑に豪雨、あちこちで被害があり……特に水害にあわれた方々には(後片付けの大変さをちょっとだけですが体験した私)心身の疲労感がどんなに積み重なっているか…。1日も早く落ち着いた状況になりますように。





rohengram799 at 14:20│Comments(6)空のお城図書館 

この記事へのコメント

1. Posted by まろゆーろ   2013年07月30日 20:11
老人ホームの名前がラビアンローズだなんて粋というか艶めかしいというか。さすがに小説ですね。
真夜中のパン屋さんの舞台は確か三茶だったはず。住んでいた頃を思い出すのが嫌だったのでテレビは見ませんでした。

施設に入っても元気なのは女性の方かもしれませんね。先日、ひとり住まいの高齢者アンケートで一週間以上も他人と口を利かないのはダントツに男性の方でした。企業人として世の中を泳いできて辿り着いた先が物言わぬ自分とは。悲しいことですね。そして身につまされます。私もこれからはオスカーさんを見習ってもう少し本に馴染むようにならねばとつくづく感じました。

気の合わなかった父が逝って5年。最近どうしたことか父に似てきたと言われ始めました。母親似で父とはまったく違う顔だったのに。
子供はタイムカプセルならば親は……、やっぱり鑑でしょうか。磨かねば、必死に磨いておかねば(笑)

7月も明日で終わりますね。今月もさまざまな話題をありがとうございました。此処は私のオアシスです。
2. Posted by 猫ムスメ   2013年07月31日 07:48
「真夜中のパン屋さん」はオスカーさんのブログで知り、全巻読みました。そして続編が待ち遠しいシリーズの1つとなりました! 焼く側も買う側も訳アリな人間ばかり出てきますが、個人的にはマダラメが好きです(笑)
「ばら色タイムカプセル」も図書館で予約するリストに入れさせて頂きます

それにしても元気なばあちゃん3人って恐ろしいですね(爆) それこそ「姦しい」ではないでしょうか(^_^;)
でもその年になってもキャーキャー言える友達がいるのは素晴らしいことだと思います。旦那はアテにならないし子供も寄り付かない…結局最後に頼れるのは女友達なのよ!! そんな叫びが聞こえてきそうです
男性も仕事をリタイアした後、見つけるべきは趣味と友達だと聞きました(ボケ防止)。でも女と違って会社という狭い組織の中で縦社会な暮らしをしてきたので、難しいみたいですね
やはり平均寿命が女より男の方が短いのは色んな意味で‘正解’だと思っています(^_^;)
3. Posted by なう60   2013年07月31日 08:54
おはようございます。
「奏ちゃんはストレスで白髪」ストレスは色々な症状の要因ですね。現役の頃「血液型O型は、ストレスが頭へ白髪、A型は、胃にきて胃潰瘍」と言われましたが少しは的中していました。ストレスが少なくなると白髪が黒くなることを感じている古希+3歳です。60代、4割程度白髪になりそのままオ-ル白髪と思いきゃ、段々、黒くなり、現在、白髪1割程度です。(笑)
4. Posted by もちつきママ   2013年07月31日 14:54
うわぁ、面白そう〜
元介護士で、薔薇好きにはたまらない(笑)
次の健診の時に…もしくは、出産して入院の時?
に読むように買って来ます♪
そうそう、80歳、90歳になっても、
好きな事や、没頭出来る趣味のある方は、
本当に若々しくて、お元気です☆
5. Posted by オスカー   2013年07月31日 21:56
§まろゆーろ様
>此処は私のオアシスです。
きゃ~!!嬉しすぎてジタバタしちゃいます(笑) 天然温泉のようなじわりじわりの効能がある記事を目指していきたいです!!

§猫ムスメ様
パン屋さん、続編は読んでいない私です~何か進展があったのかしらん?
名刺を出すクセが抜けない定年後の男性の話とかききましたが、男同士だとへんなプライドがあって無邪気に笑い合うのは難しいのかも…ですね。
6. Posted by オスカー   2013年07月31日 21:57
§なう60様
私の叔母のひとりは綺麗な白髪でうらやましいくらい!! キンさん・ギンさんもテレビに出るようになり黒髪が増えましたよね。やっぱり気持ちの問題!?

§もちつきママ様
もうすぐですね~コチラもドキドキしてしまいます。お身体、大事にして下さいね。 ポプラ文庫はファンタジーすぎない作品が多いので好きです。コレもドラマ向きかもしれない!!

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