2014年08月25日

遊雲便りNo.15:おやぢ晩夏~いのちなりけり

明日26日は祖父の祥月命日です。父も夏に逝きましたが、祖母と母は1月に……私も寒い季節に空のお城に旅立つのかしらん?と思ったりしています。


葉室麟さんの『恋しぐれ』読み終わりました。最初、与謝蕪村の老いらくの恋について書かれているのだと思っていたのですが、違いました。彼をとりまく人々を主人公にした7つの連作短編集といった方がいいかも。でもその中に彼の想いや苦悩が垣間見えて、構成もうまいなぁと思いました。 

蕪村は現在の大阪市都島区に生まれましたが、20歳の時に江戸に出て、当時の著名な俳人であった早野巴人(後に夜半亭宋阿と称す)に師事し、27歳の時に(1742年 寛保2年)夜半亭宋阿が亡くなったことを機に、松尾芭蕉に憧れて東北を旅したり、栃木、茨木、丹後や讃岐を旅したりしながら詩作を続けた人。42歳の時に京都を永住の地と定め、このころから「与謝」を名乗るように。俳句を教えながら45歳の時に結婚。娘がひとり。この娘さんの話もあります。また幽霊画でおなじみ(?)の円山応挙や『雨月物語』の上田成秋らとの交流が描かれていて、名前は知っていても活躍した時代がよくわからないワタクシだったので、そうなんだ~!と……また新聞の歳時記でよく見かけていた几董(きとう)や大魯(だいろ)の名前も出てきて、ああそう言えば……で、なんか感動(´∇`)


どの作品も単独で読んでいただいても大丈夫なのですが、私が特に好きなのは『雛灯り』。

 
「箱を出る顔わすれめや雛二対」


雛人形って一体ずつしまわれると思いますが、次に逢うまでは一人きりで狭い箱の中にいるんだよなぁ……もしかしたら人間の身勝手で、やむを得ない事情でずっと箱の中にいて、もうお互いの顔を見ることが出来ないのかもしれない……と初めてお雛様の気持ちになりましたわ。暗闇の中で愛しい人の顔を思い浮かべているのかなぁとか、イヤ、みんな正面向いているから顔なんか初めから知らないんじゃ?とか右大臣なんか酔っぱらいおやぢだから、何年経ったかなんて全く記憶にないんじゃないかとか……最後はいつものようにアホな考えにいってしまいましたが、決してこんな内容ではありませんので(;^_^A



『隠れ鬼』という話の中にはこんな言葉がありました。


「わたしは、いままで世を恨み、ひとを憎んで生きてまいりました。しかし、ひとが日々努力し、おのれの命を全うしようとする姿こそが美しく、愛おしいのだ、と思いました」





私が最初に読んだ葉室さんの作品は『いのちなりけり』でした。しがない藩士・雨宮蔵人が、名家・天源寺家に婿入りすることから物語は始まります。婚儀の夜、妻となる咲弥に「自身の心だと思われる和歌」は何かと問われますが、答えることができません。そのまま蔵人は藩内の政争に巻き込まれ出奔。二人は離ればなれになって流転し、水戸藩と柳沢吉保の対立に巻き込まれながら、再会を果たす時が来ました。17年の月日をかけて伝えたのは、古今和歌集にある詠み人知らずのこの歌です。


『春ごとに花のさかりはありなめど あひ見むことはいのちなりけり』



葉室さんの作品には重松清さんのような「いのちの愛おしさ」があふれている感じがします。私の好きな漫画のひとつに『宇宙兄弟』があるのですが(アニメ・映画にもなっています)こんなやりとりがありました。



「人はなんのために生きるの?」

「私が思うに そんなつもりはなくても 人はね 誰かに“生きる勇気”を与えるために生きているのよ 誰かに勇気をもらいながら」



私も誰かの「勇気のひとかけら」になっているかなぁ……そんなことを考える葉月の昼下りであります。



どうぞ皆さま、よい1週間を(´ー`)ノ





rohengram799 at 13:21コメント(8) | 空のお城図書館  

コメント一欄

1. Posted by ミューちゃん   2014年08月25日 17:09
5 オスカーさん、こんにちは
今年の雛祭りの時に姪っ子がウチに遊びに来て、雛人形を出したんですよ。ウチは男兄弟だから母親が子供の頃に出してたやつを。だから50年以上も仕舞われていたんですよね。母親は女の子を生みたかったのかな…?と、その時ちょっと思いましたね
2. Posted by なう60   2014年08月26日 08:18
おはようございます。
本日、「26日は祖父の祥月命日」おじいちゃん、オスカ-さんの供養の心、天国で喜んでいることと確信します。(合掌)空のお城、どんなところでしょうか?楽しみにしています。「勇気のひとかけら」になっていることと確信します。「世のため、人のため」難しいですね。人間だもの相田みつおさんの声が聞こえてくる朝です。
3. Posted by 崖っぷちLidia(リディア)   2014年08月26日 08:46
私は善良な普通の人が抗えない運命や巡り合わせで
不幸に落ちる話が辛くて辛くて読めません。
苦しくて堪えられません。
4. Posted by 猫ムスメ   2014年08月27日 07:57
松尾芭蕉や円山応挙はよく小説でも主役級で見かけますが、蕪村ってそう言えばあまり生涯とか知らないかもしれません。娘さんが1人いるんですね~

これまた“一話ずつでも楽しめる”短編とのこと…風呂読に良さそう(笑)。さっそく探すリストに入れさせて頂きます(^_^)v
5. Posted by オスカー   2014年08月28日 11:16
§ミューちゃん様
お返事遅れてすみません!
ずっとしまわれていたお雛様、あまりの世間のかわりようにビックリかもですね(笑) 女の子がいなくても自分のためにお雛様を飾る人も多いみたいですよ!
6. Posted by オスカー   2014年08月28日 11:20
§なう60様
お返事遅れてすみません!
この前、久しぶりに父の夢をみました。夢の中では母が先に亡くなっている設定でした。どちらも健在、祖父もいる夢がみたいです。
7. Posted by オスカー   2014年08月28日 11:31
§Lidiaさま
お返事遅れてすみません!
昨日読んだ『ほっこりミステリー』は死人の出ないミステリーアンソロジーでした。辛く切ない話を読んでしまうとしばらくはそれをひきずりますね
8. Posted by オスカー   2014年08月28日 11:33
§猫ムスメ様
お返事遅れてすみません!
応挙の話もまたいいのです~なんだろう、西洋の小説では多分味わえない、日本人の持つ心の一番美しい部分が凝縮されているような気がしました。

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