2014年10月03日

恋雲便りNo.2:『0.5ミリ』から始めよう

10月を色で表すと、やっぱり柿の実色かしらん……と思うワタクシ、福島には『身知らず柿』があるそうですね。

「身の程を知らずほどたくさんの実をつける」ことや「あまりの美味しさに我を忘れて食べ過ぎてしまう」ことがこの名前の由来らしいです。菊の『もったいない』を思い出しましたが、毎年秋になると天皇家へ献上される「献上柿」だとか……全く知りませんでした!

みしらず(身不知)柿は、もともと渋柿で木からもぎった後すぐには食べられませんが、焼酎で2週間程度さわす(渋抜き)ことによって、渋が抜けてとろけるように甘い柿になるそうです。柿は栄養価も高く、他の果物には少ないビタミンAや、ビタミンCが豊富でミカンの2倍\(◎o◎)/ これはちょっと意外でした。


さてさて、私は今『0.5ミリ』という本を読んでいます。作者は安藤モモ子さん。主人公は老人介護ヘルパーのサワ。ある事件に巻き込まれて住む場所をなくしてしまい、無一文に……それでも生きていくため「街で見つけた老人の部屋に無理やり上がりこんで世話をする」という方法で生活しています。図々しくてイヤな女!という印象はなくて、ヘルパーとしての技量もあるし、料理も上手いし、ひねくれてもいないし、生きることに対して真面目だと感じます。

タイトルについて「"ちょっとのことで変わる"っていう意味も。私の世代は、小さいときに戦争経験者に直接、戦争に関する話を聞けた最後の世代で。私より下の世代には、そういう人と出会ったことがない人が多い。この社会には当たり前だけど色んな世代の人間が、皆それぞれ違う尺度を持って生きている。主人公のサワはほんのちょっと背伸びして、おじいさん達に歩み寄るんです。0.5ミリは、違う世代の人たちが歩みよれる、ちょうど真ん中にある尺度、心の尺度なんです。このタイトルが最初にあって、そこから本がどんどんできましたね」と話している記事を読みました。

老夫婦(老老介護)のところに住み込んで生活している話の中で、奥さまが夜中に甲高い声で歌いだして大変という場面があるのですが、昔読んだ本のこんな話を思い出しました。声楽を習いたいのにダンナさんが反対するので、少し離れた教会かどこかでダンナさんの外国の友だちに個人レッスンをしてもらうことに。まだオペラとかナニ?の時代なので「あっ、あっ、あ~♪」な女性の甲高い声が風に乗って違う場所に住んでいる奥さま方のところに届いたら……「ダメよ、ダメダメ( 〃▽〃)」系の声だと勘違いして「浮気よ、浮気!」となってアララ……(;´д`)

介護の場面の描写とか、読んでいて辛いと思う方もいるだろうし、エロい系描写もあるので、万人にぜひ!とお薦めは出来ませんが……サワさんの強さや優しさ、生きているその姿勢をたくさんの方に知ってもらいたいワタクシがいます。大人に読んで欲しい小説! タイトル&表紙買いでしたが(どこかで表紙は見た記憶がある)どんなラストが待っているんだろう?

http://momokoando.blog62.fc2.com/blog-entry-139.html




rohengram799 at 19:44コメント(12) 
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コメント一覧

1. Posted by MEL   2014年10月04日 05:40
>それでも生きていくため「街で見つけた老人の部屋に無理やり上がりこんで世話をする」という方法で生活

すごい斬新な設定ですね…
ちょいと惹かれました…
2. Posted by 見張り員   2014年10月04日 08:33
おはようございます!
見知らず柿。しかも献上品ですか~すごいなあ。どんな柿なんでしょうね、ちょっと食べてみたい気がしますがよく考えると私、柿が好きではなかった!!
残念ww!
3. Posted by まろゆーろ   2014年10月04日 16:40
こんにちは。
これから親との生活をどのようにすべきかと真剣に悩んでいる僕にとっては、開き直れる有難い本かもしれませんね。書店に行かねば。
そういえば最近は本、文字と親しんでいないなとつくづく感じています。目を通したがるのは写真集ばっかり。いえいえ色っぽいあっち系ではありませんってば(笑) 風景や料理のを見ては妙に気持ちが落ち着いています。
接近しつつある台風に気をつけてお過ごし下さいね。
4. Posted by ミューちゃん   2014年10月04日 16:45
5 オスカーさん、こんにちは
日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」のギャグも、元ネタをよく考えたら、かなりエロいネタなのに、よくテレビで流せるなぁ~て思いますよ(笑)。僕は、このネタ以外のネタの方が好きなんですけどね(笑)。
5. Posted by 猫ムスメ   2014年10月04日 23:27
「さわす」という言葉を久し振りに聞き、驚きました。静岡の方言だと思っていたのですが、オスカーさんの所でも使われたのですね? 共通語なのでしょうか。東京の人に言って実験してみたいです

小さい頃は祖父母宅に柿の木が沢山あって、嫌というほど食べさせられました。やはり全て渋柿でしたよ♪ さわして食べるか、熟すのを待ってそのまま食べました。ちなみに熟した柿は「ずく」と呼ばれていました(多分「熟」が訛ったのだと…)。これは正真正銘の方言ですね!!
上品な甘柿より木からもいだ「ずく」。私にとってはそれが柿でございます。
6. Posted by Kay   2014年10月05日 09:58
こんばんは。
アメリカの友人宅にも、柿の木があります。とても渋くて食べられない!と言っていますが,「ひょっとして、干し柿にしたらおいしいかも?」とおもいつつ、干し柿の作り方はわからず、そのまま朽ち落ちてしまう、という情けないしろもの。
いつか、干し柿をつくってやるぞ!と、気持だけはあるのですが。。。

私たちの世代は「ママ友」や「いじめ」もありましたが、もっと色々な人が世の中にいました。私たちは、傷痍復員兵が物乞いをしている姿を見たことがある世代だと思います。
今の時代、人と違う感覚や気持について、すぐに「心が狭い」だとか「間違っているか?」と問題になるのをみて、息苦しくならないかな?と。
また、日本へ行ったら買う本のリストにピックアップです。オスカーさんの本のお話,その辺の書評よりずっと参考になります。
7. Posted by オスカー   2014年10月05日 22:56
§MELさま
本屋で万引きしているジイサンをつかまえて…とか(笑)サワちゃん、機動力ありすぎですが、ウラヤマシイです!
8. Posted by オスカー   2014年10月05日 22:59
§見張り員さま
柿ってちょっと「ぬめっ!」とした感じがないですか~? それと種も切ってしまった時のあの白さがなんか苦手なので、あんまり食べなくなりました。
9. Posted by オスカー   2014年10月05日 23:03
§まろゆーろ様
私も人物よりお仏像の写真集の方が好きかもしれません。 禅寺の庭の写真集とかいいですよね~悟りも覚りもしないのが残念ですが、眺めていると落ち着きます(´∇`)
10. Posted by オスカー   2014年10月05日 23:07
§ミューちゃん様
OLになった姿をチラリとテレビで見ましたが、これはこれでまた面白いものがありそうで……ただ、どちらのメイクもお肌にはよくないですね(((^^;)
11. Posted by オスカー   2014年10月05日 23:12
§猫ムスメ様
「さわす」は作り方を調べていたら出てきた言葉なので、実は初耳なんですよ(O.O;)(oo;) 「ずく」は私たちは「ずくし」と言っていました。通学路に大きな柿の木があり、頭上注意!でしたね(笑)
12. Posted by オスカー   2014年10月05日 23:16
§Kayさま
なんか恋愛がらみの作品よりも自分に直結するようなテーマの作品を選ぶようになってきました。『望月青果店』と一緒にぜひ(笑)買って下さいませ!!

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