2014年11月15日
琥珀雲便りNo.15:梨津子・その愛~銀色の絆
冷えますね~((+_+)) 仕事終わりの帰り道は風がひんやり、冷たかったのですが、上着はあったかでグルグルとマフラーも巻き付けているのに、ミニスカ・ナマ足・ビーサンの女の子やマスクにマフラー、手袋、白いタイツをはいてさらに黒ハイソックスという女学生を駅で見ましたが……なんだろう、あの服装のセンスというかバランスは(´-ω-`)
さて今日はお待たせしていたかどうかわからない、雫井脩介さんの『銀色の絆』の感想です( ̄▽ ̄;)
物語は小織という、ごく普通の大学生のひとり暮らしのアバートから始まります。課題のレポートを片づける、という目的で友達がやってくるのですが、そこはやはりガールズトークですよ(^◇^)大学で知り合った千央美は、小織のことを最初から「ちょっと変わった雰囲気のある子」だと思っていました。同じように一浪しているとはいえ、自分みたいに遊んでばっかりいたわけじゃなく、すごく真面目そうに見える。「高校時代、勉強してたらお母さんに怒られたことがある」という言葉にえっ(゜д゜)……遊びもせず、勉強もせず、彼女がやっていたのはフィギュアスケートでした。
小織は、両親と横浜のマンションでわりと裕福な暮らしをしていて、正直スケートもピアノやスイミングなど「お稽古事」だったのですが、父親の浮気が原因で両親は離婚。母の実家のある名古屋に引っ越したことから状況は一変。「藤里小織の最大の伸びしろは、あなたにあると思ってます」とコーチに言われ、娘のためにすべてを懸ける決意をする母の梨津子。娘の回想と母の当時の語りが交互に書かれているのですが、母の熱心さに比べ、娘の醒めた感じがなんとも……それなりに才能はあったようですが、その意気込みみたいなのが文章からは感じられなくて。
スケートクラブ内の異様な慣習にはビックリ! たとえば、子どもが練習している間は母親たちはビデオカメラでその姿を録画したり、コーチの手が届かないときなど、自らの娘のためにアドバイスをしたり、そのためにはもちろん母親たちもフィギュアスケートを勉強しなければならない。コーチのためには、弁当の係、コーヒーの係、おやつの係などを順番に受け持つ。あるいはコーチから母親に話があれば、ベンチの上に正座して聞く……小説なので誇張もあると思いますが、おいおい、なんて世界だよ……って感じ。送迎にレッスン料・個人コーチ代・衣装代・振り付け代に海外遠征費などもスゴい金額になっているのに、元ダンナは会社が倒産して養育費は払えないと言われて……私ならもうイヤになってしまうのに、梨律子はあきらめない!! 母は強しなのか、意地みたいなものなのか。
最後の方では入院してしまった梨津子を小織のコーチが見舞いに来るのですが「最初、私のところに小織を連れてきたこの人は、娘にスケートを習わせていることで自分のステイタスを誇っているだけの、どこにでもいるママでした。でも、そこからこの人は変わっていった。小織のために何が必要で何が必要でないか…必要でないなら、それが自分のプライドだろうと、潔く捨てることを覚えていきました。小織、あなたはね、人が誰かのために必死になるというのはどういうことか、間近でそういう人の背中を見ることができたの。私はそれが、あなたのスケートを通して得た、一番の財産だと思いますよ。」と言うのだけれど……この言葉に感動したという人もいましたが、私だったら自分の母親のことをこんな風には言われたくないなぁ、と思って、ちょっと不愉快になってしまいました。言わんとすることはわかるし、このコーチはこんな無愛想キャラなんですが、でもなぁ……。主人公は娘ではなくオカンだったか(´Д`)
『孟母三遷の教え』(子供の教育には、よい環境を選ぶことが大事だという教え。また、教育熱心な母親のたとえ)が頭に浮かびましたが、スケートだけでなくゴルフやテニス、野球なんかも親の頑張りがないとダメなのよ!なんですかね~?
何となく真央ちゃんやミキティを連想させる話でしたが、やたらと「微苦笑」という言葉が出てきたのが気になりました。あと私が今まで読んだ雫井さんの作品って必ず誰かが亡くなる(この作品ではライバル的な女の子の母親が、『つばさものがたり』ではすでに病魔に侵された女性が主人公で『クローズド・ノート』みたいに亡くなった人の遺したものが云々)ので「ずいぶん命の扱いが軽い人だなぁ」という印象なんですわ。実際、予期しない出来事やお別れはたくさんあると思うのですが、いつもスッキリしないモヤモヤしたものが残ってしまって……他の作品を読めば違うのかな?
『銀色の絆』文庫上下巻でしたが、薄いので一冊でよかったかも。分けるなら、完璧に母親側・娘側の別な構成がよかったな~。中学生が読んだら、また違う感想になるんじゃないかしら? 「お母さんも私にこのくらいしてよ!!」とか言いそう(((^_^;)
タイトルは檀一雄さんの『リツ子・その愛』から……しかし私はこの小説を読んだことがありません……ごめんなさい人( ̄ω ̄;)
七五三日和の今日、皆さまもどうぞよい1日をお過ごし下さいませ。
さて今日はお待たせしていたかどうかわからない、雫井脩介さんの『銀色の絆』の感想です( ̄▽ ̄;)
物語は小織という、ごく普通の大学生のひとり暮らしのアバートから始まります。課題のレポートを片づける、という目的で友達がやってくるのですが、そこはやはりガールズトークですよ(^◇^)大学で知り合った千央美は、小織のことを最初から「ちょっと変わった雰囲気のある子」だと思っていました。同じように一浪しているとはいえ、自分みたいに遊んでばっかりいたわけじゃなく、すごく真面目そうに見える。「高校時代、勉強してたらお母さんに怒られたことがある」という言葉にえっ(゜д゜)……遊びもせず、勉強もせず、彼女がやっていたのはフィギュアスケートでした。
小織は、両親と横浜のマンションでわりと裕福な暮らしをしていて、正直スケートもピアノやスイミングなど「お稽古事」だったのですが、父親の浮気が原因で両親は離婚。母の実家のある名古屋に引っ越したことから状況は一変。「藤里小織の最大の伸びしろは、あなたにあると思ってます」とコーチに言われ、娘のためにすべてを懸ける決意をする母の梨津子。娘の回想と母の当時の語りが交互に書かれているのですが、母の熱心さに比べ、娘の醒めた感じがなんとも……それなりに才能はあったようですが、その意気込みみたいなのが文章からは感じられなくて。
スケートクラブ内の異様な慣習にはビックリ! たとえば、子どもが練習している間は母親たちはビデオカメラでその姿を録画したり、コーチの手が届かないときなど、自らの娘のためにアドバイスをしたり、そのためにはもちろん母親たちもフィギュアスケートを勉強しなければならない。コーチのためには、弁当の係、コーヒーの係、おやつの係などを順番に受け持つ。あるいはコーチから母親に話があれば、ベンチの上に正座して聞く……小説なので誇張もあると思いますが、おいおい、なんて世界だよ……って感じ。送迎にレッスン料・個人コーチ代・衣装代・振り付け代に海外遠征費などもスゴい金額になっているのに、元ダンナは会社が倒産して養育費は払えないと言われて……私ならもうイヤになってしまうのに、梨律子はあきらめない!! 母は強しなのか、意地みたいなものなのか。
最後の方では入院してしまった梨津子を小織のコーチが見舞いに来るのですが「最初、私のところに小織を連れてきたこの人は、娘にスケートを習わせていることで自分のステイタスを誇っているだけの、どこにでもいるママでした。でも、そこからこの人は変わっていった。小織のために何が必要で何が必要でないか…必要でないなら、それが自分のプライドだろうと、潔く捨てることを覚えていきました。小織、あなたはね、人が誰かのために必死になるというのはどういうことか、間近でそういう人の背中を見ることができたの。私はそれが、あなたのスケートを通して得た、一番の財産だと思いますよ。」と言うのだけれど……この言葉に感動したという人もいましたが、私だったら自分の母親のことをこんな風には言われたくないなぁ、と思って、ちょっと不愉快になってしまいました。言わんとすることはわかるし、このコーチはこんな無愛想キャラなんですが、でもなぁ……。主人公は娘ではなくオカンだったか(´Д`)
『孟母三遷の教え』(子供の教育には、よい環境を選ぶことが大事だという教え。また、教育熱心な母親のたとえ)が頭に浮かびましたが、スケートだけでなくゴルフやテニス、野球なんかも親の頑張りがないとダメなのよ!なんですかね~?
何となく真央ちゃんやミキティを連想させる話でしたが、やたらと「微苦笑」という言葉が出てきたのが気になりました。あと私が今まで読んだ雫井さんの作品って必ず誰かが亡くなる(この作品ではライバル的な女の子の母親が、『つばさものがたり』ではすでに病魔に侵された女性が主人公で『クローズド・ノート』みたいに亡くなった人の遺したものが云々)ので「ずいぶん命の扱いが軽い人だなぁ」という印象なんですわ。実際、予期しない出来事やお別れはたくさんあると思うのですが、いつもスッキリしないモヤモヤしたものが残ってしまって……他の作品を読めば違うのかな?
『銀色の絆』文庫上下巻でしたが、薄いので一冊でよかったかも。分けるなら、完璧に母親側・娘側の別な構成がよかったな~。中学生が読んだら、また違う感想になるんじゃないかしら? 「お母さんも私にこのくらいしてよ!!」とか言いそう(((^_^;)
タイトルは檀一雄さんの『リツ子・その愛』から……しかし私はこの小説を読んだことがありません……ごめんなさい人( ̄ω ̄;)
七五三日和の今日、皆さまもどうぞよい1日をお過ごし下さいませ。
コメント一覧
1. Posted by HyperChem 2014年11月15日 12:35
ホント寒いですね。
こちらはもう氷点下直前になってます。
スポーツに限らず極めたものには、裏にいろんな
ストーリーが秘めていますが、仕事でもそうですが、
諦めずに続けることってやはり大事だなって思います。
本人の頑張りもあるけど、家族の支えもあって
それが何倍に強く表れて来るのだと思います。
こちらはもう氷点下直前になってます。
スポーツに限らず極めたものには、裏にいろんな
ストーリーが秘めていますが、仕事でもそうですが、
諦めずに続けることってやはり大事だなって思います。
本人の頑張りもあるけど、家族の支えもあって
それが何倍に強く表れて来るのだと思います。
2. Posted by オスカー 2014年11月15日 15:09
§HyperChemさま
冬将軍のお出ましですね~!
子どものためになりふり構わない親に憧れがあります。どうも親としての自覚がないというか、まだまだどうしていいかわからないことばかりです(;´д`)
冬将軍のお出ましですね~!
子どものためになりふり構わない親に憧れがあります。どうも親としての自覚がないというか、まだまだどうしていいかわからないことばかりです(;´д`)
3. Posted by ミューちゃん 2014年11月15日 16:35


うーん…テレビでは東京は物凄く寒い

フィギュアって男子のイメージがあまりなかったけど、今の羽生君や引退した高橋さんとか織田君が活躍してくれたおかげで、だいぶ認知された感じがありますね


4. Posted by オスカー 2014年11月15日 17:41
§ミューちゃん様
>カーリング
男前の人がいましたね~今も続けているのかしら? スケートやホッケーと違って、派手に転んだりぶつかったり…がないのが見ていて安心な冬のスポーツです(^o^)
>カーリング
男前の人がいましたね~今も続けているのかしら? スケートやホッケーと違って、派手に転んだりぶつかったり…がないのが見ていて安心な冬のスポーツです(^o^)
5. Posted by なう60 2014年11月16日 08:38
おはようございます。
「スケートだけでなくゴルフやテニス、野球なんかも親の頑張りがないとダメなのよ!なんですかね~? 」その昔、知人の子供が大学の「ゴルフ部」へ「金、かね、金」で子供さんにゴルフ断念してもらったことを思い出しました。子供さん二人、天下の国立大学有名な私立大学に行っていた知人曰く「教育費は、いらなくてお小遣いをくれるょ。」我が家は、ヒイヒイしての仕送りに対して天下の国立、有名私立大学の大学生は、家庭教師引っ張りだこで稼げるとのことでした。
「スケートだけでなくゴルフやテニス、野球なんかも親の頑張りがないとダメなのよ!なんですかね~? 」その昔、知人の子供が大学の「ゴルフ部」へ「金、かね、金」で子供さんにゴルフ断念してもらったことを思い出しました。子供さん二人、天下の国立大学有名な私立大学に行っていた知人曰く「教育費は、いらなくてお小遣いをくれるょ。」我が家は、ヒイヒイしての仕送りに対して天下の国立、有名私立大学の大学生は、家庭教師引っ張りだこで稼げるとのことでした。
6. Posted by 猫ムスメ 2014年11月16日 08:48
う~ん、微妙ですね(-.-;) 雫井さんの作品は何故か自分に合わない気がして“読まず嫌い”してましたが、オスカーさんの感想を聞く限り“読まなくて正解”だったと思います
しかしお稽古事の世界、怖い!! フィギア・シンクロ・クラシックバレエあたりがガチっぽいですよね
裕福な親が多く、選民意識が高いから、なんとか自分の子を贔屓してもらおうと“コーチ様々”になるんじゃないかと思います。少年野球や少年サッカーだとゴチャゴチャ沢山いすぎてそういうことにはならなそう(笑)。
私も習い事は沢山やらされましたが呑気なもので、こういう世界じゃなくて良かったなぁと思いました(^_^;)

しかしお稽古事の世界、怖い!! フィギア・シンクロ・クラシックバレエあたりがガチっぽいですよね

私も習い事は沢山やらされましたが呑気なもので、こういう世界じゃなくて良かったなぁと思いました(^_^;)
7. Posted by オスカー 2014年11月16日 09:20
§なう60様
ゴルフも小さい頃からやるとなると道具も身体の成長にあわせて買い替えで…すごい出費になりそう……私にはいまだに「お金持ちのおじ様のするもの」というイメージがあります(^。^;)
ゴルフも小さい頃からやるとなると道具も身体の成長にあわせて買い替えで…すごい出費になりそう……私にはいまだに「お金持ちのおじ様のするもの」というイメージがあります(^。^;)
8. Posted by オスカー 2014年11月16日 09:28
§猫ムスメ様
藤堂冬樹さんの『忘れ雪』と同じような疲労感がありました……こんなに頑張っちゃった後、お母さんは何を生きがいにするのか、心配ですわ。
大人も子どもも道具がかわらない習い事ってそろばんか習字かしら?と思いました(-_-;)
藤堂冬樹さんの『忘れ雪』と同じような疲労感がありました……こんなに頑張っちゃった後、お母さんは何を生きがいにするのか、心配ですわ。
大人も子どもも道具がかわらない習い事ってそろばんか習字かしら?と思いました(-_-;)