2015年01月04日

福雲便りNo.3:家族とチーム

福山くんの歌に♪家族になろうよ~というのがありましたが、この作品を読んだら彼はどう思うのかなぁ、なんて考えた桂望実さんの小説『週末は家族』。


シェイクスピアに心酔する小劇団主宰者の大輔くんと、その連れ合いで他人に愛を感じることができない無性愛者の瑞穂は、母親の育児放棄により赤ちゃんの頃から児童養護施設で暮らす少女・ひなたの週末里親になります。ひなたちゃんは演技力があって、特殊な人材派遣業(レンタル○○みたいな感じ。父親のふりをするとか、奥さんのふりをするとか、父娘のふりをするとか)を手伝ってもらい、大輔くんの舞台にも出たりするようになります。



まず知らない言葉だらけでした。「恋愛感情がない。異性、同性にかかわらず、男女どちらにも性的な欲求を抱かない」という「無性愛者(アセクシュアル)」。私は最初、作者の造語なのかと思ったくらい……無知ですみません…! 同性でも異性でも恋するのが当たり前で、欲望の塊みたいな人もいるのに……周りからの理解を得るのは難しいですね。


そして「週末里親制度」。児童福祉施設で生活している親や親族の面会、外泊の機会の少ない子どもたちを週末や夏休み、お盆、お正月などに家庭に迎えいれていただき、社会的経験や家庭生活の経験をさせてもらうという……大阪市の例ですが詳しくはこちらを。


http://ss7.inet-osaka.or.jp/~fureai/shuumatu.htm



週末里親の立場はあくまで「おじさん、おばさん」。実親がいるので、将来的には実親の元に……と施設関係者は考えます。 ひなたの母親は施設の人から面会に来てください、と何回も言われるから「行きます」と返事をする。施設の人間は「お母さんに会えるよ、よかったね」と伝るけれど、ドタキャンばっかり……ひなたは母親が面会に来る気がないのはわかっているからガッカリもしないのに、申し訳なさそうに謝ったり慰められたりするとウンザリしてしまう……子どもだってちゃんと考えてるのに「かわいそう」を押しつける。


その親がどうしようもない人間でも「自分の子どもだから愛情があるに決まっている。家族だから一緒に暮らすのが一番!!」という「思い込み」ではないのか? どの子どももそれを望んでいるのか? んだよにそんなはではたくさんの問いかけがありました。



帯にあった『俺たちは、戸籍や、世間の思い込みなんかに束縛されないんです 俺と瑞穂と、ひなたは、三人のチームなんですよ』これにつられて買いましたが、ひなたのクールな面と子どもらしい面、大輔くんの苦悩や夢、瑞穂の懸命さとか……笑えるところもあるし、読んでよかったです。



桂望実さんの本は『ボーイズ・ビー』も子どもの気持ちがすごく伝わって好きでしたわ。その時の感想はヒコーキ雲便りNo.40:ぷりんぷりん物語でどうぞ!!



明日が仕事始めの皆さま、元気にガンバって下さいませ(・∀・)ノ



《追記》
『週末は家族』作者オフィシャルブログより制作秘話(?)です。

http://nozomi-katsura.jp/books/shumatsuwakazoku.html





rohengram799 at 23:42コメント(6)空のお城図書館  

コメント一覧

1. Posted by ミューちゃん   2015年01月05日 16:54
5 オスカーさん、こんにちは
多分、アセクシュアルの反対語がバイセクシャルなんでしょうね。一昔前のバンドブームに「バイセクシャル」て云うバンドが居ましたが、僕が本当の意味を知ったのは、つい2、3年前ですよ(笑)。今や女性同士が婚約をする時代だから日本も同姓婚を認める時代は、もう、そんなに遠い未来じゃないと思いますね。
2. Posted by なう60   2015年01月05日 18:52
こんばんは
「週末里親制度」厳しい現実を見ました。視野が広がりました。
3. Posted by 猫ムスメ   2015年01月05日 19:55
桂望美さん、ノーマークでした。桂由美の親戚じゃないですよね(笑)

「週末は家族」、とても良さそうな内容。難しいテーマだけに、どのように着地させているか気になります。

早速、年明け一発目の「図書館で探すリスト」に入れさせて頂きます(^_^)v
4. Posted by オスカー   2015年01月05日 23:06
§ミューちゃん様
「人」って本当に不思議だなぁと思いますね。同性愛を描いた作品ってたくさんありますが、映画『モーリス』はせつないなぁ…と思いました。
5. Posted by オスカー   2015年01月05日 23:13
§なう60様
子どもがいない夫婦に安易に「里親」や「養子」をすすめる人とかいますが、無責任だなぁと思います。あと精子バンクとかありますが、個人でやっている人も多くて驚きました。
6. Posted by オスカー   2015年01月05日 23:18
§猫ムスメ様
ごめんなさい、名前の漢字を間違えていました。「美」ではなく「実」でした! 桂さんのブログに作品についての話がありましたので、追記しておきました。 新聞の書評で読んだ多和田葉子さんの『遣灯使』も気になっています。いつ文庫になるのかなぁ…!

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メッセージ

名前
メール
本文
記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

オスカー

QRコード
QRコード