2015年05月23日

碧雲便りNo.23:恋文

今朝、3才くらいの女の子とバパが手を繋いで犬の散歩をしていました。ほのぼのとした光景だったのですが、女の子の片方の手には、ピストルが握られていました……おもちゃとはいえ、なんだかなぁ……な気持ちになりました( ̄~ ̄;)



さてさて、語呂合わせ大好きな日本人! 毎月23日はふみの日ですが、5月は『恋文の日』になるそうです。各地で恋文コンテストみたいなのが開催されていたと思いますが、秋田の二ツ井町が主催した1995年2月14日バレンタインデー「第1回日本一心のこもった恋文」大賞に輝いた柳原タケさんの恋文を皆さま、読まれたことがありますか? 柳原さんは当時80才(実は81才)で秋田市に住んでおられました。この文は靖国神社の遊就館にも展示されているとか。若者には書けない、美しい言葉で綴られた恋文に胸がいっぱいになりました。




『天国のあなたへ』


娘を背に日の丸の小旗を振ってあなたを見送ってからもう半世紀がすぎてしまいました。
たくましいあなたの腕に抱かれたのはほんのつかの間でした。
三十二歳で英霊となって天国に行ってしまったあなたは今どうしていますか。
私も宇宙船に乗ってあなたのおそばに行きたい。
あなたは三十二歳の青年、私は傘寿を迎えている年です。
おそばに行った時おまえはどこの人だなんて言わないでね。よく来たと言ってあの頃のように寄り添って座らせてくださいね。
お逢いしたら娘夫婦のこと孫のことまたすぎし日のあれこれを話し思いきり甘えてみたい。
あなたは優しくそうかそうかとうなずきながら慰め、よくがんばったとほめてくださいね。
そしてそちらの「きみまち坂」につれていってもらいたい。
春のあでやかな桜花、
夏なまめかしい新緑、
秋ようえんなもみじ、
冬清らかな雪模様など、
四季のうつろいの中を二人手をつないで歩いてみたい。
私はお別れしてからずっとあなたを思いつづけ愛情を支えにして生きてまいりました。
もう一度あなたの腕に抱かれてねむりたいものです。
力いっぱい抱き締めて絶対はなさないで下さいね。



《きみまち阪公園》

http://www.shirakami.or.jp/~futatsui-kankou/kankomap/kimimachizaka.html


日本画家の佐藤緋呂子さんは娘さんだそうです。こちらにお父様のことが少し書かれていました。

http://www.geocities.jp/konohanahiro/bidekataru.html




今日はもう言葉がみつからないので、これにて失礼いたします。皆さま、どうぞ愛あふれる、ステキな週末をお過ごし下さいませ!






rohengram799 at 21:18コメント(10) 

コメント一覧

1. Posted by まろゆーろ   2015年05月23日 22:12
こんばんは。
昔の人は何ごとにつけ辛抱強かった。
今の人は半世紀も思いを持ち続け、そしてその気持ちを抱いたまま目を閉じることが出来るんだろうかと。
天国に行ったらもう決して離れないという一途さ。やはり今の人とは違う純粋さと愛の深さかもしれないですね。
きっと若くして亡くなったご主人と今頃はほのぼのと過ごしていらっしゃることだろうなと思います。

パパと手をつないで片手にピストルですか。シャレにならない風景ですね。
柔と剛、優しさと無関心。これが今の日本の姿なのかもしれませんね。
2. Posted by なう60   2015年05月24日 07:19
おはようございます。
「私はお別れしてからずっとあなたを思いつづけ愛情を支えにして生きてまいりました。もう一度あなたの腕に抱かれてねむりたいものです。 力いっぱい抱き締めて絶対はなさないで下さいね。」感動のご主人の思い出
感動の朝でした。その昔、「思い出の服、机、写真」ご主人の部屋を作っている職場の知人の女性を思い出しました。
3. Posted by ミューちゃん   2015年05月24日 16:42
5 オスカーさん、こんにちは
恋文って最近は、もう言われなくなりましたね…戦後50年経っても、再婚をせずに、ずっと亡くなった旦那さんを思い続けてるって…。これこそ理想の夫婦って言うんだなって思いましたね…

因みに恋文を書いて最後に「かしこ」て書く女の人は今、居るのでしょうか?僕は、うしろゆびさされ組の曲で、この言葉を知りましたが…
4. Posted by 猫ムスメ   2015年05月24日 19:14
佐藤緋呂子さんのお父様も、きっと画家になりたかったんだと思います。夢半ばで、しかも生後100日の娘を残し、さぞ無念だったことでしょう。

ちょうど昨日、友人Yちゃんの結婚式で生後9か月の赤ちゃんと接し、幸せな家族の形を見たばかりなので、胸が痛くなってしまいました…
5. Posted by 見張り員   2015年05月25日 08:16
おはようございます
切ないなあ…本当に言葉がありませんね。こういう経験のない我々世代ですがこういう心の叫びを胸に刻まないといけないなあと痛感しました。
時代の大きな波にのまれ砕かれていったささやかな幸せを想うとき今の自分の不平不満がとても恥ずかしいです。
6. Posted by オスカー   2015年05月25日 09:51
§まろゆーろ様
ピストルが水鉄砲ならまだ可愛かったのでしょうが…(~_~;)
恋文という言葉の持つせつなさ、哀しさ、愛しさ…全部つまっている手紙だと思いました。
7. Posted by オスカー   2015年05月25日 09:55
§なう60様
ご主人との思い出を大切に保存されている女性、ステキです。私は常々ジャマだなぁと思っている雑誌とかビデオとかすぐ処分してしまいそうです…!
8. Posted by オスカー   2015年05月25日 09:58
§ミューちゃん様
今は手紙を書く若い人(笑)は少ないかも…メールでさえきちんと件名や用件を書けない人が増えているとか…。かしこみかしこみ…なんてへんなオマジナイと思われそうですね
9. Posted by オスカー   2015年05月25日 10:03
§猫ムスメ様
赤ちゃんは毎日どころか一瞬一瞬で変化し成長しますし、絶対離れたくなかったと思うんですよね。テレビなどで紹介される戦地からの手紙など親心がせつなすぎて……!
10. Posted by オスカー   2015年05月25日 10:10
§見張り員さま
一言一言、一文一文に乙女心があふれていて、情熱的…とてもご主人を愛していてまた愛されていたのでしょうね。ニュースで短絡的に恋愛がらみの事件をきくとなんて身勝手なんだろうと思います。

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