2015年12月07日

色雲便りNo.5:雪と土と草と

季節が一巡りしてしまうくらい放置していた『雪の練習生』(多和田葉子)を読んでいます。第一部「祖母の退化論」はクヌートのお祖母ちゃんにあたる〈わたし〉が、会議の合間をぬって書き進めている自伝になっています。第二部「死の接吻」はサーカスで猛獣使いをしている小柄な女性ウルズラと、クヌートの母トスカの物語。ちょっとここは人間とクマの会話の区別がイマイチつかなくて(私に読解力がないのかも)ちょっと退屈でした(~_~;)が、ベルリン動物園でスターになったクヌートが主役の第三部「北極を想う日」はおもしろいです。成長記録みたいな感じで、ああ、人間の子どももこんな風に外界をとらえながら大きくなるのかも……と思いました。文章も美しいホッキョクグマ三代記であります。


ベルリン動物園の話に「ナマケグマ」という名称が出てきて「えっ、そんなふざけた名前のクマがいるの?」と思い検索したらいましたっ!! 大きくても145kgくらいと小柄。体長も140g~180cmで、2mまでは達しないそうです。英語では「Sloth bear」と言って顔はたしかにナマケモノっぽい……他の熊にない特長があって、子どもをおんぶして運ぶようです。動画検索したらがあるかも?



さてさて…今年のノーベル医学・生理学賞に選ばれ、授賞式に出席するため日本を離れた大村智さんですが、わざわざ着いてきた記者に(ワイドショー関係でしょうね)「奥さまの写真はご一緒ですか」とかマイクを向けられて気の毒でした。また「(微生物研究のため)こちらの土は持ち帰りますか?」という質問があり、少しキツい口調で「この国の法律で持ち出しは禁止されています」「絶対やってはいけないことです」みたいなことを言っていました。植物検疫とかあるし、もう少し調べてもっと違う質問をしろよ……と思いました。



土といえば三好達治さんの「蟻が/蝶の羽をひいて行く/ああ/ヨットのようだ」のタイトルが「土」でしたね。そしてもうひとつ、土に関係する詩を……。



『クサッパラ』 イケダ ショウゾウ(小1)


アア、

クサガヌッカ。

ニェガスット。



「ヌッカ」はあたたかい、「ニェ」はにおい、「スット」はするよ、の意味で、戦後まもないこころに鹿児島で生まれた児童詩だそうです。有名らしいのですが、私は全く知りませんでした。なんというか……せつないけれど、力強くいとおしい、土のあたたかさ、青臭い草の生命力、もうこれからは戦争という恐怖に怯えなくていいんだ、青い空の下、広い原っぱを駆け回れるようになるんだ!!というよろこびも感じられて、方言のよさがストレートに胸に迫ります。これが全文なのかははっきりわからないのですが、何度も声に出して読んで彼と一緒に感動を味わっている「戦争を知らない子供たち」のひとりであるワタクシです。




rohengram799 at 18:20│Comments(8)空のお城図書館 

この記事へのコメント

1. Posted by 猫ムスメ   2015年12月08日 08:09
北極熊の語りって斬新ですねぇ😱
一瞬「クヌート」がなんなのか浮かばず、民族か何かだと思ってしまいました(^^;

「クサッパラ」、素晴らしい詩ですね。タイトルからしていい。作ったのが小1ということに驚きましたが、今の甘やかされて育った小1とは根本が違うでしょうし、その年頃の子供にしかない感性なのかなと思います。
作者は今もご健在でしょうか。その後、高度成長と共に幸せな人生を歩まれていたらいいな…そう願わずにはいられません。
2. Posted by オスカー   2015年12月08日 08:52
§猫ムスメ様
クヌートは本作品が発表された2ヶ月後に亡くなりました。動物園で過ごしていても「ふるさと」はどこかに残っていたんだろうな、と思います。
『クサッパラ』のざっくりした、単純な言葉の感動…真珠湾攻撃の一報を聞いた時点で「日本は負ける」と父親が呟いたという人の話なども堂々と語れる時代って有り難いですね。
3. Posted by ミューちゃん   2015年12月08日 16:39
5 オスカーさん、こんにちは
ナマケモノが実際、怠けないのと同じように、ナマケグマも実際は怠けない熊なんでしょうね(笑)

ワイドショーのレポーターに関しては、何かのイベントに出席したタレントに、そのイベントに関した事を引っ掛けながら遠回しで「付き合ってるの」て聞くのはイラつきますねあとバラエティー番組に出る役者さんって今、みんな番宣目的で出てるから白々しく見えるんですよね…逆にバラエティー番組をドラマの中で番宣できないのかなって思ったりします
4. Posted by オスカー   2015年12月08日 18:09
§ミューちゃん様
昔は娯楽が少なくスターらしいスターが多かったので、ワイドショーを見ては「えっ、そうなの?」みたいなのがありましたが、今はいい加減にして~という感じになりますし、番宣というのがありありと…というのもウンザリしますね。
5. Posted by 見張り員   2015年12月09日 00:33
こんばんは!
山梨県の誇り、大村さんいよいよ授賞式ですね。
それにしてもマスコミの陳腐な質問、もうええからけんにしろし!と言いたくなるものばっかですね。どうしてああもばかな質問ばっかするんでしょうね?

ナマケグマ、以前NHKの「ダーウィンが来た!」で放映されていましたが愛嬌がありかわいかったです。
あまりにもかわいそうなネーミングですよねw。
6. Posted by なう60   2015年12月09日 08:39
おはようございます。
札幌勤務時、家族と一緒に行った懐かしい「札幌市円山動物園」の動画「ナマケグマ」見ました。優しそうな顔そしてゆっくりのユ-モラスな動作、癒されました。
7. Posted by オスカー   2015年12月09日 08:49
§見張り員さま
大村さんや梶田さんのノーベル賞記念講演の語り口や様子などニュースで見ると、やっぱり人としても素晴らしい、と思いましたね~! ナマケグマ、クマのイメージがだいぶ変わりました(笑)
8. Posted by オスカー   2015年12月09日 08:51
§なう60様
ナマケグマのあの顔が…なんとも言えませんね~自分の姿を見たらどう思うのかしら? このクマを主人公にした絵本とかあったら見てみたいですね~!

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