2016年06月09日

閑雲便りNo.12:戦地の図書館

小路幸也さんの『蜂蜜秘密』を読み終わりました。表紙とタイトルがラブリーで衝動買いだったのですが、大人が読んで楽しむファンタジーでしょうか?


本の中に「キングサリー」とあって「キングサリ」をもじった花の名前かと思ったら、ちゃんとキングサリーってある……でも多分、キングサリと同じだと思います(笑) 花はこちらで
http://www.hana300.com/kingus.html
また内容等は蜂蜜秘密 小路幸也をお読み下さいませ。とてもわかりやすくまとめてあるブログ記事でした!



『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊』モリー・グプティル・マニング(著/文 他),松尾恭子(翻訳) 東京創元社から定価2,500円+税という興味はあるけれど、お高いわ(^o^;)な本が先月末に発売になりました。 


第二次世界大戦中、アメリカの図書館員たちは全国から寄付された書籍を兵士に送る図書運動を展開し、軍と出版界は新しい形態のペーパーバック「兵隊文庫」を発行、あらゆるジャンルの本を世界の戦地に送り届けていたそうです。その数はおよそ1億4千万冊!“「兵隊文庫」の全作品リスト付”というのがまた気になります!


ナチス・ドイツが行なった焚書。ヒトラーは自分の思想に反することが記された、1億冊にのぼる“非ドイツ的”な本(どんな内容なんでしょうか、チョビ髭は下品とかドイツ料理はまずいとか……違いますね)を燃やしました。そして連合国側の人々の士気を挫き、戦意を喪失させるために思想戦を仕掛けます。


一方アメリカでは、陸海軍が兵士に本を供給。兵士の士気を保つために必要だと考えたからです。また全国の図書館員らが「本は武器である」という考えから、寄付された本を兵士に送る戦勝図書運動を展開。出版業界の人々は戦時図書審議会を設置し、兵隊文庫を出版しました。戦争に対する賛否は別として「本は兵士にとってなくてはならないものだ」と。


兵隊文庫は、ポケットサイズのペーパーバックで軍隊文庫とも。戦後は進駐軍によって日本にももたらされ、アメリカの文化を日本人に伝える役割を果たしています。日本も兵士用の本を製作していたそうで、それには江戸川乱歩の作品などが含まれていたらしいです。調べてみたのですが、検索ワードが悪いのか、戦争小説ばかり出てきます……江戸川乱歩のどんな作品が兵隊さんに読まれたのか気になります。というか、乱歩ってこの時代の人だったのかと(;^_^A


戦前の彼は「人嫌い」だったそうな。彼を訪ねて来た客に向かって「乱歩先生はいないよ」と門前払いを喰らわせるのもしばしば。「あなたが乱歩先生では」と言われると「本人が留守だと言うんだから留守だ」と言い放ったという……(^^;)(;^^) 酒を飲まなかった乱歩が戦後一変し、集ってくる若い連中を連れて飲み歩くようになり、パンパンに膨れ上がった財布を使い果たすまで帰らないので「乱歩でなく乱費だ」と言われていたそうです。



東日本大震災の後、ACジャパンのコマーシャルがバンバン流れていましたね。自粛にクレームといろいろありましたが《読めばあなたの知層になる》というコピーが「知層が地層に聞こえて地震を連想させる」とかで早々と放送されなくなってしまったことがあります。私、結構このコピーは好きで「ウマイこと言うなぁ」と思っていたので、言いがかりみたいなクレームに屈してすぐ自粛されたのは残念だった……とこの記事を書きながら思い出しました。


そして『センチの図書館』……思春期の少年少女の“ゆらぎ”をメインにした蔵書が人気です……とか、またまた妄想図書館&“痴”層を作ってしまうワタクシなのでした(^。^;)






rohengram799 at 09:28│Comments(4)TrackBack(0)空のお城図書館 

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この記事へのコメント

1. Posted by のざわ   2016年06月09日 18:18
オスカーさん、こんにちは。ナチスドイツが焚書をしたこと、逆に連合国側が戦勝図書運動ですか。日本では江戸川乱歩の作品が軍隊文庫ですか。たいへん興味ある記事でした。焚書というのは歴史で習ったことがあり、為政者の意図で、政治をやりやすくするための方策ですよね。私の好きな作家フィン・セーボーも兵役時代があって、短編に当時の様子を皮肉たっぷりに書いています。湾岸戦争のことも。戦争はロマンチックなものではないと警告しています。オスカーさんのおもろうな面と硬派の面両方とも貴重です。私は年齢からもおじさん化していて、おじさん化した自分を半分楽しみ、自由に両性を行き来(?!)しています。ちょっと理解不能な文です。
2. Posted by オスカー   2016年06月09日 19:16
§のざわ様
コメント書きにくい記事だろうなぁと思っていたので、いただけて嬉しいです!
『本をめぐる物語 栞は夢をみる』というアンソロジーにあった、雀野日名子さんの「僕たちの焚書まつり」はグッときた話でしたが、ナチスの場合は……。セクシャルマイノリティには収容所でも特に厳しかったみたいなので、この類いの本は真っ先に燃やされた気がします。「美雲便りNo.10:薫衣草」(14.07.09)に少し書いたので興味がありましたら読んで下さい。 セーボーも兵役体験者でしたか! 彼の物事に対する鋭さはこれがあるからかも…。
男性目線・女性目線、どちらからも思考する……人生を豊かに楽しめますね!
3. Posted by 猫ムスメ   2016年06月09日 19:22
戦時中、落語にも【禁演落語】がありました。主に廓話や泥棒モノが国によって禁じられ、浅草の「はなし塚」に封じられたそうです。 逆に【国策落語】もあり、これは完全に新作。出征や特攻を讃えた内容で、全く笑える代物ではなかったそうです。 こうした文化に対する姿勢は、そのままその後の「国力」に繋がっている気がしますね。
4. Posted by オスカー   2016年06月09日 19:41
§猫ムスメ様
「禁演落語」や「はなし塚」は聞いたことがありますが「国策落語」という言葉は初耳かも…。でも戦意高揚のための絵やら歌やらあったのですから、娯楽の代表の落語など真っ先に…ですよね。そう考えると今はなんて自由に創作活動が出来るんだろうって思います。

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