2016年06月09日

閑雲便りNo.13:胸の泉に

「時雨(ジウ)」という言葉があります。ほどよいときに降る恵みの雨……今日はまとまった雨が降るのかな?と思いましたが、今のところその気配はなし……農作物にも影響がありそうですね。 



さてさて、前の記事『戦地の図書館』については私の覚書みたいなもので「こんな本があるのか」で頭のすみにおいてもらえたらいいかな、という感覚なのですが、今回のはずっと覚えておいていただきたいと思っています。



6月末になると《ハンセン病を正しく理解する週間》が実施されます。ハンセン病に対する正しい知識の普及に努め、ハンセン病療養所入所者等の福祉の増進を図ることを目的に、6月25日を含めた週の日曜日から土曜日までを毎年実施してきています。なぜこの日なのか等ハンセン病関連記事については桜雲便りNo.7:「あん」の火曜日を読んでいただけたら……m(__)m


塔和子(とう・かずこ、本名・井土 ヤツ子(いづち やつこ/1929年8月31日~ 2013年8月28日)さんという詩方の詩を偶然ブログで知りました。ハンセン病の元患者さんで13歳から83歳で病没されるまで、四国の大島青松園という所で暮らしていました。ダンナ様も同じ患者さんでした。子どもを望むことは許されませんでした。



『涙』

あるとき
死のうと思った私が夫に
「一生懸命なのよ」と言うと
夫は
「同じ一生懸命になるのなら
生きることに一生懸命になってくれ
がむしゃらに生きようではないか」
と言ってくれた
私は目が覚めたように
そうだと思った
どんなに懸命に生きたとしても
永遠に続いている時間の中の
一瞬を
闇から浮き上がって
姿あらしめられているだけだ
   いのち
   この愛(いと)けないもの
思いっきりわが身を抱きしめると
きゅっと
涙が
にじみ出た



記事タイトルにした『胸の泉に』はこちらのブログでお読み下さい。(*)

http://blogs.mobile.yahoo.co.jp/p/blog/myblog/content?bid=kenmochibunko3&id=7927208




『アリバイ』

深い目で
今日生きていたのかと問われると
どうも生きてはいなかった
ようなのです

では
死んでいたのかと問われると
どうも死んでもいなかった
ようなのです

足跡を探しに出かけたけど
どこにもなかった

ふと
暗い庭を見ると
洗濯物がひらひらしていて
やっと今日のアリバイを
思い出した

私はたしかに
洗濯をして
干したのでした

それは
この洗濯物がわずかに
証明してくれます

信頼する
わたしの神様
どうか
生きていたのだという証明書を
一枚だけ私に下さい

そうしないと私は
この過剰な時代の中に
埋もれてしまいそうなのです




思春期には「死にたいなぁ」とよく考えていたし、今でも恵まれているのに、ついつい不平不満や愚痴をこぼしてしまう私です。こうして「生きる」ことに対して真摯である(あった)人たちにお叱りをうけながら、また頑張ろうのです。


たくさんの詩に込められた想いをすべて共有したり共感出来るなんて思い上がった考えはありませんが、また伝えていくことは出来るし、しなくてはいけないし……決意表明みたいな意味もありこうして書いているのかもしれません(; ̄ー ̄A



次の記事はまたおとぼけおやぢになっている可能性大!ですが、読んでいただいてありがとうございました。




(*) サイト閉鎖により記事は読めなくなっていました。コチラでお読み下さいませ。

http://www.peace-create.bz-office.net/k_toukazuko3.htm


rohengram799 at 15:23コメント(8) 
わたしにできること | 医療・臓器移植・介護・福祉関係

コメント一覧

1. Posted by ミューちゃん   2016年06月09日 17:10
5 オスカーさん、こんにちは
「死にたい」て云う願望は裏を返せば「生きたい」て云う願望になると思います。そりゃあ、生きてたら怒ったり、悲しんだりしますが、その怒りの力も生きてく力なんだなと思います。最近は、その怒りが憎悪になってアイドルを刺してしまうと云う悲しい事件がありましたが…。あれだって被害者のアイドルの方が何も反応しなかったら起こらなかった事件だったんだと思います。ツイッターは便利だけど、時には恐ろしいルーツにもなります。何と言っても活字だけですから。その相手がアイドルや芸能界の人達だったら、言葉に影響力もあるけど、その反面、破壊力もあって、傷つきやすい人は、それを見て自殺する人も居ると思うんですよね。僕は先週、とあるAV女優さんをフォローをしていて、その女優さんが他の人達とは、やり取りをしているのに、僕も参加してるのに無視をしてたんですよ。それも何回も。それで僕は怒って「あなたはファン初心者には冷たいんですね!僕は、もうファンを止めます!」てツイートしたんですよ。そしたら、その女優さんは「周りが見えてないって云う感じがするー。いいのかなぁー笑。逆にわらえてくるよー。まぁ、いーやー笑」てツイートして来たんですけど、僕は、そのツイートを見て深く傷ついて激怒したんですね。それで、その女優さんが所属してる事務所に抗議の電話を入れたり、抗議の手紙を送ったんですよ。

…話は逸れましたが、AV女優さんでも公人な訳ですから、言葉を選んで発言して欲しいんです。言葉は間接的に人を殺したりもしますからね。古舘伊知郎さんが最後の「報道ステーション」の時に述べた「私の言葉で絶対、誰かが傷ついてるんですよね。」て仰った気持ちがホントによく分かった出来事でした。長々と、すみませんでした…。
2. Posted by オスカー   2016年06月09日 19:22
§ミューちゃん様
手書きと違い、スマホやパソコンとか打ち込んで見直すつもりが、送信してしまってあーっ(;・∀・)ということも多いですね。Twitterは文字数が微妙で、心意が伝わるような伝わらないような……。世の中にはいろんな人がいますから、ある意味諦めるのも大切かもしれないです……。
3. Posted by 猫ムスメ   2016年06月10日 07:34
「アリバイ」、とてもいい詩ですね。干した洗濯物を生きたアリバイという感性、やはり“死”を見た人ならではのものだと思います。 風にひらひら舞う洗濯が目に浮かぶようですね。

こうした真面目な題材の記事も真摯にアップし、私達に教えてくれるオスカーさんを、私は尊敬しますよ。そしてもちろん“おやぢ~”なオスカーさんも大好きですよ(*^^*)
4. Posted by なう60   2016年06月10日 07:59
おはようございます。
「こうして「生きる」ことに対して真摯である(あった)人たちにお叱りをうけながら、また頑張ろうのです。」乗り越え乗り越えの真摯の人生の中に
生きることの大切さがある様に感じます。頑張りましょう。
5. Posted by オスカー   2016年06月10日 08:43
§猫ムスメ様
自分の生きた証を遺して下さったことに感謝したいです。今でも偏見がないわけではないし、直接お目にかかったらやはり衝撃を受けただろうし……綺麗事ばかり言うつもりはないのですが、知らないより知っていた方がいいと思うのです。
次の記事はにゃ~ん♪な話です(笑) また読んで下さい!
6. Posted by オスカー   2016年06月10日 08:48
§なう60様
「いかに惨めな形であっても ともかく生きてさえいれば 生の感動は付いて回る」……丸山健二さんのこの言葉にも励まされてきました。毎日の暮らしの中で忘れたり流されたりしないように、これからもいろんなことを繰り返し繰り返し書いたり読んだりしていきたいです。
7. Posted by のざわ   2016年06月10日 19:57
オスカーさん、こんにちは。「死にたい」は「生きたい」と同義だと思います。どうしたら、自分が思い描いているような人生が送りたいと、もがいてもがいて「死にたい」と漏らした人。でも死にきれなかった。命が助かって命に目覚めたら、過ちがもとで死がやってきてしまった人を間近に見ています。人間の心の中は本当に複雑で人との比較や人との関係の難しさもあります。今日一日争いもなく過ごせたことだけで、すごく幸いだったと思います。
8. Posted by オスカー   2016年06月10日 20:31
§のざわ様
『胸の泉に』の一節に
「ああ/何億の人がいようとも/かかわらなければ路傍の人」があり、どんなかたちであれ、自分にかかわりを持ってくれた人たちに感謝しなければとあらためて思いました。「愛」の反対語は「無関心」…のざわ様や皆さまが私に関わって下さること、本当に有り難いです。

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