2016年10月16日

徳雲便りNo.11:甘いもんでもおひとつ

通勤時に見かける人たちの服装が秋っぽい色合いになってきました。「桜紅葉」「柿紅葉」「花紅葉」という言葉がありますが、夏は緑の輝きを愛で、秋には虫食いの葉にも風情を感じ……銀杏はまだまだですが、気がつけば黄金色になっているかも! 秋の楽しみはあちこちにありますね。


以前コメントにて猫ムスメ様からオススメいただいた、花のお江戸を舞台におっとりした菓子職人の兄、商才に長けた弟が菓子屋を切り盛りする『甘いもんでもおひとつ』(田牧大和)を読みました。「読書の秋「食欲の秋」そして和菓子の美しさに「芸術の秋」を感じる、見事に三点セットになった一冊(≧∇≦) 猫ムスメ様、ありがとうございます!


お店の名前は「藍千堂」といって、まだまだ新興の上菓子屋……ではなく、実は兄弟は大店「百瀬屋」の御曹司だったのです。先代の主人(兄弟の父)が亡くなった後、しばらくして叔父に「百瀬屋」を追い出されることに……! 先代の片腕だった茂市という、無口で不器用な職人さん(じいさん好きにはたまらない!)も兄弟と一緒に働いています。叔父とは険悪ですが、兄弟にとって従妹にあたるお糸はしょっちゅう「藍千堂」に顔を出しています。


叔父さんはなぜ甥たちに冷たくあたるのかは、いろんなクセのある登場人物たちと、美味なるお菓子たちに心奪われながら読み進めていくとわかります。一話目の柏餅から食べたい気持ちがモクモクと沸き上がってスーパーやコンビニでも和菓子コーナーに目がいってしまう(笑)


「ハレの日の江戸の街の季節感を描きたいと思っていました。今の日本ではハロウィンやクリスマスが楽しまれていますが、古来の五節句というのは、ずいぶんと派手で楽しそうなんですよ。七夕などは、天に願いを届けようと、競いあうように、屋根の上高くに竹を掲げ、夢を描いた短冊をくくりつけたようです」とインタビュー記事土で読みました。七夕の様子は浮世絵にも残っていますね。「お菓子って、なくてもいいかもしれないですが、美味しいものを食べると理屈抜きにホッとするし、顔がほころびますよね」……和菓子を食べている顔と、大好きな人と過ごしているときの表情は似ている……どちらも最高にシアワセ(´∇`)


続編はハードカバーで発売中……人日(じんじつ:七草粥を食べる)・上巳(じょうし)・端午(たんご)・七夕(しちせき)・重陽(ちょうよう)といった五節句を題材に、それぞれの風物詩である和菓子が登場するそうな。そしておっとり兄ちゃんの恋物語も……!? 弟はせつない結果になりましたが、兄ちゃんはどうなるのか……文庫になるのはまだまだ先でしょうが、こちらもまた楽しみに待つことにします。



この本をきっかけに、私の中では時代小説ブームが到来! 先に感想を書いた『ゆめ結い』(イマイチでしたが)続けて葉室麟さんの『風花帖』中島要さんの『かりんとう侍』(感想はいずれまた)を読んで、今は西條奈加さんの『閻魔の世直し』……これは『善人長屋』の続編ですが、前作を知らなくても楽しい作品。 その次も何冊か控えております! 皆さまも甘いものを食べながら、時代小説や時代劇を満喫して下さいませ。





rohengram799 at 00:37│Comments(6)空のお城図書館 

この記事へのコメント

1. Posted by まろゆーろ   2016年10月16日 10:38
日本には季節とともに育ったさまざまな伝統行事があるのに、最近は海外のお祭りばかりに傾倒して。どれもこれも商売人の罠かと(笑)
今では逆に外国人の方が日本の七夕の風情などの美しさに魅了されているようです。
これから10年先、20年先どうなっていることやら。
せめて素敵な小説のなかにだけでも日本の美しさを残したいものです。どうやらその存亡の鍵を握っているギリギリの存在が我々の世代ではないかと。

着ている服が茶系になってきましたね。それでもまた25℃前後まで気温が上がるとか。気が休めない慌ただしい季節の変わり目です。ご自愛を。
2. Posted by 猫ムスメ   2016年10月16日 13:51
「藍千堂」シリーズ、早速読んでくださった上に記事にまで取り上げて頂き…有り難うございます(*≧∀≦*)
ね、いい話ですよね?? 叔父さんとの 関係や兄弟それぞれの恋、回を重ねるごとに味わい深くなってゆく得難いシリーズです✌
私の中では「和菓子のアン」シリーズと並び、「あんこ食べたくなるツートップ」です(笑)。

田牧さんは他の時代小説もいいですよ。

ちなみに私は今、野口卓さんの「還暦猫」を読んでます🎶
オスカーさんにも沢山の良い時代小説との出会いがありますように\(^^)/
3. Posted by ミューちゃん   2016年10月16日 16:43
5 オスカーさん、こんにちは
ハロウィンって何の祭りか理解してないまま、騒いでるような気がしますねいつの間にかコスプレが過激になり過ぎて去年なんかも暴動が起こったり、逮捕者が出たりして凄かった…て云うより呆れましたねハロウィンの本当の意味です↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3

今年は月曜日に当たるから、去年みたいな騒ぎにはならないと思いますが…。
4. Posted by オスカー   2016年10月17日 23:40
§まろゆーろ様
夜帰宅する時には霧が出ていました。ぼんやり見えるお月さまもまた日本画のように美しかったです。『閻魔の世直し』を読み終わりました。義理人情について書かれた言葉が印象に残りました。また記事に書きたい本が増えました!
5. Posted by オスカー   2016年10月17日 23:47
§猫ムスメ様
ハードカバーの方が表紙は落ち着いていていいですね。文庫は想像力がアチラ方面に向いている人は間違える可能性もあるかも?な兄弟のイラストでした。『かりんとう侍』は文庫版の脱力した感じの方が好きですが(笑) 今日は草餅を買ってしまいました! 甘味屋さんにミニ時代小説文庫があったらいいのになぁなんて思いました(*´∀`)♪
6. Posted by オスカー   2016年10月17日 23:52
§ミューちゃん様
お菓子のパッケージとか何を見てもハロウィンですね~パチ屋もおそらく店員はコスプレですよ~似合えばいいんですが、なんとも中途半端です。日本人は変身願望が強いのか、何でも仮装パーティに仕立ててしまいますね( ̄0 ̄;)

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