2016年10月30日

徳雲便りNo.21:色と職と食

平幹二朗さんが亡くなられてから、『近松心中物語~それは恋』(蜷川幸雄演出)で太地喜和子さん(この方も早く鬼籍の人になりましたね)共演されていたことを思い出しました。お二人ともいろんな意味で「濃い!」ので、舞台ではものすごく映えただろうなぁと思いました。艶やかで重厚、濃密な時間を舞台を観て過ごされた方々が羨ましい……こういう方々がどんどん天界に活動拠点を移されるのが残念です。


近松門左衛門による世話物『冥途の飛脚』などをもとにした作品では、宝塚でも『心中・恋の大和路』という作品が上演されていました。私はダイジェスト版みたいなのをテレビで見ただけですが、ここ何日か主題歌が頭をグルグルしています。

♪この世にただひとつ
 それはお前
 お前のぬくもりが
 生きる証



「人形浄瑠璃や芝居で実話を元にした心中物がたびたび演じられることがあって、かつて江戸で男女の情死が流行したことがあった。美しい晴れ着を身にまとい、あるいは、死に装束を白無垢に見立てて、互いの腕や腰を緋色縮緬の帯紐でしっかりと結んで入水する。こうして情死が美化されていくことを危惧した公儀は、心中を“相対死”と呼んで厳重に取り締まるようになった。」………と、かたやま和華さんの小説に書いてありました。


といっても江戸風俗の難しい話ではなくて、恋雲便りNo.18:アナタはんはドナタはん( ・◇・)?の前半に書いた「猫の手屋繁盛記」シリーズ・3作目は『大あくびして、人の恋』にチラリと書いてあったのです。一話は「にゃこうど」であちこちで愛嬌をふりまく猫が出てきます。「犬が武士なら猫は忍びの者では……」と考える、猫先生(笑)がラブリーです。


次の話では「寝子屋」という鯖猫と雉猫の駕籠かきが登場します。「にゃっほ、にゃっほ」「にゃっほ、にゃっほ」の掛け声がたまりません(≧▽≦)! 風体はシッポが二つにさけた猫股(ねこまた)と同じですが、彼らは「職猫(しょくねこ)」だと言います。

「猫股はニャにをするでもなく日がニャ一日、暇をもて余しているだけの妖怪ですが、手前どもは、この猫の手に職を持っています。“寝”る“子”と書いて寝子屋という、駕籠屋をやっています。」

この駕籠を呼んだのは、猫先生が気になり声をかけた、スリを生業をしていたというご老人。土竜(もぐら)の与一の二つ名を持つ彼の依頼先を回った後、最終的にどこに向かうのか、どこに連れていくのか………カンのいい方や『鬼灯の冷徹』を読んでいる方、芥川龍之介ファン(宮部みゆきファンも?)は、わかるかも……(^^;)(;^^)



小説の中の食べ物話が続いていますが、この本では「蕪骨(かぶらほね)」なるものが出てきました。鯨の頭部にある蕪(かぶら)に似た軟骨で、細く削ったものを干して食すそうな。鯨は「骨まで愛して」な食材だったのですね~! 江戸では初秋を告げる珍味だったらしい。猫先生は辛子酢味噌で食べていましたが、池波正太郎センセーの『鬼平犯科帳』では「鏑骨の吸い物」として登場したとか。いい出汁がでたのかしらん(´・ω・`)?


佐賀の松浦漬本舗のサイトによりますと《鯨の上あご(鼻筋)の軟骨「かぶら骨」を、細く刻み、長時間水にさらして脂を抜いたのちに、甘く調味した酒粕に漬け込む松浦漬。滑らかな舌触りの漬け床をともに、かぶら骨のコリコリとした食感を味わう、呼子特有の銘産品です。平凡社の百科事典作成の折には、日本珍味五種の一つに数えられました。》とありました。松前漬は知っていたけれど、松浦漬は初耳でした。九州ではお馴染みなんでしょうか?




今日は11月中旬の気温だそうです。肌寒いですね。皆さま、どうぞあたたかくしてお過ごし下さいませ。




rohengram799 at 11:40│Comments(10)空のお城図書館 

この記事へのコメント

1. Posted by ミューちゃん   2016年10月30日 16:59
5 オスカーさん、こんにちは
太地喜和子さんって艶のある女優さんでしたよね。もう、だいぶ前に、お亡くなりになられたと思うのですが、昔の週刊プレイボーイの表紙にも飾られていたようで、惜しい女優さんを亡くしたな…て思ってました。艶のある女優さんって今、居るのかな…
2. Posted by 見張り員   2016年10月31日 07:38
おはようございます
いつの時代も流行ってしっかりあるものですが「心中」が流行しちゃちゃいけませんね(◎_◎;)。。。
ご公儀が厳しく取り締まるのも当然だったことでしょう。そういや心中の片割れが生き残った場合大変だったようですよね。
どんな時代にも「死」を美化するようなことってあるみたいですがそれはきっと人にとって未知の「死」が怖いということの裏返しなのかもしれませんね…
3. Posted by のざわ   2016年10月31日 10:42
オスカーさん、おはようございます。時代小説では宮部みゆきさんや山本一力さん、藤沢周平さんのものを比較的読みました。オスカーさんも宮部ファンですか?クジラの骨の料理初耳でした。松浦漬というのですね。佐賀の呼子には行ったことがあります。内田康夫さんのミステリーをたくさん読みましたが、呼子も小説で知りました。松前漬おいしいですね。我が家は夫がよく作ります。
4. Posted by 猫ムスメ   2016年10月31日 13:57
「にゃっほ、にゃっほ」はたまりませんね(≧∇≦) 猫好き必読の書ですね!!

昔の日本人は本当に食べ物を粗末にしなかったようですね。骨や皮も工夫して使い、最終的な「屑」は屑屋が回収して肥料にしました。そういう文化も知らず、捕鯨は野蛮だ反対だ騒ぐやつ…もっと勉強して出直してこい! って感じですね>_<
5. Posted by まろゆーろ   2016年10月31日 14:12
平さんも太地さんも、なんだか素敵なというか、魂がこもっている本物の役者さんがどんどん天に召されてばかりで。もしかしたらもうあの世の方が豪華キャストぞろいかもしれませんね。
NHKのとっとチャンネルを観たのですが、モデルになった皆さん鬼籍に入った方ばかり。みんな華があって、尚且つプロで、そして人情があふれてて。
あの当時は日本人のほとんどが義理も人情も持ち合わせていたのでしょうね。それはやはりほとんどが手作りだったからかもしれないですね。

寒暖の差が激しい関東のようですね。こちらも日ごとに気温が下がってきはじめました。これでやっと落ち着けて季節の変わり目を愉しめそうです。
今日は新月、そして10月の終わりの日。善きことのスタートになれば良いですね。
来月もよろしくお願いします。
風邪などひきませんように。(ご無沙汰をお許しください)
6. Posted by オスカー   2016年11月01日 07:38
§ミューちゃん様
桃井かおりさんとか大竹しのぶさんとかも独特の雰囲気がありますが、太地さんや杉村春子先生にはまだまだ…なんて素人ながら思ってしまいます。薄っぺらなアイドルのグラビアってなんだかなぁ…ですわ。
7. Posted by オスカー   2016年11月01日 07:43
§見張り員さま
物語の中では美しくても、現実は無惨なものだったでしょうね。質素・倹約をうるさく言われる中で、心は自由に!でのめり込んでしまったんでしょうか……。報われなくても相手の幸せを祈り生き続ける選択をしてほしいものです。
8. Posted by オスカー   2016年11月01日 07:51
§のざわ様
宮部みゆきさんの作品、最近はご無沙汰かもしれません~『火車』はブログですすめられて読んだので印象深いです。呼子が佐賀ではなくナゼか鳥取だと思っていました……地理にも疎い私です(;^_^A
9. Posted by オスカー   2016年11月01日 08:03
§猫ムスメ様
鯨には「食文化」という言葉が本当にピッタリくるというか……“命をいただく”ことに対しての真摯さが現れていると思います。 最近、猫の姿を見かけなくなりました。どこかあったかいところを何ヵ所か見つけてあちこち移動しているのかしらん?
10. Posted by オスカー   2016年11月01日 08:13
§まろゆーろ様
自分が小さい頃から名前を聞き、テレビや雑誌などで見てきた役者さんたちの訃報を聞くのはなんともせつないものがあります。今の若い人がよくわからない…! 『大分県の不思議事典』が新人物往来社から発売されていました。どんな不思議があるのか、大変気になります(笑)

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