2017年06月02日

さくも便りNo.3:ふとん

今月最初に読み終わったのは、Kindle無料版・田山花袋の『少女病』でした~もちろん、タイトルが気になって・・・ですが(笑)ページ数も少なかったし。主人公は少女に憧れるという、ちょっと大きな声では言えない趣味嗜好のある元文学者の中年男。憧れているだけで、チカンしたりしません~熱視線はおくっていますが(^^;))) その視線の描写が生々しいというか、妄想がかなしいというか・・・ラストにもビックリでした。


田山花袋といえば『蒲団』という作品があったと思いますが(読んだことがない)、池井 昌樹(いけい まさき、1953年〈昭和28年〉2月1日 - )さんの『ふとん』という詩をご存知でしょうか。




ふとん

 新婚当初
 妻が寝入ると
 つないでいた手をこっそりほどき
 ぼくはじぶんのふとんでねむった
 じぶんのふとんを抱いてねむった
 妻の手よりもその胸よりも
 ふとんはとおいだれかににていた
 だれかに抱かれてねむっていると
 くらいほしや
 くらいつきや
 くらいよるのうみがみえた
 くらいいのりのうたがきこえた
 いまでは妻の手をにぎり
 いまではつなぎあった手を
 ほどくことなくねむってしまうと
 くらいほしも
 くらいつきも
 くらいよるのうみもみえない
 やさしいくらいいのりのうたを
 うたってくれたあのひとが
 だれだったのか
 どこへ失せたか
 抜け殻かまたなきがらめいた
 ふとんはかたえにおしやられ
 あれから十年
 腕のなかから
 かすかに寝息のつたわってくる
 おまえを抱いてねむっていると
 雨後ののはらへでてきたような
 しらない匂いでいっぱいなのだ
 いまみひらかれためのような
 しらない虹の匂いがするのだ
 (やっとおまえに)
 (であえたんだな)
 ひとりぼっちの
 ふたりっきり
 



ネットでいくつか詩を読んで、なんかいいなぁ~と思ったので、久しぶりに詩集を買ってみました。ハルキ文庫から出ています。表紙のワンちゃん書店員さん、ご本人になんとなく似ているような・・・!


池井さんの詩の話、多分続きます♪(o・ω・)ノ))




rohengram799 at 15:21コメント(4)トラックバック(0)空のお城図書館  

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コメント一覧

1. Posted by ミューちゃん   2017年06月02日 17:01
5 オスカーさん、こんにちは
「少女病」…。今、この病を患ってるオッサンが山のように居ると思います(笑)まぁ、妄想だけに留めたら良いのですが、事件になる事も多いですからね…蒲団と言えば、この時期だと掛け布団でしょうね。僕は寝相が悪いから毎日、蒲団がグチャグチャになります(笑)
2. Posted by 猫ムスメ   2017年06月03日 07:53
「少女病」…「中二病」の女子バージョンかと思ったのですが、違うのですね(笑)。いつの時代も乙女寄りなおじさんているのでしょうか(^^;

「ふとん」、いいですね。
新婚時代は手を繋いで眠ったけれど今は布団…じゃなく、逆なのが素敵です(^.^)
3. Posted by オスカー   2017年06月03日 08:30
ミューちゃん様
いつの時代もこういう妄想癖のある人っていますよね。少女の輝きも不変ですが。 今まだ昼夜の気温差があって、ゴロゴロしすぎて(笑)寝たなぁ~!って感じがないです😅
4. Posted by オスカー   2017年06月03日 08:35
猫ムスメ様
なんかものかなしさもある短編でしたわ。他の作品を読むとまた印象が変わるでしょうか? 「詩集を買うのは久しぶり」が「死臭を嗅ぐのは久しぶり」と変換してしまう自分はもう少女でも人でもないような気がしてきました(-_-;)

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