2017年07月25日

蘭月雲便りNo.11:涙そうそう~花物語

ずいぶん前に買った吉屋信子さんの『花物語』、読み始めるまでも時間がかかりましたが、ようやく上巻を読み終わりました。「女学生のバイブル」と呼ばれベストセラーになった、短編集です。どの話のタイトルも植物にちなんでいます。



「釣鐘草」は両親が亡くなり、幼い弟と親戚の家にあずけられた姉の手紙形式の作品なのですが、姉弟が寄り添いながら、お互いをいたわりあって暮らす姿がなんともかなしく・・・かわいく健気な弟を流行り病で亡くすことになった姉の悲嘆と決意。



「けれども、思えば不幸の中にも丈のびて育てられ、弟逝きし後に一人残る悲しい自分にも、やはりこの世に努むべき使命が与えられているのだと思いました。親身の弟を失った私は、この上は広い世の中の子供たちを弟として、心から愛して教えてゆきたい、その職に身も魂も捧げて一生を清く送りたい、ただその一つの希望が私の心を励ます光であり力でございました。」そして続く「弟は形として世になくとも常に不滅の幻影となって私の心を鞭打ち励ましてくれるのでございます。」に「涙そうそう」の♪いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ・・・を思い出しました ρ(・・、)



今日は三浦しをんさんの『政と源(まさとげん)』を詠んだのですが、元銀行員の国政とつまみ簪職人の源二郎は幼なじみで年齢は73歳。水路のある下町で正反対の性格ながらパワフルに暮らしています。が、やはり死について考えたりするもので・・・。



「死んだ人間が行くのは死後の世界なんかじゃなく、親しいひとの記憶のなかじゃないかってことだ。親父もおふくろもきょうだいも師匠もかみさんも、みんな俺のなかに入ってきた。たとえばおまえがさきに死んでも、俺が死ぬまで、おまえは俺の記憶の中にいるだろう」


源さんのいい台詞に「その説でいくと、ボケないように願わないとな」と返す政。まだ彼らの年齢には届かないワタクシですが、ウンウンと老化現象のあれこれにうなづきながら(笑)サクサク読んでしまいました!



肉体はなくなってものこるもの、のこせるものはたくさんあるんですよねぇ・・・。




来週はもう8月、ますます暑くなりそう~皆さまもお身体に気をつけて下さいませ♪(o・ω・)ノ))






rohengram799 at 12:58│Comments(4)空のお城図書館 

この記事へのコメント

1. Posted by 猫ムスメ   2017年07月26日 08:12
「政と源」、三浦しをんというだけで、図書館で予約待ちしている状態です(^^;

そういう内容だったんですね〜、おじいちゃん同士の友情。流石は三浦しをんさんです(*^o^*)

「やすらぎの郷」のように中高年を主役とした番組が増える今、この小説もそのうちドラマ化するんじゃないかと思いますね♪
2. Posted by のざわ   2017年07月26日 22:32
死んだ人は死後の世界に行くのでなく、親しい人の記憶の中・・・。なるほどと思いました。親きょうだいをすでに亡くしましたが、ときどき夢に見ますし、思い出を夫に話したりします。肉体は亡くなっても、共に暮らした体験はいつまでも残っています。
3. Posted by オスカー   2017年07月27日 20:59
猫ムスメ様
単行本も文庫も表紙がいいなと思いました。特に文庫はラブリーです。たしかにドラマ向きだと思います。見てみたい!
4. Posted by オスカー   2017年07月27日 21:01
のざわ様
故人を思い出すきっかけって様々ですが、忘れてしまったのではなく自分の一部になってともに暮らしているのだと思います。

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