2022年04月24日

喜春雲便りNo.19:『私のカメラ』 📸

朽網山(くたみやま) 夕居る雲の うすれ往かば われは恋ひむな 公(きみ)が目を欲(ほ)り


万葉集に残る詠み人知らずの恋の歌(*)。「くたみやま」 は大分県の久住山とする説、福岡県北九州市小倉南区の朽網(くさみ)の山とする説があるそうですが、久住山説が有力ではないかと。

https://www.pref.oita.jp/site/archive/200778.html

朽網山に夕方、かかっている雲が薄れていったら私は恋しくなるだろう。あなたに逢いたくて。


あなたに逢いたくて 逢いたくて〜 と歌を歌いたくなる……そう言えば聖子ちゃんは福岡の出身🎤🎶

https://sp.uta-net.com/movie/9126/


「逢いたい」を「目を欲り」と表現したところが素晴らしい感性ではないかと。目が欲し……だと目が星⭐ 昭和の少女漫画の世界ね! と思ったり……愛し君の姿が瞳の中ではじける、流れ星は涙になり……とひとしきりアホな妄想に浸ってしまうのはお約束! 夕陽と相まって目に焼き付ける、絶対忘れたくない、という娘心から女心まで変化していくようにも感じますねぇ :*(〃∇〃人)*: ← すでに別世界にいる💦

そんなさまざまな妄想の果てに茨木のり子さんの『私のカメラ』という詩が待っておりました。お若い方たち(に限らない?)はもスマホで写真を撮るのが大好きですけど、ちゃんと「みる」って大事だなと思います。



「私のカメラ 」 茨木のり子


眼(め)
それは レンズ

まばたき
それは わたしの シャッター

髪でかこまれた
小さな 小さな 暗室もあって

だから わたし
カメラなんかぶらさげない

ごぞんじ? わたしのなかに
あなたのフィルムが沢山しまってあるのを

木漏れ陽のしたで笑うあなた
波を切る栗色の眩しいからだ

煙草に火をつける 子供のように眠る
蘭の花のように匂う 森ではライオンになったっけ

世界にたったひとつ だあれも知らない
わたしのフィルム・ライブラリイ



素敵なシャッターチャンスがいっぱいの日曜日でありますように (* ^ー゜)ノ



(*)https://search.yahoo.co.jp/amp/s/manyoshu-japan.com/10904/%3Famp%3D1%26usqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D




rohengram799 at 07:55コメント(6) 

コメント一覧

1. Posted by さち   2022年04月24日 08:46
おはようございます(*^。^*)
「欲り」は「よくり」と読むのでしょうか?その方の世界の表現は果てが無いですねぇ。
「私のカメラ」
森ではライオンになったっけ・・・はアレですか?私の考え過ぎですか(/ω\)
眩しいからだが眩しいです(今日は雨だけど)💕
2. Posted by オスカー   2022年04月24日 09:59
さち様
こちらも曇り空です。お昼頃には雨になるかも。
「欲り」は「ほり」です。「欲し」ではないところに純な乙女の情念を感じます←文法とか知らない💦 茨木のり子さんの詩、最初小さな子どものやんちゃな様子なのかと思いましたが、やっぱり激しい恋歌ですよね。10歳くらいで母親を亡くしているそうなので、自分の中にしっかり記憶したいという気持ちが強くなったのかも、と思いました。
3. Posted by 猫ムスメ   2022年04月24日 13:56
「目を欲す」
素晴らしい感性ですね^ ^
こういうのを見ると。万葉の時代から人の気持ちって変わらないんだなぁと感じます。

以前何かの記事で
「唯一真実を見ているおばあちゃん」
の写真が話題になっていました。
お孫さんの運動会か何かで、周りの保護者は全員スマホかカメラを向けている中、そのおばあちゃんだけはスッと背を伸ばし〝眼で〟観てるんですよね。

あ〜一昔前前はこうだったんだよな。
今は見ているようで見ていないのかもな。
と反省しました。
4. Posted by オスカー   2022年04月24日 18:54
猫ムスメ様
身体の慣用句って目が一番多いような気がします。目を細める、目に入れても痛くないとか。季語にめ蛙の目借り時がありますし。運動会で我が子だと思ってビデオを撮っていたら別人だった
…とならないようにしっかり目で見ないとダメですね(^_^;)
5. Posted by イネス   2022年04月28日 11:18
この茨木のり子さんの詩、すっごく好きです!なんという色っぽさ。このふたりをOAで妄想してしまう罪をお許しください🤣『茨木のり子の献立帖』も面白いです🍳未読でしたらぜひ。
6. Posted by オスカー   2022年04月28日 16:56
イネスさま
「茨木のり子の献立帖」は初めて知りました。こちらも読みたい本リストに入れました! ありがとうございます。茨木さんてご主人とラブラブのイメージがあるので、あのふたりを連想するのは仕方ないと思います(ノ´∀`*)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メッセージ

名前
メール
本文
記事検索
月別アーカイブ