谷川俊太郎

2019年10月17日

紅樹雲便りNo.15:泣いているきみ

久しぶりに谷川俊太郎さんの詩を読みました。 受け取り方、受け止め方は人それぞれでしょうが、私は好きです。







泣いているきみ


泣いているきみのとなりに座って
  ぼくはきみの胸の中の草原を想う
  ぼくが行ったことのないそこで
  きみは広い広い空にむかって歌っている


  泣いている君が好きだ
  笑っているきみと同じくらい
  哀しみはいつもどこにでもあって
  それはいつか必ず歓びへ溶けていく


  泣いているわけをぼくは訊ねない
  たとえそれがぼくのせいだとしても
  いまきみはぼくの手のとどかないところで
  世界に抱きしめられている


  きみの涙のひとしずくのうちに
  あらゆる時代のあらゆる人々がいて
  ぼくは彼らにむかって言うだろう
  泣いているきみが好きだと

  

  谷川俊太郎詩集『私』より   



rohengram799 at 21:30コメント(2) 

2019年07月17日

桐月雲便りNo.16:自分ハスバラシイノダ

読売新聞朝刊の編集手帳に書いてあった谷川俊太郎さんとバカボンのパパのコラボ。知らなかったなぁ、こんな作品を書いていたなんて。谷川さんも赤塚先生も偉大すぎる!





自分トフタリッキリデ暮ラスノダ

自分ノパンツハ自分デ洗ウノダ

自分ハ自分ヲ尊敬シテイルカラ

ソレクライナンデモナイノダ

自分ガニコニコスレバ

自分モ嬉シクナッテニコニコスルノダ

自分ガ怒ルト自分ハコワクナルノデ

スグニ自分ト仲直リスルノダ

自分ハトッテモ傷ツキヤスイカラ

自分ハ自分ニ優シクスルノダ

自分ノ言ウコトサエキイテイレバ

自分ハ自分ヲ失ウコトハナイ

自分ハ自分ガ好キデ好キデタマラナイ

自分ノタメナラ生命モ惜シクナイ

ソレホド自分ハスバラシイノダ




『谷川俊太郎エトセテラ リミックス』(いそっぷ社)より。




https://fhn.hatenablog.com/entry/20150120/1421739362


rohengram799 at 16:04コメント(6) 

2019年07月03日

桐月雲便りNo.2:がっこう

千葉市では小中学校の教室のクーラー設置率が10%に届かないので、12日で授業を終えて夏休みに入るらしい………うわぁ、子どもは嬉しいかもしれないけれど、親は大変じゃないだろうか? そしてそんなに早く夏休みに入るということは、どこかでその分の日数を調整するのだろうし……。自然災害などで休校になることも増えそうだし、子どもは心身ともに元気、ノンキに学校に行くのが当たり前!な時代ではなくなったんだなぁ。





2003年11月23日の朝日新聞に掲載されたという谷川俊太郎さんの『がっこう』という詩、全部ひらがななので、小学生でも低学年の子が書いた雰囲気になっていますが、内容は……。



がっこう 谷川俊太郎



がっこうがもえている

きょうしつのまどから

どすぐろいけむりがふきだしている

つくえがもえている

こくばんがもえている

ぼくのかいたえがもえている

おんがくしつでぴあのがばくはつした

たいくかんのゆかがはねあがった

こうていのてつぼうがくにゃりとまがった

せんせいはだれもいない

せいとはみんなゆめをみている

おれんじいろのほのおのしたが

うれしそうにがっこうじゅうをなめまわす

がっこうはおおごえでさけびながら

がっこうがもえている

からだをよじりゆっくりたおれていく

ひのこがそらにまいあがる

くやしいか がっこうよ くやしいか





読みやすくするために一行あけました。


「せんせいはだれもいない」「せいとはみんなゆめをみている」………この部分が怖いです。物体としての教師はいても実のある教育者は不在なのか、これは学校嫌いな子どもたちの夢の世界なのか、自分を苦しめる学校という存在を疎ましく思っての想像なのか。「くやしいか」の問いかけは誰が発しているのか。考えさせられます。




こちらは今日は晴れ間も見えますが、どうぞ皆さま、何事もありませんように。お気をつけ下さい。



rohengram799 at 10:10コメント(6) 

2019年06月12日

林鐘雲便りNo.10:ここ

『ここ』


どっかに行こうと私が言う

どこ行こうかとあなたが言う

ここもいいなと私が言う

ここでもいいねとあなたが言う

言ってるうちに日が暮れて

ここがどこかになっていく





6月12日は「恋人の日」らしい。毎日、本当に色んなことが記念日を作るものだと思いつつ……こういうきっかけがなければ、気にしないこともいろいろあるから、まぁいいか!


そんなわけで、谷川俊太郎さんの詩をのせてみました。恋人よりちょっと夫婦感がありますかね〜? 実際、こんな風にのんびり会話をするカップルなんていなくて「早く決めろよ💢」ってなりそうな……(^o^;)


好きな人といられるなら、そこが一番素敵な場所だと心から思えた日が懐かしい(爆)


rohengram799 at 00:10コメント(0) 

2019年04月05日

春愁雲便りNo.4:目玉焼き

なんだか昨日から「目玉焼き」の詩が気になって仕方がない🍳 目玉焼きって朝ごはんのイメージがあって、ひとりで食べるというより誰かと食べる、誰かに作ってもらう、誰かに作ってあげる、という感じで、その誰かは家族より恋人が多いような気がする。



そんなワケで(?) 遅い朝ごはんの目玉焼きを作る前に更新(笑) 私は目玉焼きは卵は1つだけ、両面焼いたのが好きです!




『食卓のデュエット』  谷川 俊太郎


目玉焼にみつめられて彼女は顔を赤らめた
ハムが聴耳をたてているので彼は不安になった
誰もがしていることをしているだけなのに
それが恐ろしい秘密のように思えてくる


窓の外の木々の間で蜘蛛は蝶を食べ
遠い渓谷で水は川岸を食べ
人の心の中でひとつの考えが他の考えを食べ
食べることは愛することそっくりだ


食べちゃいたいと囁いてゆうべ彼女は彼を愛した
彼女自身の卵をいつかこのぎらぎら輝く世界に
かえすために






昨年の高知県芸術祭で文芸奨励賞受賞の目玉焼きの詩もよかったので、ぜひコチラからお読み下さいませ。


http://www.kochi-art.com/pol/602




【おまけ・めだま焼き専用たまご】

http://www.cgegg.co.jp/products/4068/




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rohengram799 at 08:44 
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