谷川俊太郎

2019年07月17日

桐月雲便りNo.16:自分ハスバラシイノダ

読売新聞朝刊の編集手帳に書いてあった谷川俊太郎さんとバカボンのパパのコラボ。知らなかったなぁ、こんな作品を書いていたなんて。谷川さんも赤塚先生も偉大すぎる!





自分トフタリッキリデ暮ラスノダ

自分ノパンツハ自分デ洗ウノダ

自分ハ自分ヲ尊敬シテイルカラ

ソレクライナンデモナイノダ

自分ガニコニコスレバ

自分モ嬉シクナッテニコニコスルノダ

自分ガ怒ルト自分ハコワクナルノデ

スグニ自分ト仲直リスルノダ

自分ハトッテモ傷ツキヤスイカラ

自分ハ自分ニ優シクスルノダ

自分ノ言ウコトサエキイテイレバ

自分ハ自分ヲ失ウコトハナイ

自分ハ自分ガ好キデ好キデタマラナイ

自分ノタメナラ生命モ惜シクナイ

ソレホド自分ハスバラシイノダ




『谷川俊太郎エトセテラ リミックス』(いそっぷ社)より。




https://fhn.hatenablog.com/entry/20150120/1421739362


rohengram799 at 16:04コメント(6) 

2019年07月03日

桐月雲便りNo.2:がっこう

千葉市では小中学校の教室のクーラー設置率が10%に届かないので、12日で授業を終えて夏休みに入るらしい………うわぁ、子どもは嬉しいかもしれないけれど、親は大変じゃないだろうか? そしてそんなに早く夏休みに入るということは、どこかでその分の日数を調整するのだろうし……。自然災害などで休校になることも増えそうだし、子どもは心身ともに元気、ノンキに学校に行くのが当たり前!な時代ではなくなったんだなぁ。





2003年11月23日の朝日新聞に掲載されたという谷川俊太郎さんの『がっこう』という詩、全部ひらがななので、小学生でも低学年の子が書いた雰囲気になっていますが、内容は……。



がっこう 谷川俊太郎



がっこうがもえている

きょうしつのまどから

どすぐろいけむりがふきだしている

つくえがもえている

こくばんがもえている

ぼくのかいたえがもえている

おんがくしつでぴあのがばくはつした

たいくかんのゆかがはねあがった

こうていのてつぼうがくにゃりとまがった

せんせいはだれもいない

せいとはみんなゆめをみている

おれんじいろのほのおのしたが

うれしそうにがっこうじゅうをなめまわす

がっこうはおおごえでさけびながら

がっこうがもえている

からだをよじりゆっくりたおれていく

ひのこがそらにまいあがる

くやしいか がっこうよ くやしいか





読みやすくするために一行あけました。


「せんせいはだれもいない」「せいとはみんなゆめをみている」………この部分が怖いです。物体としての教師はいても実のある教育者は不在なのか、これは学校嫌いな子どもたちの夢の世界なのか、自分を苦しめる学校という存在を疎ましく思っての想像なのか。「くやしいか」の問いかけは誰が発しているのか。考えさせられます。




こちらは今日は晴れ間も見えますが、どうぞ皆さま、何事もありませんように。お気をつけ下さい。



rohengram799 at 10:10コメント(6) 

2019年06月12日

林鐘雲便りNo.10:ここ

『ここ』


どっかに行こうと私が言う

どこ行こうかとあなたが言う

ここもいいなと私が言う

ここでもいいねとあなたが言う

言ってるうちに日が暮れて

ここがどこかになっていく





6月12日は「恋人の日」らしい。毎日、本当に色んなことが記念日を作るものだと思いつつ……こういうきっかけがなければ、気にしないこともいろいろあるから、まぁいいか!


そんなわけで、谷川俊太郎さんの詩をのせてみました。恋人よりちょっと夫婦感がありますかね〜? 実際、こんな風にのんびり会話をするカップルなんていなくて「早く決めろよ💢」ってなりそうな……(^o^;)


好きな人といられるなら、そこが一番素敵な場所だと心から思えた日が懐かしい(爆)


rohengram799 at 00:10コメント(0) 

2019年04月05日

春愁雲便りNo.4:目玉焼き

なんだか昨日から「目玉焼き」の詩が気になって仕方がない🍳 目玉焼きって朝ごはんのイメージがあって、ひとりで食べるというより誰かと食べる、誰かに作ってもらう、誰かに作ってあげる、という感じで、その誰かは家族より恋人が多いような気がする。



そんなワケで(?) 遅い朝ごはんの目玉焼きを作る前に更新(笑) 私は目玉焼きは卵は1つだけ、両面焼いたのが好きです!




『食卓のデュエット』  谷川 俊太郎


目玉焼にみつめられて彼女は顔を赤らめた
ハムが聴耳をたてているので彼は不安になった
誰もがしていることをしているだけなのに
それが恐ろしい秘密のように思えてくる


窓の外の木々の間で蜘蛛は蝶を食べ
遠い渓谷で水は川岸を食べ
人の心の中でひとつの考えが他の考えを食べ
食べることは愛することそっくりだ


食べちゃいたいと囁いてゆうべ彼女は彼を愛した
彼女自身の卵をいつかこのぎらぎら輝く世界に
かえすために






昨年の高知県芸術祭で文芸奨励賞受賞の目玉焼きの詩もよかったので、ぜひコチラからお読み下さいませ。


http://www.kochi-art.com/pol/602




【おまけ・めだま焼き専用たまご】

http://www.cgegg.co.jp/products/4068/




*現在コメントは受付ていません*

rohengram799 at 08:44 

2019年02月23日

令月雲便りNo.27:やわらかいいのち

毎日イヤなニュースがたくさん……ツラい時間をどうにかしてやり過ごしてきたことを大人になると忘れてしまいがちだけれど、谷川俊太郎さんの詩を読むとそんな日々を思い出します。そして岡本一平氏の言われたこの言葉も思い出します。

「うーん、いのちってのはなァ、うーん、あんまり貴いのでなァ、ギョロッとしたものなんだよ」






『やわらかいいのち
   ~思春期心身症と呼ばれる少年少女たち~』

      1

 どうしたらいいの どうしらいいの
 問いかけるあながの言葉が 私の中に谺する
 答えのない私の中に――
 どうしたらいいの どうしたら
 私の中にあなたがいる
 ひっそりとひとりで立ちつくしている
 心はもつれあった灰色の糸のかたまり
 だがその糸が私とあなたをむすんでいる
 どうしたら どうしたらいいの
 問いかけることであなたは糸の端を
 しっかりと握りしめている

      2

 あなたが歩くことができるのがおどろきだ
 あなたがごはんを食べるのが
 歯をみがくのが私にとっておどろきだ
 あなたのふたつの眼から
 涙のにじみ出てとまらないのがおどろきだ
 あなたは海をみつめて放心している
 その顔にかくされた美しさがおどろきだ
 そしてもしもあなたが死ねるとしたら・・・・・
 死ねるとしても――
 そのことの中に私は
 あなたのいのちの輝きを見るだろう
 私たちの生きる証しを見るだろう

      3

 怒りながら哀しんでいる
 戸惑いながら決意している
 突き放しながらしがみついている
 ひとつの顔 世界中でたったひとつのあなたの顔
 その顔はかくしている 
 誰にも読みきれない長い物語を

 拒みながら待っている
 謝りながら責めている
 途方にくれながら主張している
 ひとつの背中
 かたくなにみずからを守るあなたの背中
 その背中は呟いている
 自分にもつなげないきれぎれな物語を

      4

 どこへ帰ろうというのか
 帰るところがあるのかあなたには
 あなたはあなたの体にとらえられ
 あなたはあなたの心に閉じ込められ
 どこへいこうとも あなたはあなたに帰るしかない

 だがあなたの中に
 あなたの知らないあなたがいる
 あなたの中で海がとどろく
 あなたの中で木々が芽ぶく
 あなたの中で人々が笑いさざめく
 あなたの中で星が爆発する
 あなたこそ あなたの宇宙 あなたのふるさと

      5

 あなたは愛される
 愛されることから逃れられない
 たとえあなたがすべての人を憎むとしても
 たとえあなたが人生を憎むとしても
 自分自身を憎むとしても
 あなたは降りしきる雨に愛される
 微風にゆれる野花に
 えたいの知れぬ恐ろしい夢に
 柱のかげのあなたの知らない誰かに愛される
 何故ならあなたはひとつのいのち
 どんなに否定しようと思っても
 生きようともがきつづけるひとつのいのち
 すべての硬く冷たいものの中で
 なおにじみなおあふれなお流れやまぬ
 やわらいかいのちだからだ




谷川俊太郎詩集『たましいのいちばんおいしいところ』より



rohengram799 at 11:25コメント(2) 
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