備忘の果実 〜オスカー戯言日記〜

好きなことを好きな時にチマチマと書いています(⁠๑⁠˙⁠❥⁠˙⁠๑⁠)

【空のお城通信〜オスカー戯言日記〜】(2010.3.17〜2021.10.31 )からタイトルを変更。(2021.11.7〜)

さとうきび畑

暮雲便りNo.22:The Wind That Shakes the Barley

本屋さんにレーション(俗にいう“ミリ飯”)の本を探しにいったら、戦争映画をまとめた雑誌を見つけました。あのつまらなかったブラビの『ヒューリー』も載っていたのですが(感想は笑雲便りNo.4:ふん((( ̄へ ̄井)をどうぞ)『麦の穂をゆらす風』という2006年公開のアイルランドを舞台にした映画の記事がありました。

1920年。長い間イギリスの支配を受けてきたアイルランドでは、疲弊した人々の間に独立の気運が高まっていました。そんな中、医師を志していた青年がついにその道を捨て、兄と共に武器を取りアイルランド独立を目指す戦いに身を投じる決心をします。やがてイギリス軍との激しい戦いの末に両国の間で講和条約が締結。しかし、完全な独立からは程遠い内容に条約への評価を巡り、アイルランド人同士の間に賛成派と反対派の対立が生まれ、内戦へと発展してしまうのです。そして兄弟も敵味方に分かれて戦うことに……。

他国からの支配、母国語(ゲール語・ケルトの言葉)も禁じられたアイルランドの人たちは、歌やダンスに自分たちの気持ちを込めて暮らしてきました。「麦の穂を揺らす風」とは、英国によるアイルランド支配の悲劇を綴った弔いの歌……映画ではお葬式で老婆が歌うそうです。反乱軍は行軍の際はつねに麦を補食用としてポケットに入れていたとのこと。命を落としたたくさんの同士は墓標もないまま大地に穴を掘って埋められました。その大地から生まれ育った麦……それらは亡くなった人たちを象徴しているのだという話に『さとうきび畑』を思い出しました。


古き愛は恋人に
新しき愛は祖国アイルランドに
柔らかな風が谷間に吹き渡り
黄金色の麦の穂をゆらした
二人の絆を断ち切る言葉は
辛くて口に出せないが
それよりもなお辛いのは
異国の鎖に縛られる屈辱
それで私は言う 山の谷間へ
夜明けに仲間を求めて行こう
柔らかな風が 谷間に吹き渡り
黄金色の麦の穂をゆらした



以前にもブログに書きましたが、「麦」ときいて私が一番に思い出すのは、漫画『はだしのゲン』のお父さんの言葉です。

「お前も麦のようになれ。踏まれても踏まれても、たくましい芽を出す麦になれ。」


作者の中沢さんは『はだしのゲン』のテーマは麦なのだと言っていました。「麦は寒い冬に芽を出し、霜柱をおしのけてまっすぐ伸びる。麦踏みで何度も踏まれながらも大地にしっかりと根をはって、やがて豊かな穂を実らせる。人間、そういうふうになれよということで、元気のゲン、元素のゲン、人間の元素になれという意味で、『はだしのゲン』という名前をつけたんです。」


《エリウゲナの窓》というブログにアイルランドの音楽などのカテゴリがあります。興味を持った方はぜひご覧下さいませ!

http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/461944/448947


その中からひとつ! 「日本から来ました」をゲール語にすると、
Is as An tSeapa'in me'. イス アス アチャポーィン メー となる……そうです。アチャポーィン……発音も難しそうですが、アチャポーで区切って大笑いしてしまいそう……語学は難しいですね(; ̄ー ̄A




うろこ雲便りNo.4:完全無欠の恋愛画家

私的にオモロ~!!な出来事がなかったので2日お休みしましたが、元気にしております。しかし、暑い……本当の梅雨入りはまだだろ?って思います。買い物途中でタチアオイがきら~ん☆と元気に咲いていて……綺麗なんですけど、色がガッツリ自己主張する深紅系で暑さ倍増!!ピンクだったらいくぶん違ったのですが(--;)涼しい気分になるかと読んだ『夏の水の半魚人』は「なぁに、コレ?」な話でしたし(´д`)


さて…今回のタイトルは♪完全無欠のロックンローラーから拝借しました~読み終わった『完全恋愛』の主人公が勘違いしたまま純愛を貫いたお話だったので(笑)

大きく内容をわけますと「運命の彼女との出逢い」「彼女の娘との出逢い」「勘違いの復讐劇」の3つでしょうか? 時代は太平洋戦争末期、東京から疎開してきた少年が同じように疎開してきた画家の娘に恋心を抱きます。闇夜にこっそりやってきた女性を画家の娘と信じて疑わない彼でしたが、実際は…まぁカンのいい人ならすぐわかるので書いてしまいますが、身をよせている旅館の娘だったのですわ。運命の彼女と思ったのに結婚は叶いませんでしたが、絵の才能を買われ弟子になったので、好きな人の情報は入る。彼女のダンナは再婚でどうも中村主水だったらしい(種なしカボチャ)でも娘が生まれた→ボクと関係があった時期とあう→ボクの子だ→師匠は義父…という発想になるのですが、彼女は病死、娘も死んでしまいます。彼の憎しみと怒りはダンナに向かい(このダンナも成金野郎のイヤなヤツ)復讐するのですが……それは娘が亡くなってから20年近く経ってから。彼は罪を問われることはなく、平成の世を生き他界します。

戦争末期から平成まで、登場人物も年齢を重ね新しい家族を伴い、物語をアレコレ彩り豊かにしてくれるのですが、ミステリーとしてもほぉ!!と楽しめたなという感想の他に「戦争が終わってまだ100年も経っていない」ということを改めて思いました。主人公は戦場に赴くことはありませんでしたが、東京大空襲で家族を失い、終戦により今までの態度を大きく変えた大人たちにあきれ、自分も画家として生活しながら「画壇」の古い体質に嫌気を感じ、バブルも体験し……「ウチの親より少し上の世代なんだよなぁ」と思うと妙にリアリティーがあるというか…読みながら「そうそう」「こういうことがあったよ」とうろ覚えながら思い出しました。

私は東京オリンピック開催の年に生まれましたが、小さい頃はまだまだ「戦後」がありました。お祭りに傷痍軍人がいるのは当たり前でしたし、甲府のデパート近くの路上にもそういう人たちがいました。今は「乞食(コジキ)」とか放送禁止用語で使われませんが、そういう人たちも見ましたし、空き缶に小銭を入れた記憶もあります。平成生まれの子どもたちにはピンとこない光景でしょうね。ホームレスとはまた違いますから。

「ストーカーになることもなく、自分の初恋を最後まで守り通した男」と「男に全く気づかれることなく初恋を貫いた女」(彼女の完全犯罪ならぬ完全恋愛物語かも)の生きざまの背景にはやっぱり「戦後」があるような気がしました。「もはや戦後ではない」という言葉はまだまだというよりずっと使えないのでは?恋愛小説であり社会派小説、なんかそんな気持ちになる一冊でしたわ。


相変わらずまとまりがなく、タイトル詐欺みたいな記事になってしまいましたが、物語に沖縄が出てきたこと(まだ沖縄はアメリカの統治下で流通貨幣はドル、車は右側通行、パスポートが必要と思われる時代)今日の日射しが『さとうきび畑』の歌詞を連想させたからかも……しれないφ(°°)

サバ雲便りNo.50:声のお守り

♪声のおまもりください~恋のはじまり せつない……この歌、懐かしいですね~今はポケベルなんて使わないですが…って話題じゃありません(((^^;)BEGINも沖縄ですが、沖縄の詩人を検索している時に『八月十五日の夜会』(蓮見圭一)という小説を知りました。


主人公は大学生の東江(あがりえ)秀二。彼の祖父は沖縄出身で沖縄戦の生き残り。「自分は沖縄の山の中で死んでいたはずの人間だ、生き延びたせいで見なくていいものをたくさん見た」と生前語っていました。亡くなった祖父の散骨のために沖縄を訪れ、そこで手にしたのは120分の古いカセットテープ4本。長い時を越えて語られる、あの戦争時、沖縄本島以外であった悲惨で凄惨な出来事…私だったら夜中にひとりでこの内容は聴けないと思いました。方言は異国の言葉と同じ…「ナニ言ってるかワカンナ~イ」と今なら簡単に言えそうですが、子どもたちにも(いや子どもだから余計に)スパイ疑惑が向けられたり…。


ざわわ…ざわわ…ざわわ……『さとうきび畑』が戦争を歌ったものだとは知らずにいた彼のような人は多いのでしょうね。
寒い季節ですが、短い日数でしたが滞在した沖縄で浴びた「夏の日射し」、白い砂浜、青い海、独特の形のお墓、dangerの看板、夕暮れ、米軍のジープなどが思い出されました。


祖父の戦友が孫娘とお見舞いに来てくれた時に、こんな会話がありました。「うちの祖父がいなければ孫は生まれて来なかったという話だよ。あれは君のことを言っていたんだろう?あの話にはぐっときた」彼女もこう返事をします。「あれには私もびっくりしました。色々なことを考えました。たくさんのことが繋がって、その結果、いまの自分がいるのだなって」「僕もそう思った。そんなふうに考えたことは一度もなかった。遠い昔に戦争があって負けて帰ってきただけだと思っていた。でもそれだけじゃなかったんだね」


蓮見さんの本は亡き児玉清氏が絶賛したという『水曜の朝、午前三時』を読んだことがありますが、こちらは死を前にした中年の女性が娘に自分の若い頃の恋をカセットテープに録音して語るというもの。大阪万博のコンパニオンとして活躍した彼女の人生にも戦争の影はありました。ちょっと不思議な感覚の話でした。


2つに共通するのは「文章」ではなく「声」での告白(でいいのかな?)でしょうか…田中好子さんの葬儀でのメッセージを思い出してちょっとお鼻がツーン!になってきました。父はたおれてから話せなくなってしまったので、母が「話が出来ないのがつまらない(寂しい)」とよく言っていました。ビデオテープもありますが、母はそういう操作は苦手…歌やらしゃべりの入ったテープがどこかにあったらなぁ…。


テープやラジカセ、今は持っている人も聞く人も少ないのでしょうが、ウチのダンナは未だに使用中~中年向けの簡単操作のヤツを購入(笑)昔、録音しまくった松山千春やさだまさしなどを聞いています。子どもが小さい時に大塚博堂さんの曲が入ったお気に入りカセットのテープをべーっ!!と引き出されてしまい…泣いておりました(-_-;)



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