トラットリア

2018年01月21日

新光雲便りNo.15:食事の思い出

前から表紙を見て気になっていた『トラットリア・ラファーノ』を読んだのは昨年末でした。


http://www.tis-home.com/hiroki-nishiyama/works/21


トラットリアとはイタリアの気軽に入れる食堂、大衆食堂みたいな雰囲気や家庭的な雰囲気を持つお店のことをいうようです。ラファーノはイタリア語で西洋わさびのこと。「お客さまの人生に、ささやかな刺激と楽しみを添えられるように」という意味を込めた店名。


内容は裏表紙から・・・神戸・元町にあるイタリア料理店「ラファーノ」。兄と妹が厨房担当で、僕はホール係だ。ある日、高校の同窓生・優奈が来店した。お店を気にいったらしい彼女が何度か通ってくるようになった頃、高校時代のソフトテニス仲間・伸幸が店にやって来た―。プロシュート、鶏の白ワイン煮込み、仔羊のカツレツ、夏サンマのマリネ、カッサータ…など美味しい料理と、友情と恋愛の間で揺れ動く男女の心の機微とかけがえのない人生を描く感動の物語。書き下ろし。




父親が

「食事は思い出と直結している。とりあえず飢えを満たせばいいという食事でも、その状況そのものが、深いところで記憶に刻まれる。考えてみれば怖い話だ。つらい体験や苦しい体験と結びついた味は、嫌な思い出として心に残ってしまう。場合によっては『何も食べられなかった』という体験自体が、食事にまつわる記憶として心に刻まれてしまう」(p117)


語る場面には確かに・・・となりました。私も今までのブログ記事にも食と記憶についていくつか書いていましたね。


♪あなたがかんだ 小指が痛い 昨日の夜の 小指が痛い・・・これは伊東ゆかりさんの『小指の想い出』~なんて意味深な大人の世界の歌詞なんでしょーか( 〃▽〃) タイトルを打ち込んだら思い出したので書いてしまった(笑)




話を本の内容に戻しまして・・・後半で異人館巡りを友人たちとする場面があるのですが「なんか唐突だなぁ」と感じたのです。その理由が他の方々の感想を読んでわかりました。言葉が標準語ばかりで、舞台が神戸という雰囲気がなかったのですね。横浜や青山の話だとしてもあまり違和感があるとなかっただろうというくらいで。



そして、その感想に対して作家さんの事務所からコメントがありまたビックリしました。


【大変申し訳ないのですが、はっきりと方言しか使わない地方と違って、神戸の人は必ずしも関西弁では喋りません。そして、かなりの昔から、「標準語を関西風のイントネーションで喋る」という方法をとる人が珍しくない地方でもあります。また、港町という性質上、人の出入りが多いので関西弁を使わない人もいます。ですから「リアルさが薄い」と感じられたのであれば、それは、作品の別の部分に理由があるのではないでしょうか。(※著者自身は神戸生まれの神戸育ちです)】




う~ん、作家さんや関係者が読書メーターやら他の読書サイトをチェックしているのが当たり前なのかしら? 誤解されたままではイヤだな、というのがあるのかしら? これも意外な出来事でした。



rohengram799 at 15:16コメント(6) 
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