トーマ・ヒロコ

2018年06月11日

芸香雲便りNo.11:細い糸

『細い糸 』 トーマ・ヒロコ

糸が切れないように
乱暴な風が吹きそうになったら
手で風をさえぎる
さえぎるのが遅くて
風が糸を切ったなら
そっと糸を結ぶだけ
結び目が目立たなくなるまで
じっと見守るだけ



前の記事からのつながりで・・・「じっと見守るだけ」これが一番難しいことなのかも。昔読んだ格言集にあったトルストイ(だったと思う)の「待ってみることだよ 努力して待ってみることだよ」を思い出しました。


rohengram799 at 08:46|この記事のURLComments(2)

2018年05月06日

若夏雲便りNo.8:お疲れ!

ニュースでは行楽地の様子、高速道路の渋滞、帰国ラッシュなど、みんなGWに出掛けたよね!みたいな雰囲気になっていますねぇ。潮干狩りの様子がよく流れていましたが、なぜ「お父さん」「お父さん」を連呼するんでしょう? こういう時でないとお父さんの出番はない!みたいに・・・バケツにたくさん入っていないとダメおやじみたいなコメントとかやめて欲しいですね。



自分の誕生日に買った『通勤電車で読みたい詩集』に載っていたトーマ・ヒロコさんの詩がとても気に入りました。こんな気持ちになりますよね。学校に行く、それだけで疲れる。あったよ、そんな時代! (化粧はしないけど) 初デートのところとか、ウンウン、となる人が多そうだし、休日も納得。 シンプルで有り難い言葉だなと思いました。





『ひとつでいい』トーマ・ヒロコ


挨拶はひとつだけでいい
おはようも
ありがとうも
さようならも
おやすみも
もう要らない

朝一番の学校で
「お疲れ」と声をかけてきた同級生
起きるだけで
ご飯を食べるだけで
消耗するエネルギー
バスに揺られて化粧して
何度か停車をくり返し
やがて見えてくる校舎
バスを降りた瞬間
家に帰りたくなる

初デートの帰り道
家まで送ってくれた彼氏の「お疲れ」
スカート、目力(めぢから)主張、鈴のような笑い声
慣れないことから
もうすぐ解放される
しかしまだ油断はできない
彼の車が左折するまで
笑顔で見送らなくてはならない
左折すれば
彼もホッとため息つくだろう

家でごろごろするだけの休日でも
夕方になれば
肩が凝り
脚がむくんで
目がしょぼしょぼする

おはようも
ありがとうも
ごめんなさいも
さようならも
おやすみも
もう要らない
この世を生き抜くためには
挨拶はひとつでいい
「お疲れ」だけで事足りる



rohengram799 at 15:36|この記事のURLComments(4)
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