メジロ
2016年02月26日
凍雲便りNo.14:ことり
落語の『八五郎坊主』……出家した八五郎は物覚えが悪くて「法春(ほうしゅん)」というよい名をいただいたのに覚えられない(´;ω;`) 和尚さんが釈迦の弟子の槃特(はんとく)のはなしを聞かせてくれる。槃特は覚えられない自分の名前を板切れに書いて背負って歩き、立派に悟りをひらいた。逝去後、墓前に見知らぬ草が生える。「草かんむりに名を荷(にな)うと書いて茗荷じゃ」……という話を読んだのですが、頭の回転が凍りついていたらしいワタクシ、それがどーした、?オチがわからない……としばし悩んでしまいました。「ミョウガを食べると物忘れ」の俗信をすっかり忘れていました……ミョウガを食べようが食べまいが、関係なかった……ρ(・・、)
そんなハートブレイクなワタクシを慰めてくれるのが小鳥ならぬ『ことり』(小川洋子)です。
物語は「小鳥の小父さん」と呼ばれている男性が、いわゆる「孤独死」状態で発見されるところから始まります。彼は両腕で竹製の鳥籠を抱いたまま亡くなっていて、籠の中には一羽の小鳥(メジロ)が生きている。その小鳥が逃げ、飛び去ってしまい………そこから彼の一生が語られるのです。
世間的な価値観からは発達障がいと呼ばれそうな兄は11歳から、自分で編み出した言語を喋り始めます。兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、他人が理解出来る言葉を話せません。兄の不思議でやさしい言葉を理解出来るのは弟だけでした。やがて母が亡くなり父も亡くなり……。
兄弟だけの暮らしは23年続きますが、兄は不意に逝ってしまいます。「小鳥の言葉を理解し、その声にじっと耳を澄ませ、彼らを励まし慰め続ける人生だったに死んでしまう。「小鳥の言葉を理解し、その声にじっと耳を澄ませ、彼らを励まし慰め続ける人生だった。(享年五十二)」
弟は、小鳥の言葉を理解した兄を偲びつつ、幼稚園の鳥小屋の世話をするようになり、園児たちから「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになります。そして図書館の司書である女性にひそかに思いを寄せるのですが……。
その後は時代の変化や自身の身体の変調など、物語の雰囲気も前半とまた違ってきます。彼の人生を知らない人が大半ですし、あやしい人物に見られても仕方ないところはあって、実際に疑われてしまったり。
ヒヨドリやツグミの話などは漫画の『とりぱん』で見たような場面があり、ふふっとなりました。時間がゆっくりと流れていって、とってもやさしい……この本を朗読出来る技量が欲しい!と思ってしまう……映画でも絵本でもなく、声でこの世界に入り込みたい!
小父さんは兄の言葉を「ポーポー語」と名付けているのですが、私はこの部分がとてもせつなくて、とてもいとおしく感じました。
ポーポー語の中で小父さんが最も愛しているのは、おやすみ、だった。ああ、これは夜の小さなお別れを表しているのだなと分かる響きを持ち、どこか懐かしく、慈悲深く、小さな声でも闇の遠い一点にまで届いていった。お兄さんの「おやすみ」がいくつも重なり合うと、いつしか「さよなら」になるのだろうという予感がありながら、それでもやはり眠る時間になれば、また「おやすみ」を聞きたい気持ちになるのだった。
「おやすみ」
お兄さんには届かないと知りつつ、階段の向こうの暗がりを見つめながら、小父さんはもう一度だけつぶやいた。
『お兄さんの「おやすみ」がいくつも重なり合うと、いつしか「さよなら」になるのだろうという予感がありながら、それでもやはり眠る時間になれば、また「おやすみ」を聞きたい気持ちになるのだった。』……もう、どうしたらこんなに美しい言葉で人の気持ちを表すことが出来るのか! スープの話で冷めていた私の心がイッキに♪あったかいんだからぁ~になりましたよ。この春、耳にする鳥の歌は格別なものになりそうです。
小川さんの『人質の朗読会』の表紙も好きでしたが、この表紙も好き……また装丁も内容も素晴らしい一冊に出逢いたいです。皆さまもなにかステキな出逢いがある週末になりますように(*´∀`)ノ
そんなハートブレイクなワタクシを慰めてくれるのが小鳥ならぬ『ことり』(小川洋子)です。
物語は「小鳥の小父さん」と呼ばれている男性が、いわゆる「孤独死」状態で発見されるところから始まります。彼は両腕で竹製の鳥籠を抱いたまま亡くなっていて、籠の中には一羽の小鳥(メジロ)が生きている。その小鳥が逃げ、飛び去ってしまい………そこから彼の一生が語られるのです。
世間的な価値観からは発達障がいと呼ばれそうな兄は11歳から、自分で編み出した言語を喋り始めます。兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、他人が理解出来る言葉を話せません。兄の不思議でやさしい言葉を理解出来るのは弟だけでした。やがて母が亡くなり父も亡くなり……。
兄弟だけの暮らしは23年続きますが、兄は不意に逝ってしまいます。「小鳥の言葉を理解し、その声にじっと耳を澄ませ、彼らを励まし慰め続ける人生だったに死んでしまう。「小鳥の言葉を理解し、その声にじっと耳を澄ませ、彼らを励まし慰め続ける人生だった。(享年五十二)」
弟は、小鳥の言葉を理解した兄を偲びつつ、幼稚園の鳥小屋の世話をするようになり、園児たちから「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになります。そして図書館の司書である女性にひそかに思いを寄せるのですが……。
その後は時代の変化や自身の身体の変調など、物語の雰囲気も前半とまた違ってきます。彼の人生を知らない人が大半ですし、あやしい人物に見られても仕方ないところはあって、実際に疑われてしまったり。
ヒヨドリやツグミの話などは漫画の『とりぱん』で見たような場面があり、ふふっとなりました。時間がゆっくりと流れていって、とってもやさしい……この本を朗読出来る技量が欲しい!と思ってしまう……映画でも絵本でもなく、声でこの世界に入り込みたい!
小父さんは兄の言葉を「ポーポー語」と名付けているのですが、私はこの部分がとてもせつなくて、とてもいとおしく感じました。
ポーポー語の中で小父さんが最も愛しているのは、おやすみ、だった。ああ、これは夜の小さなお別れを表しているのだなと分かる響きを持ち、どこか懐かしく、慈悲深く、小さな声でも闇の遠い一点にまで届いていった。お兄さんの「おやすみ」がいくつも重なり合うと、いつしか「さよなら」になるのだろうという予感がありながら、それでもやはり眠る時間になれば、また「おやすみ」を聞きたい気持ちになるのだった。
「おやすみ」
お兄さんには届かないと知りつつ、階段の向こうの暗がりを見つめながら、小父さんはもう一度だけつぶやいた。
『お兄さんの「おやすみ」がいくつも重なり合うと、いつしか「さよなら」になるのだろうという予感がありながら、それでもやはり眠る時間になれば、また「おやすみ」を聞きたい気持ちになるのだった。』……もう、どうしたらこんなに美しい言葉で人の気持ちを表すことが出来るのか! スープの話で冷めていた私の心がイッキに♪あったかいんだからぁ~になりましたよ。この春、耳にする鳥の歌は格別なものになりそうです。
小川さんの『人質の朗読会』の表紙も好きでしたが、この表紙も好き……また装丁も内容も素晴らしい一冊に出逢いたいです。皆さまもなにかステキな出逢いがある週末になりますように(*´∀`)ノ
rohengram799 at 19:55|この記事のURL│Comments(6)
2012年02月26日
第703号:ウグイスの「ふ~ん」
梅にウグイス~これは秀でたふたつのものが調和すること(二つまたは一対の宝玉及び優劣・甲乙の付けがたい二つの優れたもの、またはその分野において並び立つ両雄の事は「双璧」ですよ♪)のたとえで使われるポピュラーな慣用句ですが、実際梅によく来る鳥はメジロだそうですね。メジロというと田中角栄氏を思い出してしまいます(((^^;)
ウグイスは1羽のオスが2羽以上のメスとつがいになる一夫多妻の鳥なんですと~なんとなく裏切られた気分になるのはナゼ?(笑)『オレさまの声に惚れるオンナは数知れず』って気分なのかしら?
「ホーホケキョ♪」は春になると聞こえるオスのさえずり声で、高音と低音があって、低い声は他のオスへの威嚇だそうです。ドスをきかせたかんじなんでしょうか(((・・;)そして、冬の間は「チャッ、チャッ」と鳴いているんだそうです~コレも知らなかった!!
あと昔お化粧品売り場で『うぐいすの粉』を見ました~コレは「フン」か「コナ」か友達とアホみたいに盛り上がりましたわ~お子さまですもの(--;)
ウグイスの糞は、和服の模様抜きやシミ抜きの必需品!元禄時代には真っ赤な長襦袢の模様抜きや、紋付の家紋抜きに欠かせないものだったとか。衣類の色を抜いてもまったく生地を傷めないことから、ウグイスの糞を人間の肌のシミ抜きや、色黒なお肌を白い肌にするのにも使用。歌舞伎役者や芸者さんは率先して使っていたとか。その後、美肌をつくる洗粉として公家・武家・商家の奥様方が愛用し現代まで引き継がれてきたとのこと。
うーん、ウグイス以外では効果がなかったのか?気になりますね(笑)あと「鶯神楽」(ウグイスカグラ)とかいう花もあるみたい。ウグイス色というと緑色っぽいイメージですが(実際のウグイスは暗い褐色)この花の色はピンクだそうです。
では、最後にワタクシの「愚痴」という名のさえずりをきいて下さい……息子が『銀河英雄伝説』(第二章)のチラシをとってきてくれたのですが、河村隆一のヤンさんもイヤだけれど、ムライが大澄賢也(小柳ルミ子と別れた)でオヤジ…失礼、シェーンコップが松井誠さんとか…何だよ、このキャスト(-_-;)私が同盟ファンだったら泣き叫んでいたに違いない…田中先生、本当にいいんでしょうか(~_~;)
ウグイスは1羽のオスが2羽以上のメスとつがいになる一夫多妻の鳥なんですと~なんとなく裏切られた気分になるのはナゼ?(笑)『オレさまの声に惚れるオンナは数知れず』って気分なのかしら?
「ホーホケキョ♪」は春になると聞こえるオスのさえずり声で、高音と低音があって、低い声は他のオスへの威嚇だそうです。ドスをきかせたかんじなんでしょうか(((・・;)そして、冬の間は「チャッ、チャッ」と鳴いているんだそうです~コレも知らなかった!!
あと昔お化粧品売り場で『うぐいすの粉』を見ました~コレは「フン」か「コナ」か友達とアホみたいに盛り上がりましたわ~お子さまですもの(--;)
ウグイスの糞は、和服の模様抜きやシミ抜きの必需品!元禄時代には真っ赤な長襦袢の模様抜きや、紋付の家紋抜きに欠かせないものだったとか。衣類の色を抜いてもまったく生地を傷めないことから、ウグイスの糞を人間の肌のシミ抜きや、色黒なお肌を白い肌にするのにも使用。歌舞伎役者や芸者さんは率先して使っていたとか。その後、美肌をつくる洗粉として公家・武家・商家の奥様方が愛用し現代まで引き継がれてきたとのこと。
うーん、ウグイス以外では効果がなかったのか?気になりますね(笑)あと「鶯神楽」(ウグイスカグラ)とかいう花もあるみたい。ウグイス色というと緑色っぽいイメージですが(実際のウグイスは暗い褐色)この花の色はピンクだそうです。
では、最後にワタクシの「愚痴」という名のさえずりをきいて下さい……息子が『銀河英雄伝説』(第二章)のチラシをとってきてくれたのですが、河村隆一のヤンさんもイヤだけれど、ムライが大澄賢也(小柳ルミ子と別れた)でオヤジ…失礼、シェーンコップが松井誠さんとか…何だよ、このキャスト(-_-;)私が同盟ファンだったら泣き叫んでいたに違いない…田中先生、本当にいいんでしょうか(~_~;)
rohengram799 at 22:38|この記事のURL│Comments(16)