中山可穂

2017年04月03日

菫青雲便りNo.2:ありがと。

4月になりました。東京では桜が満開だとか? 今月のお便りは桜ではなく菫です(о´∀`о)

菫(すみれ)のつく石がありました。菫青石(きんせいせき)、アイオライトとか他にいくつか呼び名があるみたいです。青色だけれど、角度によって透明、灰色、黄色等などに見えるそうです。この多面性にひかれ、季節も春だし字面も美しい(笑)ので、このタイトルにしました。またよろしくお願いいたします!

さてさて、今月最初には読み終わったのは『ありがと。―あのころの宝もの十二話』 (ダ・ヴィンチブックス)でした。具体的に親や友だちに感謝するというより、その時代に、また一緒に過ごした時間に、あの頃の自分に感謝する、みたいな感じの作品集でした。

・犬飼恭子「町が白雪に覆われたなら」
・加納朋子「モノレールねこ」
・久美沙織「賢者のオークション」
・近藤史恵「窓の下には」
・島村洋子「ルージュ」
・中上紀「シンメトリーライフ」
・中山可穂「光の毛布」
・藤野千夜「アメリカを連れて」
・前川麻子「愛は、ダイヤモンドじゃない。」
・三浦しをん「骨片」
・光原百合「届いた絵本」
・横森理香「プリビアス・ライフ」

「モノレールねこ」は既読だったので、ひとつ損した気分になりました( ̄~ ̄;) 可愛い話なんでわるくはないのですが、テーマでいったら「バルタンの最期」の方がよかったかなぁ。初読みの作家さんもいてなかなか楽しめました。中にはう~ん、イマイチ?もありましたが、三浦しをんさんはさすがです。こういう片想いの話は嫌いじゃないぜ!と申し上げておきましょう(笑) また光原さんの作品もよかったです。

一番好きというか印象的だったのは「光の毛布」。主人公は建築関係の仕事をしている女性で、同棲している彼氏とはすれ違いの時間が増えるばかり。体調が最悪の中でも現場監督の立場では抜けられない。納期もギリギリだし。意識が朦朧としてきて発熱の予感がする。このままでは倒れてしまうと思い、5分だけ寝かせて、と頼み奥のベンチシートで横になるとすぐ記憶がなくなる。どのくらい眠っていたのかわからないけれど、目覚めた時になにかしらあたたかいものに体が包まれていると感じる。


・・・誰かが毛布か何かをかけてくれたのだろうと思い、うっすらと目を開けたとき、わたしは感動のために体がかっと熱くなるのを抑えることができなかった。
天井に取り付けてある店じゅうの照明器具が、一斉にわたしに向けられて点灯されていたのである。わたしが凍えないように、ライトの熱で暖めてくれていたのである。ほかの薄暗い場所では、大工さんたちや職人さんたちが、黙々と自分たちの仕事をしているのだった。・・・


「あんなに贅沢な毛布をわたしは知らない」・・・o(T□T)o


中山可穂さんは気になっていた作家さんだったので、他の作品も読みたくなりました。あとこの話を読んで思い出したことがあります。

小さい頃、私は2歳上の兄によくくっついて遊んでいたのですが、ある日、兄の友人数人と田んぼにカエルのタマゴやらおたまじゃくしを採りにいきました。雨が激しくなってきた時に、みんなが自分の傘を重ねてドーム形(テントみたいな感じ)にして、その中に私を入れてくれたのです。自分たちはぬれながら田んぼに入っていましたが(;´д`) ずっと忘れていたけれどその事を思い出して、うるるんρ(・・、)
となったワタクシなのでした。



rohengram799 at 10:16コメント(2) 
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