佐藤春夫

2021年09月18日

鹿火雲便りNo.12:時の雨に秋の女

台風14号の影響は全くなかったという感じの我が家周辺、皆さまのところは大丈夫でしたか?


「時雨心地(しぐれごこち)」という言葉を知りました。涙が出そうな時の気持ちを伝える言葉だそうです。涙を流すことは「時雨れる(しぐれる)」というらしい。間違えて「時化る(しける)」と言ったら大変な状況ですな(^o^;)


コチラは佐藤春夫の『秋の女よ』という詩です。過去に別れた女性の面影を思い出しておセンチになっているのでしょうか? それとも妄想……? ( ̄~ ̄;)



秋の女よ


泣き濡れて、秋の女(おみな)よ
わが幻のなかに来る
泣き濡れた秋の女を
時雨だと わたしは思ふ、

泣き濡れて 秋の女よ
汝(なれ)は古城の道に去る
頸(うなじ)に柳葉がちりかゝる
枯れた蓮(はちす)を見もしない、

泣き濡れて 秋の女よ
汝があゆみは 一歩一歩
愛する者から遠ざかる
泣き濡れて 泣き濡れて

泣き濡れて 秋の女よ
わが幻のなかに去る
泣き濡れた秋の女を
時雨だとわたしは思う

一しきり わたしを泣かせ
またなぐさめて 秋の女よ
凄まじく枯れた古城の道を
わが心だと わたしは思ふ



rohengram799 at 17:00コメント(0) 

2021年07月19日

細蟹雲便りNo.19:こぼれ松葉

「松葉茶」というものがあるのですね。どくだみ茶とかはスーパーで見かけますが、コレはなかったような気がする。

https://news.nissyoku.co.jp/hyakusai/hgs-62-0023



松葉と聞いて

こぼれ松葉をかき集め乙女のごとき君なりき

という歌があったような……と思い、調べたら佐藤春夫の詩に小椋佳さんが曲をつけて歌っていました。『黄色い涙』(*)というドラマの主題歌だったようです。ドラマは全く記憶にないですわ(;´∀`)



「海辺の恋」


こぼれ松葉をかきあつめ おとめのごとき君なりき

こぼれ松葉に火をはなち わらべのごときわれなりき


おとめとわらべ寄りそひぬ ただたまゆらの火をかこみ

うれしくふたり手をとりぬ かいなきことをただ夢み

入り日の中に立つけぶり ありやなしやとただほのか

海べのこひのはかなさは こぼれ松葉の火なりけむ




親友でもある谷崎潤一郎の奥さん・千代を思っての詩だとか。谷崎が奥さんを譲ったとかありましたね。

http://blog2.hix05.com/2013/02/post-304.html



「こぼれ松葉」というお菓子もありました。ポリポリ食べたい♪

https://ameblo.jp/maki-kyoto/entry-12056679511.html



(*)
http://ichikawa.nkac.or.jp/script/television/11812/






rohengram799 at 18:15コメント(4) 

2021年01月16日

初空雲便りNo.14:煙草正月

最近はタバコのポイ捨ても見かけなくなりましたが、買い物帰りに開封されたタバコが一箱(ソフトパッケージですが)道端に落ちていました。気がつかないうちに落としたんでしょうか。今はタバコもお高いのに。コレを機会に禁煙🚭するかしら?


図書館の本がタバコ臭い!というつぶやきを読みました。私はほとんど図書館を利用しないのだけれど(借りた本を汚しそうでコワい)そういうことがあるんですね。古本クサイなら経験あるけど(^o^;) 消臭方法の記事もありました。

https://kaitorisu.jp/tabako_shoushuu/



煙草つながりで……佐藤春夫の随筆に『晶子さんの煙草正月』があります。青空文庫で見つけました。晶子さんは与謝野晶子のことだと思われます。



『晶子さんの煙草正月』 佐藤春夫


 わたくしは直接には奥様とお呼びしてかげでは晶子さんと呼び慣はした。生田長江先生の御夫妻が晶子さん晶子さんと仰言るのに慣れた為であつたらう。ともかく奥様とか、晶子さんとか呼んで、晶子先生と呼んだ事は無かつたからここでも晶子さんと呼ぶ。
 晶子さんは我々に対しては同門の一人として先生と呼ぶ事はお許しにならなかつた。寛先生に対する御遠慮であつた。現に同門の一人T・Nが晶子先生と呼んだのに対して
「わたしはあなたの先生ではありません、あなたは主人の門人だからわたしはあなたとは同門といふだけです。」
 とはつきり仰言つたのをわたくしは聞いてゐた。わたくしが、晶子さんにはじめてお目にかかつたのは十九才の春、その後が新詩社の門を頻々と敲いた頃だから、わたしの二十才前後の六七年、十五年上の晶子さんが三十五才前後の頃がわたくしのよく存じ上げてゐる頃で、寛先生が仏蘭西にお出かけになつた頃に当る。
 わたくしの「都会の憂鬱」時代で、住居も先生の下六番町(?)のお邸に近かつた。
 お留守宅に年賀に伺ふと晶子さんはすぐわたくしと知つて座敷の縁の奥にあるはなれ座敷のやうな四畳半のお書斎からお顔を出してこちらへとわたくしを招じたので行つてみると、お机の上にはさまざまな舶来煙草を並べたのをわたくしに示しながら
「暮にある方が贈つてくれたのを、今所在なさに箱から一本づつ出して吹かしてみたり、箱を見くらべたりして遊んでゐたところです。」
 と笑ひながら、わたくしにどれを欲しいかと問はれたものであつた。
春の雨障子あくればわが部屋の煙草のけむりうちまぢるかな
 といふやうなお作があつたのも、その頃ではなかつたかと思ふが、この歌を思ひ出すと必ずあの煙草と遊んでゐたお正月の晶子さんが思ひ出される。
 それとは何の関係も無いが、晶子さんが、お子さん方を叱りたしなめる折には必ずただ一言『下品』またはそれを重ねて『下品、下品』と仰言つたものである。品格の高下が与謝野家の庭訓であつた。善悪を説かないで品格の高下を教へたのも芸術家の家庭のたしなみらしいと今にしてなつかしくゆかしく思ひ当る。





煙草の話よりも晶子が子どもたちを叱る時の「下品、下品」というところがとても印象に残りました。(イニシャルの人物が誰かも気になるけれど。)柴門ふみさんの『小早川信木の恋』に


選択に迷ったら行動の基準は 人として美しい かどうかだけよ


というセリフがあったなぁ、と……それを思い出しました。私は見たことがないけれどドラマ化されていたようで……柴門さんの漫画は映像化されたものが多いなぁ。



*****


もう桜の開花予想が話題になっていますね。受験生の皆さんも「サクラサク🌸 」でありますように(*゚▽゚)ノ




rohengram799 at 07:20コメント(4) 

2019年10月29日

紅樹雲便りNo.27:「の」の字といえば…

「の」の字を書く、というとお見合いの席で、照れ隠しに畳にのの字、のの字……を連想しますが(古い?)佐藤春夫の短い話はなかなか平仮名を覚えられないうたちゃんの話。


【うたちゃんは、三人兄弟の末で、来年からは幼稚ようち園へ行こうというのですが、早くから、自分ではお姉ねえちゃん気どりで「えいちゃん」「えいちゃん」と、自分をよんでいます。「えいちゃん」とは、ねえちゃんのかたことなのです。】


さぁ、こんなうたちゃんは平仮名をちゃんと覚えられるでしょうか? 気になる方はこちらで全文をお読み下さいませ。


https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/58565_62879.html



「むの字には◯がありますその◯をのぞくと見えるえんどう畑」……この坪内稔典さんの短歌は、うたちゃんを連想させる(*´∀`)♪




さてさて……昨晩のこと。ダンナさんがくまモンのポーチを見て、くまモンの横にある花を「ハイビスカス🌺」と言ったので、ビックリしました………あれは「椿」でしょ、熊本だから「肥後椿」! うたちゃんくらいの小さい子どもが間違えるなら可愛らしくてふふっ!となりますが、オッサンでは……(ーー;)

http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/sizen/hana98/htubaki.html



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rohengram799 at 00:00コメント(2) 

2017年11月13日

霜見雲便りNo.12:さんま

11月8日読売新聞 「こどもの詩」に秋刀魚の詩が載っていました。



『秋刀魚』



今年もやってきた
あいつが
脂がのってて うまいんだ
毎年ご苦労さま
よく来たな
秋刀魚


(新松戸南中1年 ・阿部 鼓太郎さん)



旬のものってその時期にあって当たり前みたいに感じますが、毎年必ずみんなが満足するほど大漁だったり豊作だったりするわけではないのですよね。



さて、秋刀魚といえばやはり佐藤春夫の『秋刀魚の歌』ですね。現代文風に訳したものが面白かったのでお読み下さい。だいたい一部しか紹介されませんが、全部読むと、なんとゆーかな作品ですね。彼の人生もですが(;´д`)



https://plaza.rakuten.co.jp/createrj/diary/200911020004/




今週はとても冷え込むとか・・・皆さま、お身体に気をつけて下さいませ(*・ω・)ノ




rohengram799 at 09:28コメント(8) 
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