冷夏

2019年07月05日

桐月雲便りNo.4: 柵

今年の夏は涼しくなるとテレビで言っていましたが、冷夏じゃないよねぇ?と思ってしまいました。地球のあちこちで、いろんな自然災害が起こっています。宅地開発やら人間のやってきたことが遠因にあるのだろうけれど……被害が拡大しないように祈るばかりです。こういう気持ちってバカにならないと思うので。



さてさて……「移民」という言葉、自分のまわりにはそういう立場の人も係わっている人もいないのですが、この本は読んでみたいなと思いました。


6歳で「移民」になった少女が15年かけて書き上げた半生記〜『ふるさとって呼んでもいいですか』ができるまで|大月書店 @otsukishoten|note(ノート) https://note.mu/otsukishoten/n/nbaf388accd5f




川崎洋さんも好きな詩人のひとりですが、この詩は初めて知りました。柵っていったい何ですか、この言葉を繰り返している人たちがたくさんいるのでしょう。





「こちら側と向こう側」 川崎 洋


柵っていったい何ですか
柵のこちら側と向こう側だなんて
ああ可笑しい
棒杭の一本一本に
どんな意味があるんですか
並べて土に打ち込めばいいと思ってる
そうすりや
つながったような感じがするんですか
どうかしてやしませんか
何かのおまじないですか
柵って何ですか
柵のこちら側と向こう側だなんて
元来すうっと歩いていけばそれでいいのに
どうってこともないのに
柵だなんて
そればかりじゃない
柵のこちら側では喜びが
向こう側では悲しみだなんて
すうっと歩いていけば
ただそれだけの話だったのに
柵があって
向こう側へ行けば殺されてしまう
なんて
柵ってなんですか
こちら側から向こう側へ行けないなんて
そこの所でこちら側へ廻れ右
向こう側も
こちらを向いて歩いてきて
そこの所で
くるりと向こうを向く
しょうがないなあなんていいながら
柵ってなんですか
草や木が生えているのっぺらの大地に
そいつがあって それで
こっち側と向こう側
だなんて
棒杭が並んでいて
それに針金が絡まっていて
同じ位無造作に
死体が絡まっていて
向こう側とこっち側
向こうで
出ていけ

こっちでは
やあいらっしゃい
だなんて
柵っていったい何ですか
柵のこちら側と向こう側だなんて




rohengram799 at 08:40コメント(2) 
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