2017年04月18日

菫青雲便りNo.17:虫けら様

読売新聞の日曜版(4/16)に正やんの『海岸通』の歌詞が・・・1975年、ああ、もうそんな昔なのかぁ~としみじみしてしまいました。



さてさて、ちくま文庫には漫画文庫みたいなのもあり、今回の記事タイトル『虫けら様』も漫画です。表紙がかわいくて本屋さんに行くたびに気になっていたのですが、思いきって購入しました!虫 が特別好き!というわけではないのですが(^o^;)



内容(「BOOK」データベースより)
細密にしてユーモア溢れるタッチで描かれたアリ、ミツバチ、クモ、セミetc.の世界。奇妙でかわいい昆虫たちの生態が、絵巻物やお伽草子といった日本古来の想像力にのせてのびのびとファンタジックに展開される。小さきものたちへの愛にあふれ、思わず身のまわりに目をとめたくなる昆虫漫画の金字塔にして、虫絵本の分野でも活躍する著者の原点が待望の文庫化。

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文庫サイズなので、大きくないし、老眼なのであまりハッキリクッキリ見えないのがいいのか(笑)いやいや、繊細なペン画で虫の生態とかユーモラスに描かれているので、あの『はらぺこあおむし』より私には目に優しかったです!


虫の漢字(あの虫はこんなに字を書くのかとか)や採集に必要な道具とか、虫の図柄の記念切手や、同じく虫の意匠の刀の鍔(つば)を集めて描いた扉絵があって、記念と鐔は父が集めていたものなので(鍔は高いから少ないですが、カタログとかでよく見ていました)懐かしくなりました。刀の装飾品って繊細で、またうまくデザインされていて、職人さんの美意識や技術に脱帽です。



父は趣味がわかりやすいというか、絵画や陶芸、記念切手やコインとか、子どもでもキレイ!オモシロイ!と思うものを集めていたので、亡くなった後も「こういうの好きだったよなぁ」といろいろ思い出すことが多いのですが、母に関しては何が好きだったのか、私、知らない・・・となってしまうのです。


高校を卒業して実家を離れ、結婚してから子どもが小学生くらいまでは夏休みに帰ったりしていたのですが、親が還暦を過ぎて段々老いていくその時期は、自分もいろんなことで。いっぱいいっぱいになっていて、ぶっちゃけ田舎に帰るお金を捻出するのも(すみません、私の金銭感覚・管理がダメダメでした)新宿まで行くのがキツいというような、何とも言えない自分勝手な理由でありました。それに田舎はどんどん世の中の動きから取り残されていくようで、まわりは寂れる一方で、帰って何をするんだ?みたいな気持ちもありました。特に誰に会いたい、というのもなかったし(友だちがいない~!)もともと近所付き合いとかウザいと思っていた子どもだったので、よけいに。


両親が80歳近くなってからは、会話が噛み合わない(言葉がなかなか出てこない)ことが多くなって、まだまだテンポよく話ができたあの時に、いろんなことをきいたりしたらよかったなぁ・・・と今は思います。



毎日の何気ない出来事の中に、田舎でのことを思い出します。思い出すたびに親は若返り、自分は子どもに戻っていくような気がします。 皆さん、親孝行は思い立った時がチャンスです~今のうちにたくさん話してたくさん出掛けましょう!



春の嵐になっています。どうぞお気をつけ下さいませ。




rohengram799 at 09:06|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2016年08月09日

乗雲便りNo.9:ひまわり

『離れ折紙』(黒川博行)を読んでいます。カバーが黒川雅子さんという方が描いた「いにしえを舞う 京都嶋原振袖太夫」でとても華やか! 表紙とタイトル買いですね(笑) 作者は、芸大卒業、高校の元美術教師という経歴を持っています。


ガラス工芸、日本刀、浮世絵などの美術品を題材とした美術ミステリー6編。連作なのかと思いましたが、そういうわけでもなく……京都にあるという架空の洛鷹美術館の学芸員である澤井、館長で澤井と同じマンションに住む河嶋などの人物は、重なって登場する場合があります。 澤井は美術取引で小金を儲けようとしていつも失敗するという……欲を出しすぎたらダメですね(^o^;) 最初は『ギャラリーフェイク』のフジタみたいな感じかと思ったら違いました。(サバ雲便りNo.3:心・美眼)


パート・ド・ヴェール(ガラスのやきもの)とかはじめて知りましたし、タイトルの「離れ折紙」は刀剣鑑定の家系である本阿弥家が極めをした鑑定書が、本来セットになっているべき刀剣と離れてしまったことを言います。持ち主が死んで遺族が折紙のことなど知らずに刀だけ売ってしまったとか。刀については父がすきだったので、多少は理解出来ましたが、全く知らない人には鑑定の仕方とかどこのことを指しているのか、丁寧に書かれていると思いましたが、わからない部分が多いかも。父を思い出す作品でしたが、キツネとタヌキの化かし合いみたいで、ああ、ウチのお父さんもお金をムダにしてたに違いない(ーー;)という気持ちになりましたわ。




『ひまわりはあなたに渡す長崎忌』(満明寺鷹さん)


山梨の北杜市明野は、南アルプス、八ヶ岳などに囲まれ、1年を通じて日照時間が全国一と言われていて、広大なひまわり畑が有名です。供花にはハデすぎるかもしれませんが、空の上から黄色はよく見えるでしょう。花たちもまた空を見上げて咲いています。


古くて美しいものが長く人々に愛されるように、いつまでも亡き人々に想いをよせて、おだやかで美しい年月を次世代に受け継ぐことができますように。



追記:黒川雅子さんは黒川博行さんの奥さまでした! 舞妓さんとかたくさん描かれているので、花柳界では有名な画家のようです。
《黒川雅子のデッサン  BLOG版》 
http://masakuro.exblog.jp/





rohengram799 at 12:20|PermalinkComments(16)