反魂香

2012年07月12日

あかね雲便りNo.88:異邦人~ある日どこかで

九州は大雨とか…こちらは風は強いですが(早速ビニール傘が壊れました!!)雨は降ったりやんだりです。皆さま、どうぞお気をつけ下さいまし!!


昨日は『異邦人-fusion』(西澤保彦)を読みました。薄い本なのに読みごたえはあったな~と私は感じました。そしていろいろ考えてしまいました。

23年前にタイムスリップした主人公の影二。それは父親が殺されることになる数日前。父が死んでしまったことにより、実家の家業を継ぐため結婚することになった姉。姉は女性しか愛せない人だったのに…そんな姉のためにもなんとかしたいと奮闘する主人公ですが、40歳になってもスローテンポなまま~もっと焦るだろ、普通!!な場面でも「うーん」て考え込んじゃったりして…まぁそこがまたこの物語には良いのかもしれないのですが(((^^;)

父の遺体が発見された砂浜には、引きずられた跡があるのに、犯人の足跡がない。ナンデだ!?最後まで犯人もトリックも分からなかったワタクシですが…ラストシーンは悪くないなぁ、と思いました。

早い段階で明かされますが、彼は養子なんですよね。だから本当は従姉の「姉」に対しての複雑な想いがある…推理小説のような恋愛小説のようなタイムトラベルのような…不思議な作品。

もし自分が過去に戻れるなら…違う時間軸が本当に存在するなら…そんなことを思いながら、朝刊を開いたらこんな句がありました。

『人形に「もうすぐ地震をはるよ」と繰り返す子のひとり遊びは』

作者の大口玲子(りょうこ)は昨年の震災後、息子さんと仙台から宮崎へ移住されたそうです。ダンナさまは仙台にいらっしゃるようですが。

お人形さんに「大丈夫だからね」「怖くないからね」「もう地震はこないよ」…そう語りかけるひとりぼっちの女の子の姿がうかんできます。この子のそばにいて「大丈夫だからね」とやさしい言葉で力強く抱きしめてくれた大人は、子どもたちのためにふるさとのために、被災した町を動き回っているに違いない。自分にかけられた言葉を人形に伝えることによりまた自分を慰め励ましているのでしょうか…せつない。

『反魂香』という焚くとその煙の中に死者が現れるというお香の話があるそうですが、手に入れることが出来るなら……そう願う人の数はどれほどになるでしょう。違う世界で、たとえ親子になれなくても笑顔を浮かべた姿を見ることが出来るならどんなにしあわせか…。

『魔法少女まどか☆マギカ』のまどかを一心に想い、救いたいと願い闘う、ほむほむの姿がうかんできます。昔読んだ本に「すでに如来になる資格があるのに下界にどうしても救いたい人がいるから何度でも生まれ変わる…その人のことを菩薩というんだ」という文章がありました。本当かどうかは別にして、弥勒菩薩のお顔を見ると、そうかもしれない…とそんな気持ちになる私であります。



rohengram799 at 14:14コメント(9) 
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