地貌季語

2019年04月12日

春愁雲便りNo.11:蜥蜴と桜隠し

「目の端に涙乾びし蜥蜴かな 」(新家月子)


海亀が涙を流しながら産卵する場面とかはよくテレビで見たりするけれど、他の生き物も涙することはあるんじゃないか、と思わせてくれる一句。それに気づく人は少ないし、気づいた時にはすでに涙は乾いてしまっている。人間も誰かが悲しんでいるその時に気づくことがなく、それを乗り越えようとしている時期になって「もしかしたら…」とその辛さを感じることがあるのかもしれない。その姿をただ見ていることしか出来ないかもしれないけれど、そういう気持ちって静かにそよ風みたいに相手に届くんじゃないかなぁ、と思うワタクシです。


爬虫類とか両生類とかのそんなのは「涙じゃなくてただの生理現象、条件反射的なもの」と言われたらそれまでだけど(まぁそれが本当なんでしょう)いろんなものに心を寄せ、いろんなことを考えて自分の体験に置き換えてしまうのが人間ではないかと。(発想の飛躍はおやぢの特権!)



♪涙にならない悲しみがあることを 知ったのは ついこの頃……


百恵ちゃんの歌声が脳内に流れてきたりして。

https://sp.uta-net.com/movie/4304/



春はおかしな人間も増えますが、粋なものにもたくさん出会えて、誰でも(妄想)詩人になれるような気がしますわ、オホホ(^^;)(;^^)




「あの声で蜥蜴食らうか時鳥(あのこえでとかげくらうかほととぎす)」


江戸時代の俳人・榎本基角(えのもときかく)の句。あの美しい声で鳴く時鳥が、ほかの鳥も食わない蜥蜴を食うなんて、とても信じられないことである。美人が見かけによらず気性が激しかったり、乱暴な言動をしたりする場合に用いる言葉だそうな。ふむ、美人はみんなおしとやか幻想は昔からあるワケですなぁ。しかし、こんな表現もあったのか!


♪ああ あの声で あの顔で〜


「暁に祈る」のワンフレーズを思い出した……ワタクシ、 昭和ヒト桁生まれではありませんぞ!

https://sp.uta-net.com/movie/43560/





さてさて………この前の雪に加え、テレビ番組『プレバト』の俳句コーナーで「桜隠し」という季語が注目されているようですね。


この言葉は『越後方言考』によると

旧暦3月に降る雪(説明) こヽらの人々は風流心に富んで二三月から五月迄の雪に皆こんな詩的の名をつけてゐる(分布)他に通ずるかどうか一部だけらしい。



東海地方の方言という話も聞きました。また朝日新聞 東京版( 93.4.2 夕 8面)にも

「旧暦三月の雪を指す新潟県の方言に「サクラガクシ(桜隠し)がある。旧暦四月の雪は「カエロメガクシ(蛙目隠し)」という。


とあったそうで(前にも書いた倉島厚さんの本からの引用ではないかと)積雪の多い地域限定の「地貌季語」が情報網により全国区になったのかな、と思います。

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b263716.html



しかし、旧暦四月にまだ雪なんて……この言葉が残っているということは、そんなマヂですかヾ(゚д゚ )三( ゚д゚)ノ"? なことがあったんでしょうね。昔はたしかに雪の日が多くて四季がはっきりしていました。



地球は温暖化ではなく緩やかな氷河期に入っている、なんて話もありましたが………とりあえずは今日1日を無事に穏やかに過ごしたいものです。



皆さま「花金」ですよ〜! 楽しくお過ごし下さいませヾ(*゚ω゚)ノ






rohengram799 at 09:30コメント(2) 
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