声のおまもりください

2012年12月18日

サバ雲便りNo.50:声のお守り

♪声のおまもりください~恋のはじまり せつない……この歌、懐かしいですね~今はポケベルなんて使わないですが…って話題じゃありません(((^^;)BEGINも沖縄ですが、沖縄の詩人を検索している時に『八月十五日の夜会』(蓮見圭一)という小説を知りました。


主人公は大学生の東江(あがりえ)秀二。彼の祖父は沖縄出身で沖縄戦の生き残り。「自分は沖縄の山の中で死んでいたはずの人間だ、生き延びたせいで見なくていいものをたくさん見た」と生前語っていました。亡くなった祖父の散骨のために沖縄を訪れ、そこで手にしたのは120分の古いカセットテープ4本。長い時を越えて語られる、あの戦争時、沖縄本島以外であった悲惨で凄惨な出来事…私だったら夜中にひとりでこの内容は聴けないと思いました。方言は異国の言葉と同じ…「ナニ言ってるかワカンナ~イ」と今なら簡単に言えそうですが、子どもたちにも(いや子どもだから余計に)スパイ疑惑が向けられたり…。


ざわわ…ざわわ…ざわわ……『さとうきび畑』が戦争を歌ったものだとは知らずにいた彼のような人は多いのでしょうね。
寒い季節ですが、短い日数でしたが滞在した沖縄で浴びた「夏の日射し」、白い砂浜、青い海、独特の形のお墓、dangerの看板、夕暮れ、米軍のジープなどが思い出されました。


祖父の戦友が孫娘とお見舞いに来てくれた時に、こんな会話がありました。「うちの祖父がいなければ孫は生まれて来なかったという話だよ。あれは君のことを言っていたんだろう?あの話にはぐっときた」彼女もこう返事をします。「あれには私もびっくりしました。色々なことを考えました。たくさんのことが繋がって、その結果、いまの自分がいるのだなって」「僕もそう思った。そんなふうに考えたことは一度もなかった。遠い昔に戦争があって負けて帰ってきただけだと思っていた。でもそれだけじゃなかったんだね」


蓮見さんの本は亡き児玉清氏が絶賛したという『水曜の朝、午前三時』を読んだことがありますが、こちらは死を前にした中年の女性が娘に自分の若い頃の恋をカセットテープに録音して語るというもの。大阪万博のコンパニオンとして活躍した彼女の人生にも戦争の影はありました。ちょっと不思議な感覚の話でした。


2つに共通するのは「文章」ではなく「声」での告白(でいいのかな?)でしょうか…田中好子さんの葬儀でのメッセージを思い出してちょっとお鼻がツーン!になってきました。父はたおれてから話せなくなってしまったので、母が「話が出来ないのがつまらない(寂しい)」とよく言っていました。ビデオテープもありますが、母はそういう操作は苦手…歌やらしゃべりの入ったテープがどこかにあったらなぁ…。


テープやラジカセ、今は持っている人も聞く人も少ないのでしょうが、ウチのダンナは未だに使用中~中年向けの簡単操作のヤツを購入(笑)昔、録音しまくった松山千春やさだまさしなどを聞いています。子どもが小さい時に大塚博堂さんの曲が入ったお気に入りカセットのテープをべーっ!!と引き出されてしまい…泣いておりました(-_-;)





rohengram799 at 12:20コメント(13) 
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