夏しぐれ

2014年08月23日

遊雲便りNo.13:夏しぐれ~銀の雨

昨晩、きつねうどんを食べながら(笑)『夏しぐれ』を読み終わりました。どの作品もよかったです!

『夏しぐれ』という言葉ですが、夏に降ったり止んだり時雨のような降り方をする雨の事を言います。「しぐれ」だけでは冬の季語なんですが「桜しぐれ」とか「山茶花しぐれ」とか……「月しぐれ」は月明かりの中を雨脚を白くしながら通り過ぎるしぐれ。こんな美しい句もありました。

『月夜しぐれ銀婚の銀降るように』(佐藤鬼房)

松山千春さんの名曲『銀の雨』には♪せめて貴方のさびしさ少し わかってあげればよかったのに 貴方がくれた思い出だけが ひとつふたつ 銀の雨の中……という歌詞があり、お互いに想いあっていたなにうまくいかなかったんだなぁって西加奈子さんの『しずく』を思い出してしまいましたが、俳句は静かに同じ時間を歩まれた天皇皇后両陛下のお姿がみえるような……。


ところで時雨煮(しぐれに)ってありますが、生姜を加えた佃煮の一種なんですね。私はしっとりほぐれるような煮方をしたものを言うのかと思っていました。ああ、恥ずかしい!「志ぐれ煮」と表記されることもあります。もとは桑名の名産として有名になった「時雨蛤(しぐれはまぐり)」のことで、これは芭蕉の高弟である江戸中期の俳人「各務支考(かがみしこう)」が名付けたと言われています。語源としては「さまざまな風味が口の中を通り過ぎることを時雨が一時的に降る様子に見立てたことから」「ハマグリの旬が時雨の降る時期と重なることから」「短時間で仕上げる調理法が時雨に似ていることから」などがあるそうです。

『夏しぐれ後ろ姿のステキなあなた(σ≧▽≦)σ』(恵雲)

……種田山頭火の『うしろすがたのしぐれてゆくか』(全部「かな」で漢字はない)を思い出したら、エメロンシャンプーのコマーシャルとコラボ(?)してしまった……旅から旅への漂泊の人・山頭火は「しぐれ煮」も食べたりしたかしら? 彼の句では『うどん供へて、母よ、わたくしもいただきまする』も好きです。「しぐれ」つながりで、今日からは葉室麟さんの老境を迎えた与謝蕪村、最後の恋の行く末を描いた『恋しぐれ』を読む予定です。


こちらも雨が降り始めました。広島の土砂災害の被害者・行方不明者は増えるばかり……子どもさんの名前を呼ぶ悲痛な母親の声を流すテレビ局って……きちんと悲しみに向き合うこともなく葬儀をしなくてはならないご家族の気持ちを思うと、むやみやたらにインタビューするのはやめてほしいです。


どうぞ穏やかなよい週末をお過ごし下さいますように……いつもありがとうございます。






rohengram799 at 13:14コメント(16) 

2014年08月22日

遊雲便りNo.12:月明かりの二十六侍

今日もむし暑いです。天気予報では「雷雨があります」と連日言っていますが、オオカミ少年の戯れ言のように雨は降りません……西日本の雨が移せるなら、半分でも降ってほしいと思ってしまいます。被害にあわれた皆さま、お見舞い申し上げます。行方不明の方々が早く見つかりますように。


さてさて……今日は『夏しぐれ』という時代小説アンソロジーを読んでいます。最初は平岩弓枝さんの『二十六夜待の殺人』、ワタクシには「待」が「侍」に見えて荒野の素浪人26人が深夜に大立ち回りをするのかと考えてしまいました(;´д`)

この「二十六夜待」ですが旧暦の1月と7月の26日に行われる夜月待ちの行事のことだそうで、夜半すぎに出る月はその光が三つに分かれ、阿弥陀・観音・勢至(せいし)の三尊の姿が見え、その月は見るものに幸せをもたらすとか。江戸時代には広く二十六夜待が行われ、海を臨む高台で月の出を待ち徹夜したそうです。二十六夜だけでなく月待塔って全国にあるみたいですね。今みたいにネオンがギラギラ、街灯もピカピカの時代ではないので「月の光」は太陽以上に尊くありがたいものだったのかも。浮世絵にもこの行事をテーマにした作品があるみたいですし、山梨には「二十六夜山」がありました!!

http://www5d.biglobe.ne.jp/~sak/dousojin/402.htm

http://www.kabuki-za.com/syoku/2/no89.html

http://www.kei-zu.com/qtvr_cubic/nijuurokuya/_flash/nijuurokuya.html



今年は8月22日未明(辞書では「午前3時~日の出前」を指す)がその二十六夜待の日だったようです。昨日は『一本うどん』というやはり時代小説を読んでいて「うどん食べたい!お団子食べたい!」で終わってしまいました……すぐにこのアンソロジーを読んでいたら、自分も風流人になれていたかもしれないのに………残念( ´△`)


秋にはお月見がありますが、深川江戸資料館によると、月見団子は直径6~10センチとかなり巨大(@ ̄□ ̄@;)!! 団子ではなくお饅頭ですよね……! 通常は12個、閏年は13個用意するらしいです………ここでも月に対しての気持ちの大きさが表れているような……素朴で素直! 月を愛でる日本人、やっぱりいいなぁ(´ω`)


「しぐれ」についてもちょっと調べものをしたのですが、この話はまた後日。まだまだ暑い日が続きます。皆さま、どうぞお身体に気をつけて、ムリなさらないようにして下さいね。






rohengram799 at 16:30コメント(6) 
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