女坂

2017年04月14日

菫青雲便りNo13:女坂

かなり前に風呂読用に買っておいた『女坂』(円地文子)、お風呂に入ると読む前に寝てしまって・・・いつまでも読み終わらなかったのですが、めでたく読了しました!


地方の高級官吏の妻、倫(とも)が、夫の新しい妾を探しに上京するところから物語は始まります。もう最初からなんなんだ( ̄□ ̄;)!!って感じです。そして実際に娘さんを連れて帰るのだからスゴい! 芸者にさせるよりは・・・と子どもを託し大金を得て借金を返し生活を立て直す親たち。冷静を装いながらも、心中穏やかなわけはなく・・・それでも離縁とか考えず、おっさんを愛しているというのがスゴすぎる。凛々しく、美しく、たくましく・・・妻妾同居(それもひとりではない)息子の嫁とも関係するような男なのに・・・。他の女性たちもそれぞれの複雑な心境は描かれていても、男を恨むという雰囲気はなくて・・・そんな風に親からも周りからも教えられてきたというか。文章も美しいです。


娘も嫁ぎ、たくさんの孫ができ、育ち、その分、自分の身体は老いていく。倫が雪の坂道を上りながら心の中で「小さな幸福、つつましい調和・・・結局人間が力限り根限り、呼び、狂い、泣きわめいて求めるものはこれ以上の何ものであろうか。」と叫ぶ場面がかなしい。そして「葬式は無用、死体は海の中に捨ててくれ」との最期の叫びのような願いも「そんな莫迦な真似はさせない。この邸から立派に葬式を出す。そう言ってくれ」と・・・「家」に囚われたままの倫の人生。


「明治の女」とひとくくりには出来ないし、愛情深いところもたくさん描かれていたので、あんな旦那よりずっと若いのだし、長生きして少しでも「しあわせ」を感じて欲しかったなぁと、歯がゆい気持ちと切ない気持ちと、読後感は複雑でありました。
 



文中に倫の母親も唱えていた「観無量寿経」が出てきて、よくもとは仏教用語なんです!というのがあ
るので「感無量(かんむりょう)」も案外ここから?と思ったのですが、違いましたわ。お経については話がちょっと長いので、興味がありましたら検索して下さいませ。また「気性」ではなく「気象」とあり、版数が多いので誤植ではないよね、と調べてみたら「進取の気象(しんしゅのきしょう)」なる慣用句(?)がありました。意味は「従来の習わしにとらわれることなく、積極的に新しい物事へ取り組んでいこうという気質や性格を指す言い回し」で、この場合の「気象」は「気性」と同じく、性格や気立てのことだそうです。「お天気やさん」という言葉もあるので、納得でありました。


これば小説なのですが、同名の随筆集もあるようです。

http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/20111005/1317740451





熊本を中心としたあの地震から1年、Kindleに地震関連の古書35冊が配信されているようですが『熊本明治震災日記』は現代語訳で今年初めに発売されたようです。過去の出来事から防災・減災を学ばねばいけませんね。


熊本市役所サイトから
現代語訳版「熊本明治震災日記」は、A4判252ページで、1部1000円。熊本市役所地下売店で販売。郵送による販売の取り次ぎは、市政情報プラザまで(TEL096-328-2059)



rohengram799 at 15:56|PermalinkComments(2)TrackBack(0)
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