オタ息子が買ってくれた井上荒野さんの『ベーコン』は全編に料理が絡んだ短編集です。一番最初は「ほうとう」でした(笑) なんていうのでしょう~登場人物みんなが相手に深く立ち入らないようにしている風に見せて、実は一番近い場所(心理的に)にいるような……今まで読んだことのない、なんとも不思議な感覚の話ばかりでした。


「煮こごり」は日曜日にいつもやって来た愛人が来ないわ、どうしたのかしら、と思っていたら、サファリランドで虎に襲われたというニュースが流れ、その人が待っていた男性だった(°Д°)……という……なぜそこにいたのか、自家用車から降りたのかは不明。謎過ぎるはじまりに、意外な展開……おっさん、他にも愛人がいましたっ! お子さまにはわからないだろうなぁ、というか、実力派の女優さんたちに舞台で演じてもらいたいかも。その場合はセットは限りなくシンプルにして照明なんかでうまく場面転換してほしい(笑)



「トナカイサラミ」も結構好きな作品なんですが、こちらも冒頭からハテナ(・_・?)なものが……デパ地下の老舗の佃煮屋で「えびすめを二百グラム」と言うのです。“えびすめ”ってナニ? あとから海老も注文しているから、エビの佃煮ではないことはたしかなので、エビ&スルメでもなさそうだし、以前調べた“えびすこ”とも関係なさそう……(゜゜;)


検索したらナゾの佃煮の正体は「昆布」の佃煮だとわかりました。昔むかしは、「ひろめ」や「えびすめ」と記述していたようです。「ひろめ」は幅が広い海藻の意味で「えびすめ」は蝦夷地の海藻を意味していたらしい。詳しくは“えびすめ”を販売している小倉屋山本さんのサイトをご覧下さいませ。

http://ogurayayamamoto.co.jp/know/history_kelp/


江戸時代に「こぶやあげこぶ」と声をかけて、揚げ昆布を売る物売りも市中を流して歩いていたという話は興味深いですね~『孤独のグルメ』江戸時代バージョンみたいな時代劇が見てみたくなりました。マンガとかでは結構みかけるんですが。



“えびすめ”を検索していてたどり着いたお店・小倉屋山本さんが『大地の子』や『白い巨塔』などを書いた小説家の山崎豊子さんの実家だと知ってビックリしました( ; ゜Д゜) そして1957年(昭和32年)に生家の昆布屋をモデルに、親子二代の商人を主人公として書いたのが『暖簾(のれん)』で、これで作家デビューしたそうです。
そうなんだ……で、早速買ってきちゃった(*´∀`)♪


新潮文庫なんですが、今年の3月で60刷!! スゴいです! ところでずっと気になっていたのですが「暖簾」という文字はナゼ「暖かい簾(すだれ)」なのか('_'?) もともと暖簾は禅宗の用語で、寒さを防ぐためにかけられた垂れ布を指していたようです。簾のすき間をおおって、暖めることから名付けられたそう。簾本体が発熱効果があるという意味ではなかった……(¨;) 「のんれん(「暖」は唐音で「のん」)」だったのが、転じて「のうれん」となり「のれん」に変化したそうです。



疑問がひとつ解決したし、また長くなってしまったので(^。^;)今日はこれにて失礼いたします。