小春おばさん

2016年03月15日

春雲便りNo.15:あした

今日は『靴の日』だとか……日本の靴文化の中で、主に洋式の靴が履かれるようになったのは江戸時代末期から明治時代の初期の頃。1870年(明治3年)3月15日、東京築地に初めて近代的な靴の工場ができ国内で靴の製造が始まり、それにちなんでの記念日らしいです。築地と聞くと魚市場のイメージなので、オシャレな革靴ゴム長靴がうかんできます!


靴で思い出すのは童謡の『靴がなる』ですね。明るく元気な子どもたちが菜の花バックに行進しているような光景を想像します。反対に、これはどういうシチュエーションなのかと考えてしまうのが『あした』です。


おかあさま 
泣かずにねんね いたしましょう
赤いお船で とうさまの
かえるあしたを 楽しみに


「おかあさま」に「泣かずにねんね いたしましょう」と声をかけているのは、幼い娘か息子か……この歌は、清水かつら(明治31年7月1日〜昭和26年7月4日)作詞、弘田龍太郎(明治25年6月30日〜昭和27年11月17日)作曲で、『少女号』大正9年(1920年)6月号に「新作童謡」として掲載されたそうです。いわゆる“ヨナ抜き短音階(ラシドミファラ)”で作曲されているので、なんとなく暗い……?


「赤い船に乗って父親が笑顔をおみやげにもどってくる」という3番の歌詞があるので、シベリア抑留者の家族を歌ったものでは?という意見もあったようです。でも、つくられた時代が合わない……かつらが2歳の時に弟が亡くなっているそうなので、そのかなしみの中にいる母を励ましていた記憶からの歌詞なのでしょうか?



「励ます」とはまたちょっと違うかもしれませんが、井上陽水さんの『小春おばさん』という歌をご存じでしょうか?


小春おばさんの家は
北風が通りすぎた
小さな田舎町
僕の大好きな
貸本屋のある田舎町


にあります。そして「明日 必ず逢いに行くよ」と続きます。私はちあきなおみさんが歌う『小春おばさん』を聴いたのですが、なんというか「明日 必ず逢いに行くよ」があまりにも切迫感があって、おばさんをひとりにしておけない何かがあるのか?と思ってしまいました。


歌詞だけ読むとほのぼのした雰囲気なのに、メロディがつくとなぜこんなにも息苦しく感じるのでしょう? 北風の吹く季節に「はやくおばさんの家で子猫をひざにのせ」て「いつものおばさんの昔話を聞きたい」のは誰なのか、どんな関係の人なのか、ひとりなのはおばさんなのか、逢いに行く誰かなのか……私の中ではガクランの中学生が必死に北風に逆らい、チャリをこいでいる姿がうかびます。



あした……誰にとっても明るい陽射しが届きますように。






rohengram799 at 16:45コメント(6) 
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