岡野弘彦

2021年03月29日

華節雲便りNo.22:桜 あなたは風

このところの週末は荒れた天気……桜もだいぶ散ってしまいました。


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合唱組曲「風紋」というのがあります。どこで知ったのか忘れてしまったけれど、作詞は岩谷時子さん。「愛の賛歌」の訳詞でもお馴染みですが、こちらもなんとも官能的な……これを思春期の中学生に歌わせるとしたらセクハラに近いような気がしないでもない……(;´д`)


 
第2章「あなたは風」

あなたは風 あなたは来る 暗い海を渡ってくる
あなたは風 あなたは来る 暗い海を渡ってくる
私に逢いたくて 暗い海を渡って来る

お前は美しい 砂丘よ
風よ 早くここまで来て
砂丘よ 愛している 愛している

風よ風よ あなたを迎えるために
私は喉に熱い太陽を吸うの
砂丘よ おまえを抱きしめる夜のために
私は100万本の手を挙げてひた走る

ああ 闇の中で ああ 闇の中で
向かい合う顔の無い二つの顔
風の歯は砂丘の肩を噛み砕く

あなたは風 あなたは来る 暗い海を渡ってくる
あなたは風 あなたは愛 あなたは来るよ


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ほれぼれと桜吹雪の中をゆくさみしき修羅の一人となりて


作者の岡野弘彦さんは戦争を体験されていることもあり、ただ桜を美しいと愛でる気持ちにはなれないのだと思います。

https://tankanokoto.com/2019/03/okano-sakura.html



さまざまのことを思い出す桜かな


松尾芭蕉ではありませんが、季節が巡ったことを一番意識するのが桜かもしれないですね。こちらはお菓子です。

http://blog.livedoor.jp/wagashibuyer/archives/43262118.html


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今週も皆さま、どうぞご安全に ヾ(´ー`)ノ



rohengram799 at 09:10|PermalinkComments(6)

2020年03月19日

花春雲便りNo.22:阿修羅 と うなじ

読売新聞に『時代の証言者』というシリーズがあります。少し前は「情念をうたう 岡野弘彦」さんでした。[岡野さんは歌人。大正13年(1924年)7月7日生まれ。家は代々、神主の家柄 ]

3/7(土)の記事に、「牧水の会」(*)に参加した時のエピソードがありました。


……あるとき大岡さんに、「岡野さん、あんな歌を詠んで、女子学生の多い大学の教壇によく立てるね」と話を切り出されました。僕は短歌で若者たちの愛情の歌というのをよく詠んだほうですが、教壇に立って顔を上げられないような歌はあまり詠んだ記憶がない。ちょっと怪訝な顔をしていたら、馬場(あき子)さんもそばで不思議そうにしていた。/ その歌というのが、〈うなじ清き少女ときたり仰ぐなり阿修羅の若きまなざし〉。「やっぱりちょっとエロチックだよ」と大岡さんは言う。清純な少女と、激しい怒りの表情をした戦いの神です。それにしても詩人というのは多感なものだなあと思いました。……



うなじ清き少女ときたり仰ぐなり阿修羅の若きまなざし


エロチックさを感じるとしたら「うなじ」でしょうか? 阿修羅像を並んで見ているのではなく、彼女の少し後ろの位置から見ていたのかも? 「阿修羅の若きまなざし」は思春期の少年の恋への憧れや未知なる衝動を感じさせるものであり、それを戒めているように思えたのでしょうか? 表面だけなぞれば、阿修羅を見ている若い学生さんふたりのイメージが私にはありましたが、少女と一緒にいるのは年上の男性だった可能性もあるワケで……繊細な詩人の大岡さんとおやぢな私の妄想では何億光年もの差がある気がしますが、仰ぎ見るのが阿修羅像なのがやはりポイントですね。ミロのヴィーナスとかではダメだと思います(笑)




大岡信(おおおか まこと、1931年2月16日 - 2017年4月5日)さんは 都立国際高校の校歌(詩)を書かれていました。
https://mobile.twitter.com/hidekishima/status/849594274954006528/photo/1


馬場あき子さんは昭和3年(1928年)1月28日生まれ。木原敏江さんがよく鬼の漫画を描いていて、その時にお名前を知りました。

https://tankanokoto.com/2019/10/babaakiko.html




(*)若山牧水賞の選考委員を大岡信さん、馬場あき子さんと長くつとめ、「牧水の会」と称して宮崎によく行っていたそうです。
http://www.bokusui.com/



rohengram799 at 00:40|PermalinkComments(4)
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