平山千代子

2019年03月15日

雛月雲便りNo.15:花と…

平山千代子さんの『ハナとタマシヒ』を読みました。「花と魂」なんて美しいのかしら!と思ったら、ハナはハナでもハナミズでした………鼻水は脳ミソが溶け出したもの、という、ああ、なんかそんな話を聞いたような……(-ω-;)と、昔のオッサンたちのヨタ話を思い出す短い話でありました。ホラーでもグロでもなく、ノスタルジ―かしら(笑)

https://www.aozora.gr.jp/cards/001292/files/47162_29952.html




桜の開花予想がニュースでたびたび流れるようになりましたね。星野立子(高浜虚子の二女)の句に

        
「娘泣きゆく花の人出をすれ違ひ」


というのがあって、その情景が浮かび上がってきました。昼間より夜桜のイメージですかね~? 「可愛娘さんを泣かしたのは誰だ!?」と問い詰めたくなりますわ。約束をすっぽかされたというより、自分以外の女の子とにこやかに笑っている姿を見てしまったショーゲキのように思います。まわりの人は花見で浮かれているのに……勝手にドラマが出来上がってしまうのは、やはり「春」だから?ヾ(@゜▽゜@)ノ


「たんぽぽと小声で言ひてみて一人」


こちらの句も好きです。




スキマ時間を利用して読めるショートショート、こちらはKindle版無料で読めました。「花」をテーマにした短いお話。楽しめました。

ショートショートガーデン プチコン受賞作品集 花 >> https://i.bookmeter.com/books/12850425



皆さま、どうぞよい週末を♪(o・ω・)ノ))



rohengram799 at 10:00コメント(0) 

2018年06月27日

芸香雲便りNo.29:赤ちゃん

平山千代子さんという人の作品を青空文庫で読みました。詳しいことがわからないのだけれど、18歳で亡くなってしまったらしい。(1925-12-16~1944-08-02) 短いけれど、少女の生活の一部がノスタルジックに映像としてうかんでくるような・・・そんな文章です。

http://aozora.textlive.net/author_works/1292.html


その中から『赤ちゃん』を・・・新しい命の誕生した時に、みんなこんなことを思うのではないでしょうか?



『赤ちゃん』 平山千代子


 七月十四日、私は丁度西生田にしいくたの勤労奉仕でクタ/\だつたが、とにかくお母様をお見舞することとした。
 病院へ行つて靴を預けようとしたら、意地悪な下足のお婆さんに、
「そんな汚い靴! そこへ置いときな!」と叱られた。四階へ行つて暫らく間ごつき、ヤツと見つけて戸を開けたら、手前の小さな寢台が、モソツと少し動いた。
「おや?」と第六感にピンと来たので戸もしめずにのぞきこんだ。中には赤い小さな人間がねてゐた。成程赤ん坊だ。
「生れたの? エツ! 男?」夢中になつて、しかし、半分男である様にと念じて伺つたのに「女よ」と、お母様はニヤ/\笑つておつしやつた。おや/\三分の一がつかりして、……さて改めてこの小さいけれど生物である赤ちやんを眺めた。
 ヘエー、これでも人間かしら。いやに赤いなあ、猿みたいだ。泣くかどうか試めしてみたくなつたので、頭へ一寸さわつたら顔をしかめた。まだこの世に生を享けてからヤツと十四時間位しかたつてゐないのに、顔をしかめる事を知つてゐるなんて生意気だ。

 赤ちやんの顔を見てゐると、色々な事が次から次へと浮び上つて来る。
 数日前、お友達に、
「今度、家に赤ちやんが生れるのよ」と話したら「え? あなたの御家の犬、牡おすだつたでせう」といふので大笑ひした事を思ひ出し、一人でにや/\笑つてしまつた。
 だけど実際、実に不思議だ。昨日までお母様と同じ人間だつたのが、もう今日は立派に一人前の人間だなんて……。実に妙な気持だ、してみると、私ももとはお母様と同一人物だつたのかな。でもおばあ様とも同じ理由だ。もつと/\さかのぼつて私達の遠い/\祖父とも同じなのかしら。
 けれど、それが、今ではかうして一人前になつて、それぞれの考へを持ち、力を持つて生きてゐる。なんと不思議なことなんだらう。しかも、このふしぎなことが、大昔から今まで、何千年となく続き、自分もその仲間のどこかにぶら下つてゐる。
 私はなにが何んだか分らなくなつて、只、滅茶苦茶に赤ちやんの頭をいぢくつてゐた。
(昭和十六年八月)



rohengram799 at 16:50コメント(4) 
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