朱川湊人

2015年12月10日

色雲便りNo.7:昭和・なごり歌

♪汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる 季節はずれの雪が降ってる……


これは『なごり雪』ですが、今、朱川湊人さんの『かたみ歌』の続編とも言える『なごり歌』を読んでいます。ちょうど私が小学生で、毎日テレビと漫画で家族揃って食事をしていたあの時代……もう懐かしすぎる昭和がある、マンモス団地を舞台にしたちょっとホラーテイストの7つの短編集です。


朱川さんは私と同世代で、生まれは大阪ですが5歳の時に東京に移ってきたそうです。そして住むことになったアパートが、三河島の商店街に面していたそうで……三河島は私が高校を卒業して初めてひとり暮らしをした思い出の場所! 「三河島にはアーケードがなかったので、三ノ輪の商店街まで遠征したりもしました。下町の商店街はごちゃごちゃして迷路のようだったけど、それだけで一つのパッケージ化されたコミュニティで、とても魅力がありました」とインタビューにこたえていた記事を読んで「私も三ノ輪に歩いて行きました!」とひとりコーフン状態になったりして(笑)出逢うべくして出逢った作家さんなのかも……と勝手にご縁を感じています。


本の中には団地で初めての洋式トイレ体験!とか富士塚とかドリフやらコント55号、夏休みのお昼には「あなたの知らない世界」など懐かしいテレビ番組も出てきますが「今日は何の日?」ときかれれば『三億円事件』が起こった日……で、もちろんこの話題も出てきます。


《1968年12月10日午前9時20分頃、東芝府中工場従業か業員のボーナスのための現金約3億円を積んだ日本信託銀行の現金輸送車が、府中刑務所北側の路上で後を追ってきた白バイ警官に止められた。白バイ警官は爆発物らしき物を発見、行員たちが車外へ出て避難すると、運転席に乗りこみそのまま走り去った。このようにして3億円はまんまと奪われてしまったのである。75年12月に時効成立。戦後最大のミステリーとされる。》


白バイ警官のモンタージュ写真があちこちに貼られていましたよね。年末ジャンボのコマーシャルを見るたびに、今の三億円と昔の三億円の価値の大きさの違いを感じます。イヤ、庶民のワタクシには10万だって当たれば大喜びですが、本当にあんなに高額当選したらどうしていいかわからなくなりそうです!


高額当選すると誰にも話していないのに「寄付のお願い電話」がかかってくると言いますよね。新聞を見たら『寄付月間~Giving December~』という文字があって、なんだよ、またこれは……(◎-◎;)


「寄付の受け手側が寄付者に感謝し、また寄付者への報告内容を改善するきっかけとなること、そして多くの人が寄付の大切さと役割について考え、寄付に関心をよせ、行動をするきっかけとなることを目指した月間」で今年から……日本初の取り組みだそうです。民間非営利組織、行政、企業、国際機関の有志32名で構成される寄付月間推進委員会(小宮山宏委員長)が運営していて、「特定の団体、課題を訴求するものではありません」とのこと。


なんだかなぁ……よくわからない。善意によるものをわざわざ○○月間とか名づけての啓蒙運動みたいな感じがイヤですわ。またランドセルプレゼントの話題とか年が明けたら出てきそうですけど……善意という言葉自体がアヤシイ何かに変化していくような気がします。寄付自体を否定はしませんが、なんかこの活動は疑問符がいっぱいです。





rohengram799 at 20:20|この記事のURLComments(12)

2015年12月05日

色雲便りNo.3:息白し…哀愁の男秘書

土曜日の午前中は『王様のブランチ』を見ていることが多いワタクシですが、1週間の瞬間視聴率ランキングコーナーがあり、てそこで気になることが……11月27日「ぴったんこカン・カン」(TBS)は冬の武蔵野へ又吉直樹さん・吉行和子さんと富士真奈美との之俳句ツアー。ロケの最後を締めくくる一句が『息白し 笑声(しょうせい)絶えんこと 永久に』で、ナレーターが「自由律俳句」と言ったんですよね。私の中ではハテ?「息白し」は季語ではないの? 季語があれば自由律とは違うの? でも五・七・五の定型ではないよねとしばしモンモン……調べてみたけどなんか捉え方がいろいろあるようで、まぁいいやに落ち着きました(笑)



「息白し」は冬の季語です。阿部慧月さんの『息白くうれし泪となりしかな』とか、急いで知らせたい出来事があるのかな、やっぱりこの時期だと久々の帰省で大好きな友だちとの再会や遠距離恋愛中の恋人たちか? もう少し経つと志望校に合格したよ!!かな? そして佐山哲郎さんの『その息の白いたましひつぽいかたち』には昔、漫画「恐怖新聞」でよく見たエクトプラズマとかいった、口から白い煙みたいなのが出てる、アレ!を連想しました。“魂っぽい形”を吐き出したのは駅のベンチに座る、疲れたサラリーマンではないかとすぐ思ってしまうのはイケナイかしら( ̄0 ̄;)



「白靴」という季語もありました。白いスケート靴が浮かんだのでこれも冬の季語かと思ったら夏でした(^。^;) 櫂未知子さんの『経験の多さうな白靴だこと』には青春真っ盛り、部活いのち!な男子高校生を思い浮かべるおやぢです!



そしてうひゃー\(゜o゜;)/と思った靴の俳句がコチラです。


『ごきぶりを打ちし靴拭き男秘書』(守屋明俊)


セットで『命令で油虫打つ職にあり』もどうぞ……ちなみに季語は「油虫」(「ごきぶり」とも)で夏です。男秘書というと真っ先に思い浮かぶのが政治家の秘書です。アブラギッシュなおっさんに仕える細身でメガネなイケメン秘書が脳内に……彼がゴキ退治をしているかと思うと、なんというか……昭和の立身出世ドラマが出来上がってしまいます! エクトプラズマを吐いているのは彼かもしれない~頑張れ、男秘書!耐えろ、男秘書! 日本を背負うその日まで!!(^^;)(;^^)



まだ又吉の『火花』は読んでいませんが、昨日は森沢明夫さんの『大事なことほど小声でささやく』を読み終わりました。『癒し屋キリコの約束』よりコチラの方がドラマ向きな気がしました。ちょっと下ネタが目立つので深夜枠がいいかな(笑) スポーツクラブに集うクセのある面々、マッチョでステキなママのいるお店で美味なカクテルを飲みながら人生相談……? 同じ主題でも『かたみ歌』の朱川湊人さんならもっとセンチメンタルに、『いま、会いにゆきます』の市川拓司さんならもっと私は悲しい!的に女々しく書くんだろうなぁ……なんて思いました←読者は好き勝手言いますね、すみません!




rohengram799 at 11:34|この記事のURLComments(10)

2015年03月20日

咲雲便りNo.20:思い出も伝説もセピア色

昨日はダンナが職場で使うパソコンを購入したついでにオマケでついてきたタブレットの設定が終り、ウヒャウヒャしながらアレコレ操作してみました~皆さまのブログも検索して、ケータイ画面との違いにほぉ~となったり画像を大画面で見たり……と喜んでいました。完全にワタクシのものよ!!ではないのが残念ですが、新しい世界が広がった気がします。分割でないYouTubeに感動(笑)
まだまだわからないことばかりですが、文字の打ち込みはケータイの方がずっと使いやすいですね(^。^;)



さてさて……都市伝説と言えば「口避け女」世代の私ですが、朱川湊人さんの『都市伝説セピア』を読み終わりました。朱川さんのはほんのりホラーな人情作品が多いのですが(『いっぺんさん』とか好きです)そんな短編集です。


「昨日公園」はとても切ない作品でした。公園で息子と遊ぶ遠藤は、自分の遠い日の記憶を振り返ります。小学校4年生のある日、彼は不思議な時間のループの中にとりこまれてしまいます。何度も繰り返される夕方の公園での出来事。しかし「昨日」をいくらやり直しても、友達のマチは事故にまきこまれて死んでしまうのです。どうしても友達の命を救えない、救おうとしていることがかえって何度も彼を違う形で死なせることになってしまう……運命を変えられないなら、今の自分の気持ちを相手に伝えておこう、大事な大好きな友だちだって……。そして彼と息子の関係も実は……。


「翔一、バパにはわかるよ。お前がバパのためにどれだけ一生懸命になってくれたか。……バパにだけはわかるんだ」


それはないだろう、これから息子はどうしたらいいんだよ……って読み終わった後悲しくて切なくてたまらなかったです(´;ω;`)


「フクロウ男」は恋人も友人もいないイケてない・佐伯が、ネットから都市伝説を作り出し、それを社会現象にしようと思い立ちます。都市伝説を扱ったサイトに創作した噂話を書き込み、別の人物に成り済ましてリアクションする……こうして男が作った「フクロウ男」の伝説はひとり歩きをし始めます。基本(?)情報にいろんな尾ひれがついて、だんだん広まっていく感じが、ありそうと言うか、今も実際にあるんだろうなぁ…って感じで……佐伯がフクロウ男であることを手紙で友人に告白する形で始まるのですが、ラストはやっぱりえっ?というかう~ん、というか……言いたいけれど、言えないので気になる方は読んで下さい(笑) 最後の「月の石」は救いがあるというとか前向きというかそんな作品です。他は「アイスマン」「死者恋」(この作品も好き)どれも朱川さんらしいです。



この作品の検索をしていたら童謡『さっちゃん』の都市伝説を知りました。10番まで歌詞があり、内容は微妙に違うパターンがいくつかあるけれど、もちろんホラー系…… 出来れば知りたくなかったですわ(~_~;)



皆さまはゾワゾワゾクゾクでなく、キラキラしたステキな出来事に出逢える週末になりますように(*´∀`)♪




rohengram799 at 09:10|この記事のURLComments(8)TrackBack(0)

2014年12月06日

笑雲便りNo.9:『最後のお便り』~読み手の「覚悟」

先月買っておいた日本文藝協会編の『短篇ベストコレクション 現代の小説2013』を読み終わりました。 2014も買ってありますが、2008から出ているみたいなので他のも手に入れたいところです。


15人の作家さんの中で、初めましての方は草上仁さんと平山夢明さん、宮内悠介さん……平山さんはとにかくホラー系でチョ~怖い話しか書かない人だと思い込んでいたので、意外にホッコリした作品でいい意味で拍子抜けでしたわ。朱川湊人さんの『花まんま』という短編集にある「トカビの夜」をちょっと思い出しました。


さて、タイトルにした『最後のお便り』は家族小説をたくさん書いている森浩美さんの作品で、一番最後に収められています。主人公は昔人気だった男性アナウンサーで今は『こころの焚き火』というラジオ番組を担当しています。しかし5年近く続いた番組も今週で打ち切りに…。最後の生放送直前に姉から入院中の母親が危篤の連絡が入ります。放送終了後に駆けつけますが、間に合わず……しかし、なぜ夜中近くに母は病室ではなく廊下で倒れていたのか?


夜遅くからのラジオをガサゴソしながら聞くのは同室の人に悪いからと(個室は寂しいからと四人部屋に)カセットテープに録音してくれるように頼んでいました。しかし、母親はずっと自販機コーナー横のベンチに座り、オンタイムでラジオ放送を聴いていたのです。その日は夕方から急に冷え込んでいました。


番組の最後にはいつもリスナーからのお便りを読む主人公。母親とふたりきりにしてもらった治療室で、まだ温もりの残る耳元に、息子の「最後のお便り」を届けるのです……ρ(・・、)



作品ごとの短い解説が巻末にありますので、興味のある作品だけを読まれるのもよいかと思います。「5分で読める!」とはいきませんが(笑)



昨日は仕事帰りに何冊か本を買ったのですが、その中の一冊のことも少し……ただ、葬儀関係で内容もキツいものがありますのであまり……でも知ってもらいたい、みたいな感じなので、それでも!!……という方はどうぞ次のページへm(__)m



《追記》
この記事で「2230」だった~ゾロ目を祝うつもりが過ぎていたとは……次は「3333」! 『最後のお便り』はまだまだ先の予定なのです。よろしくお願いします(;^_^A




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rohengram799 at 15:52|この記事のURLComments(6)

2011年06月13日

第513号:脳内図書委員!?

朱川湊人さんの『花まんま』『いっぺんさん』を読み終わり、う~ん満足!だったので、今度は少し違う人の作品を…ということで『草祭』なるタイトルにひかれ、文庫本を買いました。


作者は恒川光太郎さん、お初です!!現在は沖縄在住。そして私より…若いっ(~o~)昭和48年生まれ…はぁ~と何故かため息(笑)


『竜が最後に帰る場所』
…どこかで見たタイトルの作者でもあるので、案外この本も書評を読んでいたのかもしれないな、と思いました。


物語は「美奥」という奇妙な土地が舞台で神話や民話の世界に近いかも。読みやすいけど、内容は深い。朱川さんはホラーの要素が多いけど、恒川さんはファンタジーが強いかな?


読み進めていって「ん?」と思ったのが『くさのゆめがたり』(美奥がどうしてできたかみたいな話)のこの文章。


【絹代はいつもやさしかった。いつだったか何故そんなにやさしいのかと問うと、誰かからやさしくされたら、それを十倍にして周囲の人に返さなくてはならない。やさしさは巡っていつか自分に返ってくるものだから。】


私、最近似た文章をどこかで読んだような……そう!朱川さんの『かたみ歌』に収録されている「夏の落とし文」だ!! 弟に“兄ちゃんは、なんでそんなに優しいの?”ときかれてこう言ったんだ…。


【優しくされて嬉しいと思ったら、お前も誰かに優しくしてあげろよ。そしたらいつか、世界中のみんなが優しくなるから。】


今まで本を読んできて、短期間で似た言葉に出逢ったのは、今回がはじめてかも(((・・;)


格言や名言集を好んで読んでいると似た言葉に出逢うけれど、まだまだ新顔(笑)の作家さんだし。恒川さんのは、何冊か手にしていた一冊で、棚に返す可能性も大だったから、不思議なカンジです(((^^;)


こんな時期だから、今まで目にしてきた雑誌や新聞の記事から「脳内図書委員」が厳選してくれたのかもしれない(^-^)v


rohengram799 at 00:23|この記事のURLComments(11)
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