柴田元幸

2016年10月25日

徳雲便りNo.18:言い訳

西川美和さんの小説『永い言い訳』が映画化され公開中ですね。モックンが主演ということで、あちこちの番組で宣伝していましたが、なんか本を読んだ印象と違う、別の話を聞いているような気がしました。だいたいの内容は皆さまもご存知でしょうか?


「津村啓」という作家の本名は「衣笠幸夫」……そう、今日本シリーズで盛り上がっていますが、あの広島の「鉄人」と呼ばれた衣笠さんと同姓同名なんです! 自分の名前が偶然でもなんでも有名人と同じってイヤですよね。いろんな出来事がそれにプラスされて、彼の性格が多少(?)歪んでも仕方ないかと思うか、どうかはまぁ……( ̄~ ̄;)


バス旅行で妻を亡くしたサチオくん、人気作家ゆえにマスコミに騒がれるので、悲しむ夫のふりをする……同行した妻の親友もなくなりました。その夫で、子ども二人の世話に追われいっぱい、いっぱいの陽一くんは、突然のさよならに憤り悲しみ、対象的。ふたりの妻や家庭に対する考え方の違いなど、もっと映画の宣伝でアピールするかと思ったら、モックンのプライベートばかりが取り上げられていたような……。


原作とラストが違うような話は聞きましたが、それは別にいいとして、イマイチ映画を観ようという気にならないですわ。小説を読んだ私のイメージのサチオくんは、昔むかしのテレ朝の2時間ドラマ枠・土曜ワイド劇場で放送されていた『神津恭介の殺人推理シリーズ』の主演俳優・近藤正臣さんだったんですよ~古いなぁ(笑) 別の人で数年前にリメイクされたようですが、マジック(手品)シーンがなかったとか。いや、サチオくんにマジックをやれとは言わないですけど、なんか彼だったんですわ、映像として出てきたのは。余談ですが、明智小五郎はやっぱり天知茂ですね(≧∇≦)



翻訳家の柴田元幸さんが文庫の解説を書いています。やっぱりいいわ~柴田さんの文章……解説が柴田さんだから迷わず買ったのもあります。


《永い言い訳。人は他人を、そして誰よりも自分自身を納得させようとして、自分について言い訳を並べつづける。それが「長い」でなく「永い」のは、その営みが永久に終わらないことを暗示している。それでいいのだ、より誠実な言い訳を目指しつづけるなら、と作品は言ってくれていると???あくまで僕の個人的な印象ですが???思う。》




俳優の平幹二郎さんが亡くなりましたね。私はああいうタイプの俳優さんはあんまり好きではなくて(細川俊之さんは苦手、滝田栄とか加山雄三とかはぶっちゃけキライ……この延長戦上にキムタクや福山雅治がいる……仲代達矢さんや大滝秀治さん、宇野重吉さん、加藤嘉さん、笠知衆さんとか好みです)思い出すのは佐久間良子さんと離婚した時の記者会見。ふたりで揃ってというのも驚きましたが、握手しようとしたのを拒まれた時の彼の表情がなんとも……。


佐久間良子さんのお顔を思い出すと司葉子さんも浮かんできて、なんだか混乱していますが(ヤバいぞ!)「俳優」「女優」という言葉がふさわしい人たちがいなくなったなぁと思います。短期間公演とはいえ、アイドルの学芸会みたいな舞台が増えているのは残念で悲しい(´;ω;`) 



平さんご自身も、こんな形で現世とさよならするとは思わなかっただろうなぁ……。高齢者のひとり暮らしはやはり心配。同居していても留守中に…とか何が起こるかわかりませんが、離れて暮らしている親御さんを心配された方は多いのではないでしょうか。



両親、家族、大切な人たちとのお別れは、避けられないことだとわかっていますが……皆さまがその辛さを経験するその時が、ずっとずっと先の出来事でありますように祈っています。




rohengram799 at 10:36|この記事のURLComments(10)
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