桂望実

2013年05月18日

ヒコーキ雲便りNo.40:ぷりんぷりん物語

NHKの人形劇『プリンプリン物語』懐かしいですなぁ…私はもちろん「火星人」が好きでしたが…って今日はそのプリンセスなお話ではなく、おやつの定番プリンのエピソードが心にしみた一冊『ボーイズ・ビー』(桂望実)のお話であります。私は読んでいないし映画も見ていないのですが『県庁の星』の作者なのですね。


母親を病気で亡くした12歳の隼人はある日、弟が通う絵画教室の近くに仕事場を構える70歳の靴職人、栄造と出会います。このジイさんは大変なヘンクツ野郎なのに真っ赤なアルファロメオを乗り回す!! 母親が亡くなったことを理解できない弟のために頑張るお兄ちゃん、消防士のお父さんはみんなのために頑張っているのだから僕だって……せつなすぎる~お父さんは妻の双子の妹に面倒をみてもらえば「さみしくないだろ?」みたいに安易に考えているところもあって「オヤジ、しっかりしろよ!!」と怒鳴りたくもなる(´д`)。何の共通点もない2人が出会い、とまどいながらもまわりの人たちともふれあい、会話をかわしながら相手を思いやることを学ぶ……お鼻がツーンとなる短編です。以前『夏の庭 The Friends - 』(湯本香樹実)を読みましたが(映画も見ました)いつかこのおじいさんたちとも別れなくてはいけない時が来る……その時までずっと「友だち」でいてね、そう思いました。


弟くんが亡くなったお母さんの病室に学校帰りに立ち寄る場面とかも印象的なのですが、私が一番せつなかったのがお母さんが作ってくれたプリンを再現してみよう!!のエピソードです。じいさんの住むアパートに料理教室を開くというドイツ人女性ワルターさんにレシピをもらい、挑戦してみますが失敗。彼女に作ってもらったけど「お母さんのと違う」……お掃除おばちゃんからスーパーに売っている冷蔵庫で固めるタイプの話をきき、再チャレンジ。それはお母さんのプリンだった。手間なく「ちょちょい」と出来た…でも。


『特別なものだった。美穂が作るプリンは隼人と直也にとって。母さんの手によって魔法がかけられて、目の前に現れるように思っていた。それが僕でも簡単にできるものだった。母さんが特別ではなくなったようで、気落ちした。母さんが薄っぺらになった気がした。僕たちへの愛情も手軽なものだったように思えて、胸が締め付けられていく。』


少年……気落ちしないでくれよ!!手抜き母さんの私が言っても言い訳だろうが、もしかしたらお母さんはすでに具合の悪い時だったかもしれないし、蒸しプリンの作り方とか知らなかったかもしれない。チャレンジしたけどうまくいかなくて、だったら手早く出来て美味しいものを…と探して選んでくれたのかもしれない。キミたちのためにそれを選んでくれたこと、それを作ってくれたこと、お皿にポンッ!とひっくり返してキミたちの前に「どうぞ♪」と置いてくれた時……どんな時だってお母さんはキミたちのことを思って行動していたはずだから。キミたちの笑顔に元気をもらっていたはずだから…頼むよ、少年(T-T)


作者自身の創作エピソードはコチラです。


http://nozomi-katsura.jp/books/boysbe.html





rohengram799 at 14:00コメント(10) 
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