森沢明夫

2015年05月16日

碧雲便りNo.16:「ガイヤ」の祈り

4月の発売日からずっと探していた森沢明夫さんの『ライアの祈り』を今月になりやっと入手し、じっくり読める日を待っていたワタクシでしたが、今日イッキ読みしました~!


青森三部作と言われる『津軽百年食堂』『青森ドロップキッカーズ』の名脇役だった桃子が主役の最終作品です。メガネ販売店の八戸店で店長を務めている彼女は、明るく姉御肌のアラフォー! それまで住んでいた実家のある弘前から転勤を機に八戸に越してきたばかり。既に店の後輩たちから頼られ慕われる存在となっていますが、彼女は離婚経験者。前向きな人生になんだかまだ踏み出せずにいました。


そんなある日、桃子は若い桜に誘い出され、しぶしぶ街コン風地酒パーティに参加。「人数合わせ要員でバツイチ」とおどけて名乗った桃子と気があったのは、40代後半の無精髭の男・クマゴロウこと佐久間五朗。桃子は彼を見たとたん、遠い記憶が一瞬蘇ったような感じに襲われ、驚き戸惑います。何とも風采のあがらない考古学者だった彼の誘いで遺跡発掘に目覚めた桃子。古代の人々の豊かで人間愛に満ちた暮らしを知ることで、背負ってきた様々な呪縛から解き放たれていきます。


不器用な二人の恋物語と縄文時代がリンクするお話。とても読みやすい文章で、自分の中で映像化出来そう!ですが、来月映画が公開されます(笑)


桃子の離婚理由……未だに子どもが出来ない嫁はイラナイ!発想の人がいるのが悲しいですが……次世代に繋げるのは子どもだけではないと思うのです。子どもを産んだ私が言っても説得力がないかもしれませんが、精神的な遺産の後継者には誰もがなれると思うのです。優しさや思いやりって性別も年齢も国も関係ないと思うし……。お互いがお互いの幸せを願う気持ちが空回りしないように、どちらかが先に幸せになるって悪いことではないと思うのですよね。笑顔を見せることで相手が幸せを感じて、それをまわりが見てまた幸せを感じる……そういうささやかなことが幸せなんじゃないかな、ということを伝えるのは血のつながりがなくても出来ることですし。


輪廻転生の物語というと昔、週刊少女フレンドで連載されていた『海のオーロラ』を思い出しました。ルツとレイという1組の男女がムー大陸→古代エジプト→邪馬台国→ナチス・ドイツ→未来の地球と転生しながら、愛を貫こうとする姿を描く壮大な物語でありました。『ライアの祈り』は個人の恋愛というより人間愛にあふれた作品かな。



縄文時代って稲作の始まった弥生時代よりもイマイチな暮らしぶり、みたいに教えられてきましたが、全然そんなことはなくて、獲物を分けあい、助け合い、思いやりをもって自然と共存しながら豊かに暮らしていたんだなぁと思いました。


『縄文美術館』(写真集みたいな本)も表紙が「石のアンパンマン」みたいでおもしろかったし、よく教科書で見た縄模様の土器だけでなく、笑っている顔とかヴィーナス的な像とかイノシシやクマなどいろいろあったし。手形・足形も残しているんですよね。ちゃんと焼き物で、子どものもありました。ぎゅうと握った棒みたいなのとか、歯形まであって「赤ちゃんに土(粘土?)食わせたんかい!!」と縄文人にツッコミをいれたくなるような(笑) 記念に残したかったのかしらん? 足のサイズ23.5のも残っていて「かわく前のコンクリートに足跡つけちゃった!!」みたいでしたよ。


『ライアの祈り』と『是川縄文遺跡』
http://marugoto.exblog.jp/21280720/



ちょうど新聞に新聞に「ロンドンで開かれたサザビーズのオークションで、日本の古美術収集家のコレクションだった「土偶」が約101万3000ポンド(約1億9000万円)で落札された。落札予想価格7万~9万ポンドの11倍以上の高額だった。」という記事が載っていて、ザビーズジャパンによると、この「土偶」は縄文時代のもので、このオークションに土偶が出品されるのは初めてだということもわかり……『落札者は不明だそうですが……もしかして……(笑)』と森沢さんブログにコメントしたら『そうです。あの土偶は、ぼくが落札しました!(嘘です)』という大変ノリのいいお返事を下さいました(≧∇≦) 「ちなみに、ぼくは、銛の先端につける黒曜石の矢尻を持っています。縄文時代に作られた本物ですが、これは売りません(^_-)」とも(^o^;)




いろいろな場面で「こんなことあったよ、私も」ということが多くて……座談会があったら「このセリフがたまらん!」「だよね!」「この場面がいいっ!」「やっばり?」とかもう話したくて共感したくてたまらない感情が溢れだしてしまいそう!! 皆さまもこの本を読んだら、親元に帰りたくなったり、泣き虫な自分をヨシヨシしてあげたくなったり、美味しい海の幸や地酒に舌鼓を打ちたくなるのではないかと……あと遺跡発掘作業に参加したくなるかも…! キャラ的には『サンダー・バー』のマスターがイチオシなので、ぜひ彼に逢いに本のページをめくって下さいませ(*^^*)



『ライアの祈り』にたくさんの方々が出逢って幸せを感じてくれますように……という一読者の「外野の祈り」の記事でした(@^^)/~~~




rohengram799 at 15:47|この記事のURLComments(10)

2015年02月22日

氷雲便りNo.14:ニン・ニン・ニン

今日は「2」が3つ並び、ニャンニャンニャンもしくはニャーニャーニャーで『ネコの日』と考えるのが普通だと思いますが、「忍」が3つの「人間、辛抱だ!」がアタマにうかぶおやぢであります。実際は辛抱なんて~という甘ちゃんでありますが、1日中♪だけど…忍ぶという字は難しい 心に刃を乗せるのね~時々心がいたむのは 刃が暴れるせいなのね~と因幡晃の『冬忍(すいかづら)』がリフレインでありました(; ̄ー ̄A


「忍」の文字を漢和辞典で調べていたら「忍び音」なる言葉が……そう言えば『夏は来ぬ』の歌詞に♪卯の花の匂う垣根に 時鳥(ほととぎす)、早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ~ってあるなぁと……国語辞書では①あたりをはばかるようにひそやかな声②人知れず泣くこと。声をおさえて泣くこと③ほととぎすの初音。声をひそめるように鳴く……で、ほととぎすに関しては三番目の意味合いでした。この言葉はホトトギスだけに使われるのか? 謎のままですが、昔はこの忍び音をとても珍重たようで『枕草子』には初音を人より早く聞こうと夜を徹して待つ様が描かれているそうです。また知らなかったのですが(知らないことばかりだわ)「子規」ってはホトトギスの漢語的表現のひとつなんだそうです。


「忍び音」を検索していたら笠間書院から『しのびね・しら露』(中世王朝物語全集)というのがありました。この中世王朝物語というのは、平安時代末期に成立したが、その後散逸した王朝物語、ないしは南北朝時代に成立した前者の改作本のことをいうようです。典型的な悲恋遁世譚とされていて「しのびね」は悲恋に「しのび泣く」姫君を表すのではないかと。

全集には(何冊あるかはわからない)『恋路ゆかしき大将』というのもあって、これは「恋路と端山・花染の三人の貴公子の、生涯の伴侶を求める物語」なんだそう。また『山路の露』は『源氏物語』夢浮橋巻の続編!で作者未詳!! 私は源氏物語の浮舟と薫の関係とかわからないのですが(読んだことがない。大和和紀さんのマンガも途中までしか読んでいない)《中世の源氏愛好者が生み出した浮舟と薫の「その後」の物語》だそうで……なんか同人レディみたい!と思ってしまいました(^◇^) 続きが読みたいのに作者が逝去(または遅筆)でムリ、もしくは展開が気に入らない、ラストが気に入らない、だったら私が書(描)いちゃうみたいな………理想のカップリングに満足している乙女の姿が見えるような……男性ももちろんいたでしょうが、ものすごく親近感を覚えました(≧▽≦)


今日は森沢明夫さんの『海を抱いたビー玉』を読んでいます。なぜか八木重吉さんのこの詩を思い出しました。皆さまも素敵な『心の旅』の毎日でありますように(*´∀`)


《心よ》

こころよ
では いっておいで

しかし
また もどっておいでね

やっぱり
ここが いいのだに

こころよ
では 行っておいで





rohengram799 at 21:38|この記事のURLComments(8)

2015年01月16日

福雲便りNo.14:本日の「めだま」記事(O.O;)(oo;)

3月に開幕するセンバツ行進曲は『Let It Goありのままで』に決まったそうですね。この曲が甲子園に流れ、野球少年(というほどではないか~高校生だし)たちが行進するかと思うと……ちょっと複雑というか違和感があるかな(~_~;) 


甲子園球児はプロ野球界の金の卵かどうかわかりませんが、昨日コンビニで立ち読みした雑誌に硬球イヤ高級卵の記事があり、その中に『高嶺の卵(たかねのらん)』がありました。なかなかうまいネーミングではないかと記憶して、今朝(笑)検索したらありましたわ~《徳島のこだわり卵、最上級の卵「高嶺の卵」など卵のことならアイ杉原に!》……そう言えば阿波畜産ブランドにク波雄鶏がありました(他に阿波牛・阿波ポークも)。この阿波雄鶏にはキャンペーンソングもありました♪


http://www.zakzak.co.jp/geino/n-2003_02/g2003021504.html



卵といいますと中村航さんの『星に願いを、月に祈りを』という小説で((卵と関係ないですが、作品中に出てくるウサギとカラスの童話が好きです!)目玉焼きを作る場面がありました。卵を茶碗に割りいれてから黄身だけを先に焼いて、しばらくしてから白身を回りにかけて焼いていました。黄身と白身では固まる時間が違うので、こうするとより美味な目玉焼きが出来るらしいです。私は半熟卵は苦手なので、黄身が崩れてもおかまいなしにひっくり返して両面焼いています←ターンオーバーなんて上品さはカケラもないです(-""-;)



海の中にも目玉焼きは存在するようで「目玉焼きクラゲ」がいるそうですね。正式名はもちろん違いますが……サムクラゲとか言うみたいです。 このクラゲは、他のクラゲを食べいるそうです。その他にも結構クラゲを食べる種類がいるようで……アマクサクラゲ、アカクラゲ、シーネットル、ハナアカリクラゲ、オワンクラゲなど。プランクトンだけだとあんまり大きくならないみたいですね。共食いになってしまうけれど、やはり身体に馴染むというかすぐ細胞を活性化させてくれるような気はしますね。こちらの記事に画像もありますが、YouTubeにもあるようです。


http://blogs.mobile.yahoo.co.jp/p/blog/myblog/content?bid=kapaguy&id=51434734



卵つながりで、今日は栗田有起さんの『卵町』を読んでいます。亡くなった母親の希望を叶えるため、かつて母が住んでいた「卵町」でシイナさんを探すサナ。町は特別医療区みたいな感じ。薄い本なんですが『お縫い子テルミー』が好きだったので、また有田さんの本を買ってみました。あとは森沢明夫さんの『ヒカルの卵』を読みたいのですが、中古にも新刊にも見つからないのですよね~気長に探したいと思います。



皆さま、どうぞよい週末を(*´∀`)ノ




rohengram799 at 14:30|この記事のURLComments(10)

2014年11月11日

琥珀雲便りNo.11:三つの恵

気温が低い~(~_~;)
自分ひとりのおかずを用意するのは面倒なので(ウチは朝ごはんは各自でなのでラクラク←グータラでスミマセン!)ふりかけでいいか←ものぐさでスミマセン!


朝刊に『鯉のふりかけ』商品紹介があったのですが、バレンタインの時期には『恋のふりかけ』になるのかしら?と思うのと同時に、FUNK THE PEANUTSの♪恋の罠しかけましょ~が♪鯉のワワしかけましょ~と明るく歌う腰簑姿のオッサンを連想してしまった……(ー_ー;) 『鯉の旨煮』を見ても『恋のうま味』に変換され、イケメンホストのフッ♪という顔が浮かんでしまう……!!


http://www.kaisen-club.com/mart/koi.html



昨日はダンナのお使いも兼ねて、いつもと違う本屋に行き、新刊(私の言う新刊は定価の意味)を二冊購入しました。タイトルと表紙買いしてしまった『月の虹』ですが、家に帰ってから、待てよ……な気分に。作者は田村優之さん、この人は『青い約束』の人じゃないか( ̄□ ̄;)!! この本、すごい泣けるとかサラリーマンに大人気とかありますが、私にはハイ?な作品でした……結論を言えば男ふたりと女ひとりの恋物語。なのにやたらと経済の話が前半に詰め込まれて、なんかわからないんだけど(´・ω・`)?だったんですよね。ラストがこうならヤローたちの仕事の話なんかいらんわ(`Δ´)と思っていました。貴志祐介さんの『青の炎』は好きです~映画にもなりましたよね。


もう一冊は森沢明夫さんの『夏美のホタル』。森沢さんは何冊か読んでいるので大きなハズレはないので安心~そして、読み終わりました!! おやぢ、涙……つまらなくて、ではなくせつなくてかなしくて( TДT)


山奥に忘れられたようにぽつんとある、小さくて古びた一軒の店「たけ屋」。そこで支え合うように暮らしている母子、ヤスばあちゃんと地蔵さんという愛称の恵三さん。二人乗りツーリング兼写真撮影の場所探しで、若いカップル(慎吾と夏美)が、トイレ休憩で立ち寄ったことから親交がはじまります。最初はたけ屋の近くに住む仏師・榊山雲月の仕事風景の描写から始まるので、このオッサンがメインなの?と思ってしまいますが、違いました。そして彼がなぜ錫杖でなく棒切れを持たせた菩薩を造っているのかが話が進むにつれてわかってきます。なんかイメージとしては泉谷しげるみたいな感じ(笑)


地蔵さんと呼ばれる恵三さんの名前は記憶にない父親の形見のようなもの。三つの恩恵があるようにという意味を込めてくれたそうです。最初の恩恵はこの世に生まれてくる喜び。ふたつ目は、親に愛される喜び。三つ目は、伴侶と一緒に子供の幸せな姿を見る喜び。それぞれの事情があり、登場人物はこの喜びを全部持てた人たちばかりではありません。でも「生きる喜び」「いのちのつながり」がじわじわとしみこんでくるような作品です。


夏山の自然の風景にもワクワクします。知らない魚の名前カマツカを検索したら樹木に同じ名前があったり、カネタタキというコオロギのミニバージョンみたいな虫とか(虫嫌いな方もいるでしょうから画像とかは載せませんよ~!)……日本の自然と人の心のゆたかさにあふれていて、目次タイトルを見ればある程度の内容はわかってしまうかもしれませんが、これは読んでよかったです。タイトルの意味もこうなのかな、と自分なりに考えたりして……。


「他人と比べちゃうとさ、自分に足りないものばかりに目がいっちゃって、満ち足りているもののことを忘れちゃうんだってさ。俺さ、それって、すごくわかる気がするんだよな」


「大人になったな」と親戚のおっちゃんみたいに慎吾くんの肩を叩きたくなってしまいました。


後半は泣いちゃうかもしれないので、電車内の読書にはお気をつけ下さいまし(((^_^;)





rohengram799 at 11:28|この記事のURLComments(8)

2013年12月30日

わた雲便りNo.60:最後の一冊('_'?)~12月の本棚

本来なら明日に今月の本棚の記事を書くのですが、明日書けるかわからないので(~_~;)1日早くまとめています。今年最後の一冊、ナニを読もうかなぁ、と積ん読コレクションも見たのですが、いまいち気分がのらず、本屋で三冊購入して、そこから『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』を読みはじめました。漫画家の西原理恵子さんのダンナさんでアル中で元戦場カメラマンの鴨志田穣さんの私小説です。亡くなられた時の年齢は42歳…この年齢の時に私はナニをしてたっけ?


最近、自分に家族やら家庭はいらないんじゃないか、もうひとりで暮らしたい!気持ちがモクモクしてきています。昨晩は「お母さんが帰ってきたのを見届けたから寝るね」とダンナに言われました。まぁ帰り際、仕事でちょっとしたトラブルがあり、帰宅時間がいつもより遅くはなったのですが、なにか感じるモノがあるのでしょうか( ̄0 ̄;)


私も出来もしない夢のオイシイ酒を四六時中浴びている、ある意味ヨッパライ(; ̄Д ̄)? 自戒の意味もあり、このタイトルにひかれたのかも……最後はちゃんと「うちに帰ろう。」だし…まぁ、どこの「うち」かはわからないけどヾ(--;)


この前書いた森沢明夫さんの『虹の岬の喫茶店』にはモデル店があったのですね。検索するとたくさん出てきました。森沢さんもYahoo!ブログをされていたて、マメに更新されてコメントの返事も下さる方だということがわかったので、ワタクシの例の発見(大げさな!)についてコメントしましたところ、このようなお返事をいただきました!


「きみに」は、ぼくも気づきませんでした(笑)


……アハハヾ(@゜▽゜@)ノやっばり!!


では、もう少しモスバーガーでゆっくりしてから仕事に行ってきます~皆さまもヨッパライになってもお家にちゃんと帰って下さいね(^ω^)



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rohengram799 at 12:00|この記事のURLComments(5)TrackBack(0)
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