死刑囚の母

2017年04月25日

菫青雲便りNo.24:ハルさん

エロい本にしか興味がないと思われていたら悲しいので(笑)東直子さんの『いとの森の家』を読みました。 この作品は、東さんが小学生のときに1年ほど住んだ、福岡県糸島郡(当時)での暮らしをモデルに描かれた物語だそう。


福岡市内の団地に住んでいた小学4年生の加奈子は、三人姉妹の真ん中。両親が「いと」と呼んでいた田園地帯に建てた家に引っ越すことになるのですが、転校初日の集団登校、あいにくの雨で道路には轢死したカエルがたくさん・・・ヘ(゜ο°;)ノ あ~想像出来る分、気持ちが悪い~! 加奈子もっとも奴耐性が出来てなかったので、保健室へ直行することになってしまうのですが、だんだんと学校やその暮らしになれていく様子が四季の移り変わりとともに描かれていて、ほほえましくなってきます。半分、うらやましいくらいの順応性です。


加奈子は、ひょんなことから、“おハルさん”というおばあさんとり合いになります。かわいらしい家にたくさんの猫たちと暮らしていて、作ってくれるお菓子も美味しいし、刺しゅう入りのハンカチなど、彼女が作るものはステキでかわいいものばかり。ハルさんはアメリカで暮らしていたこともあるという。


ある日加奈子は、たくさんの差し入れを持ってバスを待つおハルさんに合います。「慰問」だと言われても、それがどういうものなのかよくわからない。大人たちの中には、死刑囚に会いに行っているおハルさんを敬遠する人もいました。これは仕方ないことですね。理由はわからないけれど、死刑になるような罪を犯した、自分とはかかわりのない人のところに行くなんて、やっぱり何でそんなことを・・・と思うのは当たり前でしょう。後日、理由をたずねた加奈子に、おハルさんは死刑囚たちが作った俳句を書いて見せました。


布団たたみ雑巾しぼり別れとす
春暁の足をふんばり見送りぬ
水ぬるむ落とし切れない手の汚れ


死ぬことはもう決まっている。頭では理解しても、やはり生きたいという気持ちがどころかにある。るそんな誰にも言えない気持ちをおハルさんは知っていて、生きていられるうちに少しでも楽しい気持ちになれるものを持っていってあげているのだ、そして、死刑囚も自分が生きていた証を残したいのだということを加奈子は考えるようになるのです。


『あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように』



そう言ってくれたハルさんは、「死刑囚の母」と言われた女性がモデルになっています。

「白石ハル」さん
1899-1981 昭和時代後期の社会事業家。
明治32年生まれ。福岡県の人。浄土真宗の信者で,昭和35年夫の没後から福岡市内外の刑務所,更生施設,福祉施設をめぐり慰問につとめた。死刑囚からは母としたわれ,人々とかわした便りは約2500通にのぼった。昭和56年1月20日死去。82歳。


この作品はドラマにもなったそうで、樹木希林さんが演じたそうです。またハルさんのシナモンティーは通販でも購入出来るらしい。ハルさんの生涯について書かれたものはないようですが『異空間の俳句たち : 死刑囚いのちの三行詩』(異空間の俳句たち編集委員会 編)に本に引用された句が載っているようです。



お返事が遅れています。申し訳ないです~明日までお待ち下さい。すみませんm(__)m


rohengram799 at 09:06|PermalinkComments(6)
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