本屋さんで表紙の可愛さに目が行き、タイトルも薄さも値段も私的にはよかったので『花のベッドでひるねして』 (幻冬舎文庫)を買ってきて読みました。多分、はじめてよしもとばななさんの小説を買ったのではないかと。


海辺で拾われた捨て子の幹は、血の繋がらない家族に愛されて育った。祖父が残したB&Bで忙しく働きながら幸せに過ごしていたが、廃墟のビルに明かりが点いてから不穏な出来事が起こり始める。両親の交通事故、夢に出る気味の悪いうさぎ、玄関前に置かれる小石・・・ちょっとミステリーでホラーでファンタジーでスピリチュアルな内容でした。



B&Bはお笑いではなく(もう知らない人の方が多いのかも)ベッド・アンド・ブレックファスト(英: bed and breakfast)の略。『イギリスや北米、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなど、主に英語圏各国における(多くの場合小規模な)宿泊施設で、宿泊と朝食の提供を料金に含み、比較的低価格で利用できるもののこと。』(Wikipediaより)



幹の祖父が『今のままでいい。うっとりと花のベッドに寝ころんでいるような生き方をするんだ。もちろん人生はきつくたいへんだし様々な苦痛に満ちている。それでも心の底から、だれがなんと言おうと、だれにもわからないやり方でそうするんだ、まるで花のベッドに寝ころんでひるねしているみたいに。いつだってまるで今、そのひるねから生まれたての気分で起きてきたみたいにな。』と話したことがタイトルになっているのですが、親しい人を亡くした後の喪失感、その後の暮らし、心向きなど、共感出来るところはいくつかありました。全部、素直にのみ込んで感動出来るほどpureではないおやぢなワタクシですが、一部を切り取り、上手くまとめて絵本にしたらステキかも、と思いました。



主人公の名前は作家・立原正秋の娘さんの名前からだそうです。かなり溺愛していたようですね。ばななさんも父上を亡くされ、その哀しみがいたるところにあらわれている気がしました。





読みながら、思い出した詩があります。



『ある日ある時』   黒田 三郎


秋の空が青く美しいいとう
ただそれだけで
何かしらいいことがありそうな気がする
そんなときはないか

空高く噴き上げては
むなしく地に落ちる噴水の水も
わびしく梢をはなれる一枚の落葉さえ
何かしら喜びに踊っているように見える
そんなときが




生きるときめき、生きるよろこび、素直に感じられる人間でいたいものです。