備忘の果実 〜オスカー戯言日記〜

好きなことを好きな時にチマチマと書いています(⁠๑⁠˙⁠❥⁠˙⁠๑⁠)

【空のお城通信〜オスカー戯言日記〜】(2010.3.17〜2021.10.31 )からタイトルを変更。(2021.11.7〜)

熊谷達也

香雲便りNo.13:海峡の鎮魂歌(レクイエム)

今日もアツい1日になりましたね(;´д`)ゞ!


おぼろ雲便りNo.6:愛の宝石慶雲便りNo.20:はなやか!な火曜日(*´∀`)♪で作品を紹介させていただいたことがある、深津十一さんのブログで「書店での購入は九州でなければできません」という雑誌を知りました。九州につながりがない人はダメよ!ということはなく、内容も自由。ただ販売が九州onlyということだそうです。「通販で入手することはできますので、興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。」とのこと。伽鹿舎さんサイトの『片隅02』のページです。
  
http://m.kaji-ka.jp/editor/5716



さてさて……この前『海峡の鎮魂歌(レクイエム)』という熊谷達也さんの本を読みました。熊谷さんは仙台在住だそうで、あの震災から半年後、悩み迷いながら筆をとった長編小説で『烈風のレクイエム』を改題したものです。


昭和のはじめに函館を襲った3つな大きな「災害」。昭和9年の大火災、20年の大空襲、そして29年の青函連絡船「洞爺丸」の転覆事故。その全てに遭遇する函館の潜水夫・泊(とまり)敬介。大火災では母と妻を失い、幼い娘は行方不明のまま。避難する時に出逢った母子と生活するようになり、子どもが産まれますが、戦争によりまた思わぬ方向に事態が進みます。九死に一生を得て、迷い、絶望し……それでも助け合いなから生き抜いていこうとするく男とその「家族」の物語です。


「喪失」「再生」「鎮魂」の三部構成。ちょっと出来すぎじゃない?と思う再会などありますが、あの混乱の時代だからこそあり得たように感じますし、その奇蹟と思えるような出来事がないとあまりにも辛すぎると思いました。ただ遺体引き揚げ等に関して描写がかなり詳細なので、震災や火災、事故などで身近な方を亡くした人には読むのは拷問に近いものがあるかと思います。


敬介の血のつながりのない長男は、戦時中、自ら予科練に入ります。戦後、復員した息子に自分の後を継いでほしいと思いますが、頑なに拒否されます。それは実子でないことの反発ではなく、まだ幼い弟に対しての気づかいではなく……彼はあの特攻兵器「伏龍」の訓練兵だったのです。


伏龍は潜水服を着て、爆雷のついた竹槍を持ち、水中に潜って、近づいてきた敵に自爆攻撃をするというもの。「水際特攻隊」「幻の特攻兵器」「人間機雷」等、様々な異名で語られていますが、回天に比べたら知らない人の方が多いのかも……。潜水夫の仕事を知っていたから、伏龍がどんなに粗末なものかわかってきます。文章でもそれが綴られています。訓練中の仲間の死亡事故も見てきました。彼の人生が大きく変わったのは当然だと思えます。

http://blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/8f5109701a1cecae47d2570716275399

http://magazine9.jp/60th/seguchi/index.html




物語の最後の方にこんな文章があります。心に留め置いて毎日を過ごしていきたいと思いました。



『人と人を結びつける絆は、人生の苦難や嵐を乗り越えれば乗り越えただけ、いっそう太くて頑固なものになる。ただし、その絆は、人の努力によってのみ作られる。裏返せば、努力を怠ったとたん、存在したはずの絆はあっさり切れる、ということだ。
そして、なにかの因果で生き延びてしまった者は、与えられた日々を精一杯生きることでしか、死者の魂を悼み、鎮めることができないし、それが残された者に課せられた義務なのだろう……。』




体調管理が難しい天気になっています。皆さま、どうぞお気をつけ下さい。



第583号:邂逅の森

前の孔雀の記事にたくさんのコメントありがとうございました。お返事もう少しお待ち下さい。ごめんなさい(;o;)


さて…タイトルの『邂逅の森』の「かいこう」とは[思いがけなく出あうこと。偶然の出あい。めぐりあい]という意味です。


『邂逅の森』(熊谷達也)は……秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。鉱山で働くものの山と狩猟への思いは断ち切れず、再びマタギとして生きる…(表紙裏のあらすじより)ひとりの男の物語です。


時代は大正三年から始まります。明治維新もまだまだ地方の農村には浸透していないので、義理人情、色恋沙汰、様々な掟やしきたりが人間関係を複雑に絡み合わせて……本当に面白い!富治に関わった二人の女性の生き方も見逃せません。なんという力強さ!!


私の中では「山本周五郎賞受賞作品にはハズレがない!!」という考えがあり(芥川賞とか江戸川乱歩賞はどうしても好みでないのがある)、史上初の直木賞とダブル受賞だし…厚みもあって(500ページ強)読みごたえ十分でしかも50円!!迷わず購入ですよ(笑)


作者の熊谷さんは仙台の生まれで、この作品を書くのに実際マタギの方々に同行し山にも入ったようです。さすがに昔のようにマタギのみで生計をたてている人はいないようですが。作品の中にも狩猟に関する法令の話や炭鉱の盛衰などが描かれていて、近代史の勉強にもなります。


田辺聖子さんが「活字の伝えるいのちのなんという威力(ちから)」と解説に書いていますが、まさにそのとおりです!!雪深い東北の厳しい自然、村の生活、山の神への畏敬の念、獣の気配、格闘ではなく死闘…それらを「マタギ」として疑似体験し、生き抜くことへの執着の素晴らしさを感じました。地理や東北弁のイントネーションのわかる人ならより感情移入できるんじゃないかなぁ。


山のヌシ(巨大クマ)との駆け引きなどは『老人と海』のサンチャゴとカジキマグロの格闘のよう~ヘミングウェイ作品の訳は新潮文庫版が一番好きです!


♪老人は闘ってきた 魚たちと 捕らえねじ伏せ殺しそして愛した…


こんな歌を聞いたことがあって、全部の歌詞を知りたいのですが、わからぬままです※


夜中の1時過ぎ、まだまだ読後の興奮がさめませんが~私らしく小ネタをひとつ♪


『メガネクマ』が南米にいるらしいです。目のまわりやノドに、白や黄白色の斑紋が入り、個体によってはメガネのように見えることが和名の由来だそうです(^0_0^)



※作詞:中山千夏 作曲:小室等 歌:中山千夏 「老人と海」でした!!


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