石垣りん

2019年01月01日

萌月雲便りNo.2:新しい食卓

讀売新聞の編集手帳に石垣りんさんの『新年の食卓』という詩の一部が抜粋されていました。全文を知りたくて検索したら、たくさんのブログ記事で紹介されていました。有名な詩なのですね~きっと。私は教科書で習った『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』が印象深くて(※)


皆さまの新年の食卓は? 新しい年の最初の食卓、美味しい時間になりますように。





『新年の食卓』

          石垣りん



元日に
家族そろって顔を合わせ
おめでとう、と挨拶したら。

そこであなたは
どこからおいでになりましたか、と
尋ねあうのも良いことです。

ほんとうのことはだれも知らない
不思議なえにし
たとえ親と子の間柄でも
いのちの来歴は語りきれない。

そして取り囲む新年の食卓
これは島
手にした二本の箸の幅ほどに
暮らしの道はのびるだろう
きょうから明日へと細く続くだろう。

このちいさな島に鉄道はない
飛行機も飛ばない
人間が“食べる”という歩調は
昔から変わらない。

わずかに平らなテーブルの上に
ことしの花を咲かせるために
喜びの羽音を聞くために
杯を上げよう。

では向き合って
もう一度おめでとう!

互いの背後には
新しい波がひたひたと寄せて来ている。




(※) http://www010.upp.so-net.ne.jp/agnini/essay/impressions/ishigaki.htm




rohengram799 at 10:43|この記事のURLComments(2)

2016年04月14日

暮雲便りNo.14:伝えきれないロクデナシ

一昨日でしたか、夕方のニュース番組内で《認知症専門病院」の現場に密着》を放送していました。なんかやたらにキレイな病院だなぁ、と思ったら平成26年5月開院でした。だから、センサーか何かで患者さんが就寝時間後に起き出したらすぐ赤色灯みたいなのが病室(個室ではなく4人部屋かな)の前(廊下側・交番みたいな感じ)に点いて、看護師さんが即刻でやってくるような設備が出来ているのね……。眠れないからナースコールをガンガン鳴らすんじゃないんだ。


車椅子に座っている人がペッぺ、ペッぺと唾を床に吐いている場面があったのですが、それも認知症だからやっちゃう、みたいな雰囲気の放送で……ダンナがあれは嫌いな人、気に入らないことがあるからやっている(一番簡単に不快感をまわりにわからせる行為)だけで、認知症にすぐ結びつけるのは……と言っていました。


あと看護師さんに暴言を吐いている男性患者さんも映ったのですが、きたない言葉を口にしながらずっとその手を握って離さないんですよ。「仕事が出来ないでしょう」って感じで、副師長さんがその患者さんを引き受けるのですが、なんでその人が悪態をつきながら看護師さんの手をギュッと握っていたのか、その心情については何もコメントがないの?と切なくなってしまいました。とても中途半端な放送で、病院の宣伝なのかしら……と思ってしまいました。病床数は300床/ 6病棟(各50床)。ホームページをみたら「履物以外(病衣、下着類等)
全て当院にてご用意いたします」とあり(絶対いろんな業者さんが入っていますよね)下世話ではありますが、仮に1ヶ月入院したらどのくらい費用がかかるのかしら、と考えてしまいました。



宇多田ヒカルさんが日テレ系ニュース番組『NEWS ZERO』の新エンディング曲を歌っているようですね。でもエンディング曲として一番ふさわしいのは『筑紫哲也 NEWS23』の、井上陽水さんの「最後のニュース」が一番だと思っている私です。



石垣さんが65歳の時に書いたという「悲しみ」という詩をお届けして、今日のお便りを締めくくりたいと思います。




私は六十五歳です。
このあいだ転んで
右の手首を骨折しました。
なおっても元のようにはならない
と病院で言われ
腕をさすって泣きました。
お父さんお母さんごめんなさい。
二人とも、とっくに死んでいませんが
二人にもらった身体です。
今も私は子供です。
おばあさんではありません。




*帰宅しました。熊本での大きな地震、夜遅い時間で不安がいっぱいだと思います。皆さま、お知り合いの方などケガや被害などはないでしょうか? どうぞお気をつけ下さい!



rohengram799 at 22:02|この記事のURLComments(4)

2011年01月23日

ひつじ雲便り356:石垣りんさんの『子守唄』

関心のあるものだから目に入るのか、無意識に探しているのかわかりませんが…石垣りんさんの『子守唄』を一緒に聴いて下さいまし。



いちにち
ひと晩
いちまいの闇をかぶって人は寝た。


ふつか
ふた晩
二枚の夜を重ねて人は夢みた。


十日
百晩
千枚の布団をかける眠りの深さ。


衿カバーをはずすと土がこぼれる
その朝まで。


おやすみ にぎやかに
にぎやかに おやすみ。




私は、はじめてこの詩を読んだ時に「鞍馬は暗間と書いた」という言葉と「一期は夢よ、ただ狂へ」を思い出しました。


まぁ、それだけの話ですけど……ハイ(+_+)



rohengram799 at 02:46|この記事のURLComments(11)

2011年01月22日

第390号:ff(フォルテシモ)

昨日「少女の唇」にうつつを抜かしていたら、夜中のニュースを見て「なに言ってンの、この人たち!!」で洗い髪が怒髪に!!


長崎と広島で二度も被爆した方を『世界一運の悪い男』とイギリスの番組で放送…。


信じられない!! 戦争体験はあっても原爆被害のない国にとっては「ナガサキ」「ヒロシマ」はただの地名で、被害者の方々は個々に名前を持ち、それぞれの人生があったことなどどうでも良いことなのでしょうか?


被爆した人々、それに繋がるたくさんの人々の気持ちなど全く考えてもらえないの?


あまりの話に唖然…と同時に、私たちはもっと世界に向けて発信しなくてはいけないことがあるのでは?とも思いました。


ちょうど石垣りんさんの詩集を読んでいたのですが『演歌』という作品がありました。



海には航空母艦が浮かんでいます。
何を積んでいるのでしょう。

ふるさとの墓地へいくと
骨のない骨箱が
カタカタ鳴っています。

海峡が封鎖されたら
海底の勇士たちは
七生報国の鉢巻をして
馳せ参じるのでしょうか。

千人針の結び目がまだ解けません。

議事堂では大臣が
昔のスタイルで出ています。

国民はカラオケが大好き
自分の声に酔い痴(し)れて
平和を歌っています。



私たちは自分の声に酔い痴れて平和を歌うだけではいけないのです。今までの歌声が自分に酔っていたと気がついたら、違うアクションにうつらなくては…。
もっと広く深くいろんなことを知る努力をして、世界に向けて歌わなくては…。
今までピアニシモな歌声だったら、フォルテ、フォルテシモにして歌い続けなくてはいけないのです。
それが音痴な歌声でも、歌い続けなくては…歌い継いでいかなくては…。



rohengram799 at 10:43|この記事のURLComments(19)
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