茨木のり子

2023年06月13日

暑劇雲便りNo.10:六月

こんにちは🐥 『六月』というタイトルの詩がありました。



  『六月』
           茨木のり子


  どこかに美しい村はないか
  一日の終りには一杯の黒麦酒
  鍬を立てかけ 籠を置き
  男も女も大きなジョッキをかたむける


  どこかに美しい街はないか
  食べられる実をつけた街路樹が
  どこまでも続き すみれいろした夕暮は
  若者のやさしいさざめきで満ち満ちる


  どこかに美しい人と人との力はないか
  同じ時代をともに生きる
  したしさとおかしさとそうして怒りが
  鋭い力となって たちあらわれる




昨日は茨木のり子さんの誕生日だったそうです。そして今日はヤクルトが制定した「お父さんの日」🥸 ちょっとホラーな谷川俊太郎さんの詩と過去記事とあわせた記事をnoteに投稿したので、お時間がありましたらどうぞお読み下さいませ。 
https://note.com/during0901/n/n04d573aedc75


ではでは、よい1日になりますように🍀





rohengram799 at 10:30コメント(0) 

2023年04月05日

陽春雲便りNo.5∶セイメイのおじょらぽん

こんにちは🐥

日曜日が千葉県議会議員選挙投票日です。選挙カーはほとんど見かけないのだけれど、どなたかが候補者に手を振ったのでしょうね~「おかあさん、ありがとうございます!」の声が。 娘の結婚の申込みに来た男性から「お父さん」と呼ばれて「私はキミの父親じゃない!!」ではありませんが「その人はアナタの母親じゃないと思うよ〜」と思ったワタクシです😅



さてさて……「よりかかる」の方言に「よしかかる」があることを知りました。最初、書き間違いなのかな?と思って調べたら方言でした。私は「よっかかる」と言ってたけど母は「おっかかる」と言っていた!と急に思い出しました。「ほんなん、おっかかっちょし!」(そんなによりかからないでヽ(`Д´)ノプンプン)……懐かしい田舎での時間がよみがえりましたわ。

よりかかる……でもうひとつ思い出したのが茨木のり子さんの詩集『倚りかからず』です。
https://1000ya.isis.ne.jp/1666.html


本と方言つながりでもう1冊🐤
『おじょらぽん』
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1737

気になったものはあとから調べるためにチラシの裏に走り書きするのだけれど、コレも書いてありました。睡眠導入絵本なのかな、子どもや動物たちに「おじょらぽん おじょらぽん ねんねんねん」を繰り返します。甲州弁に「おじょおもん(未婚の若い娘)」ってあるらしいけど、一度も聞いたことがないんだけど🥸 宮沢賢治の『やまなし』の「クラムポンはかぷかぶわらったよ」的なリズムの良さがあると思いました。絵も落ち着いた雰囲気で可愛らしいし。朗読動画もありました。
https://youtu.be/UR0sL89eEAA



今日は二十四節気のひとつ「清明」ですね。この言葉をヒント?に以前書いたものをnoteとpixivに投稿しました。noteは画像のショートversion、pixivは加筆したものです。お時間がありましたらのぞいてやって下さいませ🙏

note→https://note.com/during0901/n/n192094a6eb52

pixiv→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19630307


ではでは、また(⁠๑⁠˙⁠❥⁠˙⁠๑⁠)




rohengram799 at 15:55コメント(2) 

2022年04月24日

喜春雲便りNo.19:『私のカメラ』 📸

朽網山(くたみやま) 夕居る雲の うすれ往かば われは恋ひむな 公(きみ)が目を欲(ほ)り


万葉集に残る詠み人知らずの恋の歌(*)。「くたみやま」 は大分県の久住山とする説、福岡県北九州市小倉南区の朽網(くさみ)の山とする説があるそうですが、久住山説が有力ではないかと。

https://www.pref.oita.jp/site/archive/200778.html

朽網山に夕方、かかっている雲が薄れていったら私は恋しくなるだろう。あなたに逢いたくて。


あなたに逢いたくて 逢いたくて〜 と歌を歌いたくなる……そう言えば聖子ちゃんは福岡の出身🎤🎶

https://sp.uta-net.com/movie/9126/


「逢いたい」を「目を欲り」と表現したところが素晴らしい感性ではないかと。目が欲し……だと目が星⭐ 昭和の少女漫画の世界ね! と思ったり……愛し君の姿が瞳の中ではじける、流れ星は涙になり……とひとしきりアホな妄想に浸ってしまうのはお約束! 夕陽と相まって目に焼き付ける、絶対忘れたくない、という娘心から女心まで変化していくようにも感じますねぇ :*(〃∇〃人)*: ← すでに別世界にいる💦

そんなさまざまな妄想の果てに茨木のり子さんの『私のカメラ』という詩が待っておりました。お若い方たち(に限らない?)はもスマホで写真を撮るのが大好きですけど、ちゃんと「みる」って大事だなと思います。



「私のカメラ 」 茨木のり子


眼(め)
それは レンズ

まばたき
それは わたしの シャッター

髪でかこまれた
小さな 小さな 暗室もあって

だから わたし
カメラなんかぶらさげない

ごぞんじ? わたしのなかに
あなたのフィルムが沢山しまってあるのを

木漏れ陽のしたで笑うあなた
波を切る栗色の眩しいからだ

煙草に火をつける 子供のように眠る
蘭の花のように匂う 森ではライオンになったっけ

世界にたったひとつ だあれも知らない
わたしのフィルム・ライブラリイ



素敵なシャッターチャンスがいっぱいの日曜日でありますように (* ^ー゜)ノ



(*)https://search.yahoo.co.jp/amp/s/manyoshu-japan.com/10904/%3Famp%3D1%26usqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D




rohengram799 at 07:55コメント(6) 

2019年08月27日

燕月雲便りNo. 10:花ゲリラ

『花ゲリラ』  茨木のり子



あの時 あなたは こうおっしゃった
なつかしく友人の昔の言葉を取り出してみる
私を調整してくれた大切な一言でした
そんなこと言ったかしら ひゃ 忘れた

あなたが 或る日或る時 そう言ったの
知人の一人が好きな指輪でも摘みあげるように
ひらり取り出すが 今度はこちらが覚えていない
そんな気障(きざ)なこと言ったかしら

それぞれが捉えた餌を枝にひっかけ
ポカンと忘れた百舌(もず)である
思うに 言葉の保管所は
お互いがお互いに他人のこころのなか

だからこそ
生きられる
千年前の恋唄も 七百年前の物語も
遠い国の 遠い日の 罪人の呟きさえも

どこかに花ゲリラでもいるのか
ポケットに種(たね)しのばせて何食わぬ顔
あちらでパラリ こちらでリラパー
へんなところに異種の花 咲かせる






📣昨日は祖父の命日でした。(19日は父の命日。)この日が過ぎると、秋の気配を強く意識します。お寺に咲いていた百日紅は濃いピンクでしたが、白い百日紅もあるのだと数年前に知りました。

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/turishi-04/entry-12183333875.html%3Fusqp%3Dmq331AQQKAFwAZgBuervsrGh4IjLAQ%253D%253D


📣pixivのイラストに祖父を連想させる作品がありました。似たようなポーズで温泉宿でくつろぐ祖父の写真を飾っています😄

https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=75930811



📣残暑復活!の月末になるとか……昨晩は早寝して夜中におきてガサゴソして、また寝て……のヘンな睡眠時間になってしまった(;・ε・ ) 皆さまもお身体に気をつけて下さいませ。




image



rohengram799 at 08:22コメント(4) 

2018年10月29日

稲熟雲便りNo.31:水の星

今日の読売新聞の全面広告、アインシュタインのように 舌を出した樹木希林さんが Σ(・ω・ノ)ノ 朝日新聞は内田裕也さんやモックンたちとの家族写真だそう。うーん、朝日の方が見たかったかも。


https://search.yahoo.co.jp/amp/s/prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000758.000005069.html%3Fusqp%3Dmq331AQECAEoAQ%253D%253D




茨木のり子さんの詩集『倚りかからず』に地球をテーマにした作品があります。最後の言葉がなんとなく、せつなくかなしく響きました。




 『水の星』   茨木 のり子


宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ

生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真

こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている

太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星

すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱舟の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい

軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで

あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう



rohengram799 at 13:14コメント(2) 
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