西田佐知子

2017年08月07日

竹春雲便りNo.7:アカシアの雨。・゜゜(ノД`)

♪アカシアの雨にうたれて このまま死んでしまいたい・・・
 


西田佐知子さんが歌っていましたね~『アカシアの雨がやむとき』って、わからない人の方が多いのかも(^o^;)



吉屋信子さんの『花物語』の下巻の最初が「アカシヤ」だったのですが、その内容がこの唄を思い出させたのですわ。


女学校の英語教師になった新庄さんと久しぶりに再会した主人公は、彼女が教師を辞めたと聞いて驚きます。その理由をきくと・・・受け持ちクラスに、大人になるまで対して物怖じしない子がいて、その子が怖い。反対に、美しい顔と姿の子にはときめき、完璧にエコヒイキするように。このキレイな子に対しての語りはこちらもちょっとひいてしまうくらいでしたわ。




「なにゆえとなくおのずと止まった歩みを、そのままにわたしはじいっと立ち止まって丘さんの机のそばに立ちました。机にいまさしむかって、なめらかな洋紙のうえに象牙のペン軸をにぎって走らせるそのこまやかに美しい指の主を見つめましたの――ふくよかな頬は、次からつぎへとつづり字をおもい出す努力にか、やや上気してうすあかく、なおさらにかわいらしいその顔を、紙の面ちかくむけて前へかがむと、うしろの襟足があらわに美しいほそい襟首に、純白のえりにかさなる濃紫の銘仙の背にすらっとお垂髪がふわりとけむるように流れおちるそのすえに、薄茶色の光沢のよいリボンが、ふくらんですっきりむすんで椅子の背にさわって、その下に海老茶の袴の腰に、絹のレースのもようが白く浮いて・・・もう、わたしすっかり見とれておもわず、うっとりして、書き取りの句を読みちがえたほど・・・」



オイオイ・・・女子高の男性教師かよ!とツッコミを入れたくなります!



無視されがちになったもう一人のを子はいたたまれなくなって、学校をやめて田舎に帰ることを告げに悪天候の中、先生のところに来るのですが、会いもしない。彼女らが語る一言一言がとてもせつないのです。大人のようにみえても、やっぱり心はまだまだ幼いです。綺麗なクラスメイトに彼女も憧れていました。だから先生を恨み、呪ってきたのだと。



「先生、どうぞおゆるしくださいまし、許してくださいませ。」なんて謝らなくてもいいのに~!



「私は先生のお憎しみを受けて、私の好きな丘さんは先生に愛されていらっしゃるこの両端に別れた悲しい差別は、私を今日までどんなに泣かせたことでしょう。」


彼女は田舎に変える前に、お詫びをしたかったのてす。イヤイヤ、あなたは悪くなってないでしょ、あからさまなエコヒイキをする教師の方がひどいでしょ!と思ったのですが、彼女は北海道の十勝平野へ帰ってしまいます。その一月後に教師は彼女のもとに行くのですが・・・母親から聞かされたのは「都は気が狂いました、ふびんな子でございます」との言葉。


母親に彼女に涙を流して詫びたとしても、輝かしい若い娘さんの毎日は閉ざされてしまったのです。虚ろな眸には何も映らない。尊敬すべき教師を呪うほどの嫉妬心が、自分でも恐ろしくいやになってしまった・・・このあたりはまさに乙女です。それに対して「ああ、もうアカシヤの花が咲く頃ーあの牧場のほとりへ私は我が罪のあがないにもう一度行きたい!」って・・・単なる自己満足でしょ、教師を辞めたって、あなたの罪は消えないでしょう、イヤな女だ(`Δ´)と思ってムカムカしましたわ。




♪夜が明ける 日がのぼる
 朝の光のその中で
 冷たくなったわたしを見つけて
 あの人は
 涙を流してくれるでしょうか・・・



壊れてしまった心のどこかに、大好きな同級生の姿があるのではないかなぁ・・・エコヒイキの教師は来なくてもいいのよ、想う人に来てほしいのよ・・・やっぱりこの歌がうかんでしまうワタクシなのでした。




rohengram799 at 16:50|この記事のURLComments(2)
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