詩羽のいる街

2013年06月02日

ヒコーキ雲便りNo.50:キセキ

紫陽花が美しい季節になりましたね。あじさい寺と言われる場所はたくさんありますが、鎌倉の明月院には「花想いのお地蔵さま」がいらっしゃるのですね、知らなかった!

http://www8.plala.or.jp/bosatsu/kamakura138/meigetuin-jizo.htm



さて、今回のタイトル「キセキ」……「奇跡の人」ときいて思い浮かべるのはヘレン・ケラー女史でしょうか?それとも真保裕一さんの『奇跡の人』でしょうか?この小説は一番最初に読んだ真保作品ですが、未読の方にはオススメします。そんな私が昨日読んだのは山本弘さんの『詩羽のいる街』。以前から気になっていた作品ですが、解説が有川浩さんだったので新刊で購入。

物語は大きく4つにわかれていて、それぞれにつながりのある短編集。漫画家志望の男、自殺しようとする女子中学生、性格が少し歪んだ大学教授などが詩羽と出会い、変わっていくという……タイトルにもなっている「詩羽(しいは)」彼女はすごく変わっていて「人に親切にするのが自分の仕事」と公言。しかし、住所不定・無職…毎日の生活は人に親切にした分の恩返しとして、泊めてもらったり、ご飯を食べさせてもらったりのギブアンドテイク。ハートはアツいけど感情に流されず、いろんな問題を人脈を活かし、合理的な方法で解決していきます。この行動力はうらやましい!!最後の話は「まちおこし」企画なんだけど、出店も100円ポッキリでミニサイズの綿菓子などたくさん食べられるように配慮。せっかくのお祭り気分、お好み焼きだけでお腹いっぱい~なんてもったいない!!というワケです。

作品の中に『戦場の魔法少女』というマンガ作品が出てくるのですが、コレは実際マンガ化してほしい、読みたい!!って思ってしまうくらいに書き込まれています。「魔法で簡単に世界平和♪」なんて安易さはありません。魔法少女になってしまった主人公がツラい、せつない~ラストまで書かれているので「一粒で二度美味しい」感があります。他にも「ん?コレはあの話のことでは?」みたいなのがたくさんあり、巻末にある参考資料リストを見ると「やっぱり~」( ̄ー ̄)と思う仕掛け(?)もまた楽しかったです。

詩羽という女性の謎は解けないままなのですが、彼女みたいに出来なくても彼女のいる街に自分も住みたい、彼女の手助けをして自分もまわりのみんなもHappyになりたい、読後感もさわやかで良かったです。

その中で私が一番好きなのは、国際宇宙ステーションが肉眼で見えること(もちろんばぁ~ん!と大きくは見えませんよ)を知った場面。私は『宇宙兄弟』で日本上空を飛ぶ時間なんかを調べることが出来る云々は学習済み(笑)

【…決して美しいものではない。派手なものではない。しかし、感動的だった。昔の人はこんなのは夢物語だと笑ったに違いない。人間が宇宙に行くとか、人工の星を造るなんて荒唐無稽な話だ。できっこないと。だが、それはできてしまった。 昔の人から見たら魔法のような時代に、私たちは生きている。その魔法は神から授けられたものではない。人間自身が努力によって創造したものだ。夢を追い続ければいつか現実になる―その証拠は、いつでも私たちの頭の上にある。…】

先人たちの奇跡をたどり、遺された輝石で美しい輝石画を造り上げながら自らも誰かにとっての「キセキの人」になり、輝石の一粒を置き土産に鬼籍に入る……こんな人生が理想(°°)と妄想爆発中ですが、皆さまは楽しい日曜日を!!





rohengram799 at 12:15コメント(7) 
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