詩集

2019年02月23日

令月雲便りNo.27:やわらかいいのち

毎日イヤなニュースがたくさん……ツラい時間をどうにかしてやり過ごしてきたことを大人になると忘れてしまいがちだけれど、谷川俊太郎さんの詩を読むとそんな日々を思い出します。そして岡本一平氏の言われたこの言葉も思い出します。

「うーん、いのちってのはなァ、うーん、あんまり貴いのでなァ、ギョロッとしたものなんだよ」






『やわらかいいのち
   ~思春期心身症と呼ばれる少年少女たち~』

      1

 どうしたらいいの どうしらいいの
 問いかけるあながの言葉が 私の中に谺する
 答えのない私の中に――
 どうしたらいいの どうしたら
 私の中にあなたがいる
 ひっそりとひとりで立ちつくしている
 心はもつれあった灰色の糸のかたまり
 だがその糸が私とあなたをむすんでいる
 どうしたら どうしたらいいの
 問いかけることであなたは糸の端を
 しっかりと握りしめている

      2

 あなたが歩くことができるのがおどろきだ
 あなたがごはんを食べるのが
 歯をみがくのが私にとっておどろきだ
 あなたのふたつの眼から
 涙のにじみ出てとまらないのがおどろきだ
 あなたは海をみつめて放心している
 その顔にかくされた美しさがおどろきだ
 そしてもしもあなたが死ねるとしたら・・・・・
 死ねるとしても――
 そのことの中に私は
 あなたのいのちの輝きを見るだろう
 私たちの生きる証しを見るだろう

      3

 怒りながら哀しんでいる
 戸惑いながら決意している
 突き放しながらしがみついている
 ひとつの顔 世界中でたったひとつのあなたの顔
 その顔はかくしている 
 誰にも読みきれない長い物語を

 拒みながら待っている
 謝りながら責めている
 途方にくれながら主張している
 ひとつの背中
 かたくなにみずからを守るあなたの背中
 その背中は呟いている
 自分にもつなげないきれぎれな物語を

      4

 どこへ帰ろうというのか
 帰るところがあるのかあなたには
 あなたはあなたの体にとらえられ
 あなたはあなたの心に閉じ込められ
 どこへいこうとも あなたはあなたに帰るしかない

 だがあなたの中に
 あなたの知らないあなたがいる
 あなたの中で海がとどろく
 あなたの中で木々が芽ぶく
 あなたの中で人々が笑いさざめく
 あなたの中で星が爆発する
 あなたこそ あなたの宇宙 あなたのふるさと

      5

 あなたは愛される
 愛されることから逃れられない
 たとえあなたがすべての人を憎むとしても
 たとえあなたが人生を憎むとしても
 自分自身を憎むとしても
 あなたは降りしきる雨に愛される
 微風にゆれる野花に
 えたいの知れぬ恐ろしい夢に
 柱のかげのあなたの知らない誰かに愛される
 何故ならあなたはひとつのいのち
 どんなに否定しようと思っても
 生きようともがきつづけるひとつのいのち
 すべての硬く冷たいものの中で
 なおにじみなおあふれなお流れやまぬ
 やわらいかいのちだからだ




谷川俊太郎詩集『たましいのいちばんおいしいところ』より


rohengram799 at 11:25|この記事のURLComments(2)

2018年05月06日

若夏雲便りNo.8:お疲れ!

ニュースでは行楽地の様子、高速道路の渋滞、帰国ラッシュなど、みんなGWに出掛けたよね!みたいな雰囲気になっていますねぇ。潮干狩りの様子がよく流れていましたが、なぜ「お父さん」「お父さん」を連呼するんでしょう? こういう時でないとお父さんの出番はない!みたいに・・・バケツにたくさん入っていないとダメおやじみたいなコメントとかやめて欲しいですね。



自分の誕生日に買った『通勤電車で読みたい詩集』に載っていたトーマ・ヒロコさんの詩がとても気に入りました。こんな気持ちになりますよね。学校に行く、それだけで疲れる。あったよ、そんな時代! (化粧はしないけど) 初デートのところとか、ウンウン、となる人が多そうだし、休日も納得。 シンプルで有り難い言葉だなと思いました。





『ひとつでいい』トーマ・ヒロコ


挨拶はひとつだけでいい
おはようも
ありがとうも
さようならも
おやすみも
もう要らない

朝一番の学校で
「お疲れ」と声をかけてきた同級生
起きるだけで
ご飯を食べるだけで
消耗するエネルギー
バスに揺られて化粧して
何度か停車をくり返し
やがて見えてくる校舎
バスを降りた瞬間
家に帰りたくなる

初デートの帰り道
家まで送ってくれた彼氏の「お疲れ」
スカート、目力(めぢから)主張、鈴のような笑い声
慣れないことから
もうすぐ解放される
しかしまだ油断はできない
彼の車が左折するまで
笑顔で見送らなくてはならない
左折すれば
彼もホッとため息つくだろう

家でごろごろするだけの休日でも
夕方になれば
肩が凝り
脚がむくんで
目がしょぼしょぼする

おはようも
ありがとうも
ごめんなさいも
さようならも
おやすみも
もう要らない
この世を生き抜くためには
挨拶はひとつでいい
「お疲れ」だけで事足りる



rohengram799 at 15:36|この記事のURLComments(4)

2018年04月26日

清和雲便りNo.27:プレゼント🎁

誕生日にお祝いコメントをありがとうございました。ダンナさんには不◯家のショートケーキを3種類と『幼女戦記』(漫画・9巻)とそのスピンオフ漫画
『幼女戦記食堂』を買ってもらいました。小学生みたいですな、お恥ずかしい~!


オタ息子は「ジュースでも買いなさい」と諭吉くんではなく英世くんひとりとハーゲンダッツのギフト券をくれましたわ。


二男からはまたハイカラなものをもらいました。ロクシタンのハンドクリームセットです。下記サイトの一番最初の写真にあるヤツです。昨日、しみじみ両手を見ていたのですが、なんか通じるものがあったのでしょうか?(笑)


https://myrecommend.jp/present-to-female-08/



自分では、久しぶりに詩集を買いました。小池昌代さんが選んだ41篇の詩のアンソロジー『通勤電車でよむ詩集』です。まぁ、そんなに長い時間、電車に乗ることなどないのですが、大きさもお値段もまぁまぁお手頃で、立ち読みして気にいった詩があったたし。寺山修司さんの詩集を昨年の誕生日に買ったので、今年も・・・。出来ればこれから毎年、自分の誕生日には詩集を買いたいなぁと(笑)



またこの本の中から好きな詩や考えさせられた詩などを、妄想モードで紹介していきたいと思いますので、ひとつオトナになったワタクシをまたどうぞよろしくお願いいたします ヽ(〃´∀`〃)ノ



rohengram799 at 22:18|この記事のURLComments(2)

2016年02月12日

凍雲便りNo.6:春や春

例の不倫議員サンは辞職するようですね。会見をチラリと見ましたが、よくまぁフラッシュ攻撃の中、堂々と話せるなぁ~と感心してしまいましたわ……そして「不適切な関係」って適切な表現ではないんじゃ……と思ったり。



昨日の新聞に『給食時間 短すぎるのでは』という投書がありました。お孫さんが今度小学生になるそうで、娘さんが保護者説明会にいったところ「給食を15~20分間に食べ終わるよう、家庭で指導してほしい」と言われたそう。この時間ってどうなんだろ?と私も考えてみました……が、だいたい今はひとりでご飯を食べることが多くて、ダラダラとマイペース……職場では食事らしい食事をしないので(というより食べる気にならないのでほとんど飲み物だけ。夕方からスゴい寒いのは半袖だからじゃなくて食べてないからかしらん?)どのくらいの時間がいいのかよくわからない……今は「お残しは許しません!」はなくて、無理して食べなくてもいいのかな? 新入学、子どもも親も家族も不安がありますね。



新入学といえば、千葉の公立高校入試問題と解答が別刷りであったのですが、わかんなーい( TДT)本当に勉強って日々の積み重ねだよなぁ~って英語や社会の問題とか見ながら思いました。取り合えず毎日授業を聞いていたらなんとなく流れでわかる的なものってありますよね( ̄▽ ̄;)


国語の現代文(小説)はは森谷明子さんの『春や春』を抜粋……主人公の須崎茜は私立藤ヶ丘女子高校に通う、俳句好きの女の子。ある日、俳句に否定的な国語教師と授業で対立したことをきっかけに、俳句の趣味を理解してくれるトーコという友人ができます。そしてふたりは「俳句甲子園」を目指して俳句同好会を設立! 出場に必要な人数は5人。メンバーをを集めるために校内を駆け回り……というようなお話らしいです。なんか面白そう! JKならリルケの詩集という発想はおやぢかしら……俳句好きとは渋すぎる(笑)



土日は4月並みに気温が高くなるそうですね。花粉症には辛い季節がやってきます。そして週明けにはまた真冬になるとか……(;>_<;) 春や春、身体に湿布を貼るや貼る……皆さまもご自愛下さいまし!





rohengram799 at 11:35|この記事のURLComments(14)

2015年06月25日

草雲便りNo.25:想像するしあわせ

昨日はもう「夏休みだぁ~!」みたいなアツい1日で、バケーション!バーゲン!とちょっとテンションがあがったワタクシですが、お出掛けして爆買いの予定もなく……フランスでは「Soldes(ソルド)」という、ひと月続く、年2回(夏と冬かな)の法律で決められた一斉セール期間が始まったことを知りました。ちょっと古い記事ですがソルドの日程と滞在許可証の更新でフランスの雰囲気をどうぞ~!!



この前、ダンナが魚乃目三太(うおのめ・さんた)さんが描いた『しあわせゴハン』というマンガを買ってきました。普通の人たちの食にまつわる小さな「しあわせ」を描いたもので、セリフがないので、読む側が自分の体験と想像力で物語がひろがっていきます。一巻の表紙イラストはお笑いコンビのタカ&トシのタカに似ています(笑)


魚乃目さんは1975年5月生まれ。奈良県出身で、大阪で漫画家活動をしていましたが、一念発起、34歳にして上京を決意!今はスカイツリーにほど近い東京下町在住だそうです。あ、一話完結で14品目+裏メニュー(ドッグフード)なんですが、各作品の最後に簡単な人物紹介とポイント説明的なものがあり、自分の思っていた通りだったとかそうだったのか…みたいな発見があって、また何度も読み返したくなります。


『今は詩集があまり読まれないと聞き、不安になります。詩や文章が読まれなくなれば、想像力が養われなくくなってしまいます。
音楽業界も同じです。80年代以降、音楽作品には映像が付けられるようになったため、聴く側は詞と曲の意味を自分で想像する自由を削がれてしまいました。そうした結果、想像力の欠落した若者が増えていくことが少し心配です。』


週刊現代(6/27日号)の「わが人生最高の10冊」というコーナーに湯川れい子さんの言葉がありましたが、その通りだなぁ……と思いました。今は小説をマンガ・アニメ・ドラマ・舞台にゲーム化……だけでなく、アニメがドラマ・舞台・ゲームになったり、ゲームがアニメやドラマになったり……なんだそりゃ~!?でオリジナル作品は減っていくような……映像化されてよりよく小説が理解できた!!みたいなのもあるでしょうが、先に映像がバァ~ン!と来ると、そのイメージがつきまとってしまうこともありますからね~私は古いけど『八日目の蝉』がバンバン流れていた映画のコマーシャルに影響されちゃって、なんか自分なりのキャラを想像出来ず集中出来なくてダメでした……ってワタシがダメなのかしら(O.O;)(oo;)



皆さまは元気モリモリ、食欲モリモリの木曜日にして下さいね(*´∀`)♪




rohengram799 at 09:00|この記事のURLComments(8)
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